市長臨時記者会見(平成22年12月10日)

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ページ番号1003670  更新日 平成30年5月23日

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市長臨時記者会見「南極地域観測隊長等の来豊」を開催しました

 市では、南極地域観測隊(越冬隊・平成23年度~)に、国立極地研究所からの派遣要請を受け、職員を派遣することになりました。
 12月10日、第53次南極地域観測隊の山岸久雄隊長および土井浩一郎副隊長を招き、中貝市長の思いを伝えるとともに派遣職員候補者との顔合わせを行いました。
 その後、市長臨時記者会見を行い、山岸隊長、土井副隊長にも出席いただきました。

写真:市長臨時記者会見「南極地域観測隊長等の来豊」
(左から)中貝市長、山岸隊長、土井副隊長

日時

平成22年12月10日(金曜日)午後3時15分~4時5分

場所

市政記者クラブ室

会見事項

南極地域観測隊長等の来豊について(資料)

紹介

第53次南極地域観測隊長(兼夏隊長) 山岸久雄さん
第53次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)土井浩一郎さん

中貝市長説明

 今日、第53次南極地域観測隊長と副隊長にお越しいただきました。
 すでに派遣する職員候補者2人を選考し、先ほどその2人と面談をしていただきました。最終的に南極に派遣する職員は1人ですから、今日の段階ではこの職員は申し上げられません。来年正式に決定することになりますので、職員名はその段階でご紹介させていただきたいと思います。
 募集しましたら、6人の応募がありました。20代、30代、40代の職員で、男性5人と女性1人です。その内40代の男性1人、30代の男性1人、合計2人を選考したところです。
 南極での様子などを伺った面談では、市の職員は非常に気分も盛り上がっていた感じがいたしました。
 南極は、植村直己さんが冒険家として夢を果たしたかった場所であり、豊岡にとっても思い入れがある場所であるということ、また地球環境問題が端的に表れる場所であるとお聞きしていますので、そこに職員を派遣し、研さん、経験を積ませることによって、帰ってから、市民へ環境問題の働きかけをするリーダー的な存在になってくれるだろう、豊岡市の環境政策の推進役にもなってほしいという思いがあります。
 さらに、市職員が南極に行った、行っているということで、子どもたちにとって南極は非常に近しい場所になり、そのことによって子どもたちの冒険心がさらにかきたてられれば植村さんの故郷としてはこんなにありがたいことはないということで、これまで、ぜひ、うちの職員を派遣させてくださいとお願いし、快くそれを聞いていただき、今日来ていただくことになりました。

質問・回答

注:発言記録要旨〔市長明記分以外は観測隊長・副隊長が回答〕

Q1 山岸さんと土井さんの年齢と生年月日を教えていただけますか。
A1 私(山岸隊長)は、昭和24年10月11日生まれです。61歳です。
 私(土井副隊長)は、昭和35年6月22日生まれです。50歳です。

Q2 今朝来られて、植村直己冒険館を見られて、その後市長を表敬されたということですか。
A2 昨日来まして、植村直己冒険館のほかに、出石やコウノトリの郷公園にも行きました。

Q3 自治体からの派遣というのは、白瀬中尉の出身地の秋田の旧金浦町(このうらちょう)と北海道の稚内市で計3人行かれていると聞いたのですが間違いないですか。
A3 そのとおりです。

Q4 過去の自治体からの派遣職員は、南極滞在中にどういうフィードバックを各自治体にされたか分かりますか。
A4 昔、私が越冬した頃は、情報発信に制約がありました。国の事業だということもあって、情報発信するときは記者クラブに出しなさいと言われていました。プライベートにあまり情報発信はするなと制約があったのですが、インターネットなどが使われるようになって、個人レベルの情報発信というのが少しずつ認められるようになってきているのではないかと思います。

Q5 豊岡市の職員が南極に行って、現地からインターネットを使って南極事情などをブログで説明するなどができればいいなと思いますが、インターネットなどをしてよいのでしょうか。
A5 テレビ会議のようなものは個人的にすることはできませんが、極地研究所経由で他の所と結んで、南極授業をするようなことできます。
 その他、広報室を経由して、地元から行っている隊員にインタビューしたり広報室が間に入ってインタビューしてもらうなどはできます。

Q6 派遣職員が南極授業のようなものをインターネットで各小学校に流せたら一番いいと思いますがいかがですか。
A6 それはかなり実施されています。お子さんを持っている隊員が越冬していて、現地で生出演し、その出身の小学校との間で授業をするとか、小学校からあらかじめ質問を送っていただき、実際に仕事の様子などをパワーポイントで流して、隊員は質問に答えられる画面を用意していて、やりとりするなどをされています。時間は約1時間です。

Q7 全体で何人行かれるのですか。
A7 隊員と同行者がありまして、約80人です。越冬するのは32か33人です。

Q8 市からの派遣職員はどのような仕事をされるのですか。
A8 環境保全の仕事です。30人が越冬していると毎日いろいろなごみが出たり、汚水も出ますので、そういうものを全部処理していく仕事です。これは、その人だけにやらせるのではなくて、隊員も当直という形で協力しながら、自分たちの出したものを処理して、いろいろ分別して、出したものは全部日本に持って帰ってくることになります。

Q9 一般の隊員の方も環境保全の仕事をされるのですか。
A9 環境保全隊員が主担当で、他の隊員はお手伝いという形です。1人の環境担当の隊員だけだととてもやりきれませんので、そのお手伝いを隊員1~2人ぐらいがついて行います。

Q10 市の派遣職員は環境保全のみを担当されるのですか。
A10 仕事としてはそういうことになります。しかし、30人しかいないので、主担当はそれぞれ役割があるのですが、必ず手伝いが必要になります。だから、環境保全の人は周りから手伝ってもらうと同時に、気象観測やペンギンの数を数えに行かなきゃいけない時に助っ人で行ってもらって、一緒に数を数えたりしていただくことになります。あるいは内陸の方へ雪上車で入って行って調査をするような時には、雪上車2台でチームで行くことになり、食事を作る人とかいろいろ要りますので、そういう形で出ていただくこともあると思います。

Q11 市の職員が戻って来た後、南極で培ってきたものがどのように生かされると思われますか。
A11 いろいろあると思います。
 一つは、昭和基地は気象観測や大気の観測をして地球の環境がどう変わっていくか、端的なのは温室効果気体であるCO2が年々どう増えていくか、これは非常に昭和基地のデータとして評価されていますが、そういう気象の観測を同じチームにいながら経験していくことができ、どういう風にして地球の環境をモニターしていくのかを目の当たりにできます。
 また、昭和基地は30人で暮らしていますが、中に発電機があり、水も作っている、暖房している、お医者さんがいる、通信している人がいる、それから研究している人もいる、一つの小さなコミュニティになっているわけです。そのコミュニティをどういう風に維持されているのかなども分かります。
 市の職員の方はコミュニティをどうされているのかを良く知っておられると思いますが、一般の人は自分たちが暮らしている町のインフラはどうなっているかとか仕組みは分からないです。そういうところを目の当たりにして、小さな社会がどうできていくかが分かります。そういうところがお帰りになってからも、市政に少し生かせるのではないかという気がします。
 また、豊岡市ではコウノトリの野生化に取り組んでおられますが、南極も非常に厳しい環境の中でペンギンやアザラシが生きています。ペンギンは昭和基地のすぐ側に営巣地があります。冬の間は海に出て、海が開いた所で餌を獲っていますが卵を産むときは、必ず大陸の沿岸の岩場の所に来ます。冬が開けて9月くらいになるとぞろぞろペンギンのつがいが昭和基地の方にやってくるんです。巣を作る場所で、つがいが卵を2個温めて、2カ月くらいで親と同じ大きさになります。コウノトリも2カ月くらいで親と同じ大きさになると今日聞きました。ペンギンもまさに2カ月くらい、親が交代で沖に行って餌を食べてきて、口移しに与えて大きくなっていくのです。そういうあたりも実際、生物の調査チームの手伝いという形でこちらから行かれた隊員さんも見てもらえると思います。ペンギンの生活は非常に厳しくて、海の氷が厚いと餌を獲りにいくのに時間がかかり、帰ってくるまでにヒナは餌が足らなくて死んでしまうことがあります。ヒナの生息率というのは海の解氷で非常に左右され、昭和基地の近くに開氷があって餌を獲りやすい時はヒナの数が増えます。ペンギンの数も解氷に非常に影響を受けているということで、自然環境が厳しい中でどう種が維持されているかというところも参考になると思います。

〔中貝市長〕環境問題の代表的な所で体感して帰って来ます。当然視野は広がり、他の隊員を見ていてどういう風にアプローチするのかも身につけてというか、門前の小僧みたいにして帰って来ます。そういう経験を持った職員が豊岡市の環境政策をいろいろと進めていく上で中心になっていくことになります。単に役立つということではなく、非常に大きなものがあります。

Q12 まったく南極を汚さないということですが、ごみなどの処理はどのようにされるのですか。
A12 ごみは分別し、すべて持ち帰ります。燃やすものは焼却炉で燃やして灰にし、灰まで持ち帰ります。
 我々が出しているし尿はバクテリアを使って分解をして、きれいな形にしてから海に流すようにしています。これは、ある温度に保って大きな水槽でバクテリアを使った分解プロセスを経ています。

Q13 市の派遣職員は環境保全の仕事を担当する中で、観察する時間はあるのでしょうか。
A13 あります。必ず支援する人が必要なので、交代で調査を支援します。生物の調査には、お医者さんもペアを組んで行かなければいけないのです。

Q14 市側は、職員を派遣する上で、何かバックアップを考えておられますか。こういったことをやってきてくれということはありますか。
A14 〔中貝市長〕市としてこういうことをやってきてくれということはないです。
 いっぱい吸収してきてほしいと思っています。先ほどお話がありましたが、派遣職員が南極に行っている間にも、こちらの小学校の子どもたちと職員がやりとりができると思います。そういった時に子どもたち自身が、南極をとても身近に感じることができますから、これも豊岡にとっては非常に大きな意義ですので、できるだけそういうチャンスをたくさんいただければと思います。

Q15 実際にテレビ電話のようなことはできるのですか。
A15 専用のテレビ会議システムがあります。会議をするようになれば、極地研究所から機器を貸し出しできると思います。

Q16 インターネットなどで見ることはできないのですか。そうすると同時にいろいろな小学校で見ることができると思うのですか。
A16 1.5メガでデータ通信もしなくてはいけないので、スカイプは使わないように制限されています。

Q17 南極に派遣する職員を募集されたのはいつからですか。
A17 〔中貝市長〕募集期間は11月15日から12月3日までです。

Q18 応募者6人で、男性5人と女性1人。応募の動機から総合的に判断しているということでしたが、特にどういう部分から候補者2人を決められたのですか。
A18 これまでの経験がよりふさわしいかどうか、より健康そうであり、家族構成なども配慮しました。本人がやる気満々で一応了解をとっているというものの、たとえばお子さんが非常に小さければちょっとそこは酷かななども考えました。
 また、帰ってきてから環境政策の中心的な職員としてやってもらうのに、これまでの職歴であるとか普段の評価の中でよりふさわしい、そういう観点で決めました。

Q19 植村直己さんは、北極は探検されましたが、南極はフォークランド紛争のために断念されました。植村さんについて感想をお伺いできないでしょうか。
A19 私(山岸隊長)は、京都大学山岳部だったので、学生の頃は、植村さんの生き方に非常に刺激を受けまして、実際に北極で10カ月ほど暮らしたこともありました。犬ぞりはなくて、スノーモービルしか使えなくて、植村さんのように海の上を自由に旅行できるという技術は残念ながら見に付けられなかったのですが、イヌイットの人と一緒に魚を獲りに行ったり、狩に行ったりということはしたことがあります。植村さん本人には会っていませんが、北極でグリーンランドに滞在して知ったという感じで、すごい人だと思っていました。
 また、極地研究所は、現在は立川ですが、その前は板橋にありました。植村さんは結婚されて板橋にお住まいだったので、植村さんのアパートの辺りとか、奥さんのとんかつやさんとか、その辺りは夕食を食べによく行っていました。そういう意味では非常に身近に感じ、縁を感じていまして、今日実際に植村直己冒険館を見せていただき、展示や実際に北極で使われた物などを見て、昔を思い出し、非常に懐かしい思いをしました。
 また、植村直己冒険賞のリストというか、今まで受賞された人がされたことなどを見て、日本人はすごいことをしているのだなと感心いたしました。

Q20 植村さんに会ってはおられないですが、一言でどういうところがすごいと思われますか。
A20 私(山岸隊長)は、植村さんはいろいろ自分自身のやり方でやられ、非常に計画性があり、しかも謙虚であるところがすごいと思います。

Q21 植村さんはイヌイットの人と同化するような暮らしをして、同じ生肉を食べて、犬と一緒に暮らしてというような話が伝えられています。そういう部分はどうですか。北極に行かれたのは何歳頃のことですか。
A21 私(山岸隊長)が北極に行ったのは25歳の頃で、大学院を休学して行きました。植村さんや本田勝一さんの本を読んで、イヌイットと一緒に暮らしながらやろうと思っていまして、最初は山に登っていたのですが、山のシーズンが住んだ後は村のはずれにテントを張っていました。海が凍らないかなと待っていたのですが、そのうち地元の人が来られ、アザラシの肉やトナカイの肉を持ってきていただきました。最初は子どもたちが遊びに来て、そのうち中学生・高校生くらいの世代の人が来られ、一緒に漁に行かないかとか誘ってもらい、海が凍った後、スノーモービルで近くの昔ながらの生活をしているイヌイットの所に行って、旅行の初歩的なことをしました。

Q22 土井さんは植村さんに対して何かありませんか。
A22 私(土井副隊長)は、山岸さんのような探検家ではないので、そういうことはあまりなかったのですが、植村さんの名前はもちろん存じ上げていました。私は山岳部ではなく、1人であちこち山に登ったりしていたのですが、京都大学の頃に、植村さんがマッキンリーで消息を絶たれたということを聞いてやはりショックを受けました。植村さんのことを雑誌や本で読んだり、ドキュメンタリーで見て、努力の人だなと思いました。素人から世界一流のクライマーになられて、その中で努力と行動力はすごいなと思います。また、初心者からあそこまでできるというのは、精神力も強いですし、誰でもそこまでできるかもしれないという夢を与えることになったと思います。そういう意味であこがれの人でした。
 また、今回このような豊岡市とのご縁がありまして、また植村さんとも再会できたというのは縁があったのかなという思いがしています。

Q23 中貝市長は、職員の南極派遣を通して、豊岡の子どもたちに夢を与えたいと思っておられますが、土井さんはどのように思っておられますか。
A23 市から行かれる隊員の方がどういう情報発信をされるかということは、まだこれからいろいろ考えていかなければいけないのですが、若い人たちに南極を身近に感じてもらって、どんどん世界に出ていけるのだ、自分たちも将来そういうふうにやっていけるのだということ感じてもらえたらありがたいと思います。

Q24 植村さんは、フォークランド紛争で、南極に冒険に行きたかったけど行けなかったのですが、今まで戦争とかそういう影を感じたことはありますか。
A24 戦争とかを感じたことはないです。
 南極上はどこの国の領土でもないということがありまして、研究では共同活動をよくやっています。私たちの昭和基地には大きなレーダーがあるのですが、イギリスの基地のレーダーと我々のレーダーが交差して、実際の動きがわかるようになっています。それで、毎年、南極科学委員会というところで、共同研究、研究の枠組みのことを国際会議で決めたりしています。お互いに査察していいというルールがありまして、日本の南極チームは今年初めて他の南極基地を査察しました。他の国も昭和基地に自由に来て、「科学のための平和利用だけしていますね」と点検できるようになっています。南極は国境のない大陸で、科学の上では自由に共同研究をしています。

Q25 南極派遣の市職員候補者2人に会われて、印象はいかがでしたか。
A25 非常に真摯な情熱が伝わってきました。体力もありそうですし、使命感も。あまり緊張し過ぎないで、どこかで肩の力を抜いてほしいと思います。いろいろお話しました。ご家族のこととか、ペンギンの話しとか、苦労もあるけど楽しみもあるよと伝えました。

Q26 成長して帰ってきてほしいなどのコメントをいただけないでしょうか。
A26 〔山岸隊長〕昭和基地では、いろいな職業の人が1年間同じ釜の飯を食べます。この期間に、いろいろな人、いろいろな職業があるということを見て、見聞を広めてほしいと思います。
〔土井副隊長〕山岸隊長が言われたこともありますし、あとは南極の美しさ、あるいは厳しさの両方を感じ取って帰って来ていただきたいと思います。

Q27 植村さんが冒険できなかった地に、代わりというわけではないですが、出身地の方が行かれて、果たせなかった夢を果たすということになるのですが、そのことについてはいかがでしょうか。
A27 植村さんは偉大な探検家で、1人で横断するという非常に大きなミッションを考えられていて、それにはいろいろなサポートが必要なので、フォークランド紛争のために大きな冒険はできなかったのですが、南極のどこかに足を記しておられます。
 私たちがしていることは、冒険とは違い、科学的な調査、研究で、別な形で南極の大陸を理解するというか、攻める方向はぜんぜん違っているのですが、別のアプローチで南極とか人間を理解することをやっており、そこに植村さんの同郷の方が来られることは感慨深いです。

Q28 南極への派遣職員候補者は2人で、うち1人を推薦するとなっていますが、推薦者はもう決まっているのですか。ポイントの一つは、環境に対する関心、冒険にシフトした人ですか。
A28 〔中貝市長〕順位は決めています。ポイントは環境問題で、候補の職員は南極という場に対する関心が非常に高いです。

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