市長臨時記者会見(平成22年10月28日)

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ページ番号1003672  更新日 平成30年5月23日

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日時

平成22年10月28日(木曜日)午前9時30分~10時3分

場所

市政記者クラブ室

会見事項

生物多様性条約第10回締約国会議(CBD/COP10)関連事業での豊岡の取組み発信を終えて〔中貝市長の所感〕

質問・回答〔発言記録要旨〕

Q1 COP10関連事業に参加されての感想を聞かせてください。
A1 自治体会議には、海外から31自治体、日本が130自治体、プラス国際機関で、200を越える組織・機関から来られていましたが、豊岡のコウノトリをめぐる取組みが日本の代表事例であるということの共通認識をおそらく得られたと思っています。
 まとまった議論をしたのは、COPの本会議より、むしろ国際自治体会議なので、その会議の中での豊岡の認知度はかなり高まったと思います。
 ドイツ銀行の理事パバン・スクデフさん〔UNEP(国連環境計画)のプロジェクトチームのリーダーで、TEEB(生態系や生物多様性が失われた時にどういう経済的損失があるか)という調査報告をまとめたリーダー〕が、自治体国際会議の全体会合の場に来られて、パワーポイント(プレゼンテーションソフト)を使いながら、世界の代表的な事例5つを紹介されたのですが、その中に豊岡のコウノトリのお米が写真と共に出ていました。
 私は、1つの分科会で、経済との関係を地域における経済的資源としての生物多様性管理ということで発表し、話しながらの感覚・印象ですが、一番皆さんのハートに届いたと思っています。
 例えば、コウノトリの放鳥の場面、秋篠宮両殿下がテープカットをしてコウノトリが飛び上がった瞬間などで、外国人の参加者から拍手が沸きました。
 また、その時のファシリテーター(発言内容を整理し、発言者が偏らないよう、順調に進行するように口添えする役)は、インド工科大学の準教授でしたが、私のスピーチが終わった後に日本を代表する事例であるとコメントされていました。
 いつもの普天間かおりさんの映像も流しましたが、会場の中から明らかに私に対してメッセージが送られていました。失われたものが放鳥されて空に飛んだといった事態の感動が非常に大きかったと思いますが、かつ、それが経済的な活性化につながっているという驚きというか、具体例を見ているという、会場の聴衆の感動がひしひしと伝わってきました。
 しかし、裏返しとして、豊岡の取り組みは知られていないということを改めて実感しました。

Q2 日本でも、コウノトリの取組みを初めて知ったような人もいたということですか。
A2 そうだと思います。
 コウノトリのことは知っているのです。何かテレビで見たことはある。しかし、コウノトリの向こうにどのような物語・歴史があるか知らない人は非常に多いです。
 自治体以外に、国際機関やマスコミ、いろいろなNGOの方も来られていましたが、世界の中ではもちろん知られていないということです。
 COP10のサイドイベントを昨日開催しまして、その時もやはり驚かれていました。後からロシア外務省の方が来られて、おめでとうございますと言われ、もともとロシアから来た鳥なのでロシアにも感謝したいと申しあげました。
 COP10の会場には韓国の方が多く来られていて、テレビ局のKNNも来られていました。また、慶尚南道(ケイショウナンド)の固城(コソン)郡の市長が「会いたい」といって来られ、大崎市長も一緒にお会いしました。生命環境農業と言っておられましたが、生物多様性保全の農業をかなり一生懸命進められていて、ぜひ、日本の先進地と情報交換して、これからも協力関係を築きたいということでした。
 また、いくつかのNPOからは、30年後も50年後も豊岡が日本の代表であるように先頭を走るように頑張ってほしいと励ましを受けました。

Q3 初めての野生復帰の珍しい事例であるはずなのに、逆に5年も経っても知られていなかったということですか。
A3 なぜコウノトリが滅んだのか、どのような努力があってここまで来て、何をしているのかということまで理解している人は少ないです。
 コウノトリを育む、生きものを育むと言っているけれど、通常の農法と比べた時に豊岡市のコウノトリ育む農法はどれくらい生きものが豊かなのか、そこがはっきり出ていないことが弱いです。イベント的なことはいっぱいして、代表的なところをとって平均値を出して、この田んぼには生きものが全部いるなどとしているのですが、これから国内だけでなく世界にもっとアピールしていこうとすると、説得力を持つために、科学的な検証やきちんとしたデータを持つこと、トータルの計画、目標などを数値化していくという必要があり、そこが課題だという印象を持ちました。

Q4 コウノトリ自体の研究はコウノトリの郷公園がされているが、農法や全体的な取組みはまだ研究者が少ないということですか。
A4 研究者は少ないです。そもそもコウノトリ自体についても英語の論文がそうたくさん出ていると思えません。素材や既にある地力は世界の先端を走っているくらいの実力はあるのですが、そのことのアピールはされていないのです。
 その中の一つとして英文の論文・アピールなどがまだ足りません。
 この前、BBC放送が本市に来られたのはUNEPが出された英文で書かれた「TEEB」を読まれたことが大きいのです。
 ですから、科学的な分野を自らやる能力はないにしろ、研究者と組むとか、研究者に促すとかしながら、科学的な分析をさらに広げることが必要だと思います。

Q5 豊岡市には研究者に何らかの補助をする事業があるのではないですか。
A5 ありますが、対象は学生ですから、今後は豊岡市にとって重要な分野については、市と研究者が組んで、研究自体をやっていくことが必要だろうと思います。

Q6 手っ取り早く海外の研究者にフィールドにしてもらうのが良いのではありませんか。
A6 そうかもしれません。しかし、生きものを追っかけていくようなことについては、かなり時間を要する継続的な調査が必要になりますから、やはり日本の研究者が頑張らないといけないと思います。

Q7 名古屋で開かれたCOP10関連事業の経験を踏まえて、「コウノトリ未来・国際かいぎ」を開催されるわけですが、この会議についてはいかがですか。
A7 豊岡市の次の10年間の課題をある程度イメージしていますが、議論する中ではっきりしていくということがありますから、「コウノトリ未来・国際かいぎ」をぜひそういう場にしたいと思います。
 これまでの豊岡市の目標は、コウノトリを空に放すというとても明確なものでした。その1点に向けて何をすべきかということをしてきたわけです。コウノトリの数を増やさないといけない、空を飛べる訓練をしないといけない、飛んできたコウノトリが餌をとるための田んぼを広げないといけない、などです。
 次の10年は何をやりますか、と言うと、映像的に明確になるような目標はなかなか出てきません。難しい段階に入ってきたということなのです。

Q8 COP10の自治体会議で、豊岡市に取り入れられそうなことや参考になること、印象に残ったことはありますか。
A8 中国の上海の同済大学の教授が、上海の中にチョンミンという島があって、そこでエコアイランド構想を進めていると発表されました。島なので非常に物が限定しやすくて、そこの所で経済のことを考え、生物多様性のことを考えるということで、豊岡市のエコバレー構想と同じなのです。エコバレーのようなことは、豊岡は比較的早く進んでいる方だと思いますが、中国はやると言った時にはあっという間にされるので、本市自身のスピードを早くしないと本市は輝きを失ってしまうのではないかという気がします。
 そのような所とよく情報交換しながら、豊岡市も頑張ろうといった方が良いかもしれません。

Q9 5年前のコウノトリ放鳥の時は大変大きく報道されて、その時初めて豊岡市を知ったという資産があるのですが、「長い間にどんどん目減りしていくので、『コウノトリ豊岡』ということがまだ分かっているうちに次の手を打たないといけない」と市議会で話が出ていましたがいかがですか。
A9 それはそのとおりで、そうしてきたつもりです。
 実際、コウノトリ放鳥を通じてのつながりが今日に役に立っています。
 例えば、「TEEB」で豊岡市が紹介されたのですが、これを「TEEB」側に売り込んでいただいたのは環境省出身の方です。また、COP10の会場で世界中の人が持ち帰られた「Satoyama」にも、豊岡市の取組みは破格の扱いで3ページ掲載されています。これもジョグラフさんという事務局長につないでいただいて、こちらまで来ていただけるようにしてくださったのは、前環境省部長です。
 さらに、コウノトリの放鳥の時に豊岡市の認知が広がって、いろいろな応援団が増えて、その人たちの応援で次のステージに行こうとしています。豊岡市自身の認識は国境を越え始めました。
 加速しなくてはいけないのは、外へはもちろんですが、中の部分です。環境経済戦略は地道にしてきましたが、もうそろそろスパートしてもいいのではないかと思います。
 教育も次の10年、力を入れていくことだと思っています。私たちは反省の上に立ってここまでやってきたのです。つまり、失ってしまった経験を持っている。さまざまな環境破壊のことも知っている、経験している。また、そうでなかった頃の良さも知っている。そういった所から、いろいろなものを克服するようにしてきて、次は私たちが到達したものからスタートする人間をどんどん作らなければいけないと思います。私たちは、意識しないとCO2対策ができませんが、本市で実施している「フィフティ・フィフティ」、子どもたちが小まめに電源・電気を消して、電気代が減ったら半分あげるよというものなのですが、そのことを子どもたちは小・中学校通じて9年間することになり、電気を消すことは身体に染み込んでしまいます。何で消すのかを考えずに余分な電気がついていると消すという行動をします。このような子どもが増えることによって、CO2対策は初めて実を結びます。生物多様性の保全とか、コウノトリと共に暮らすまちをつくるとか、あるいは環境を良くすることによって経済は活性化するというようなことは、今はとても意識して進めているわけですが、それが当たり前として染み込んだ子どもたちが増えて、大人になった時に社会全体のあり方が変わるのだと思います。

Q10 コウノトリの野生復帰についての子どものテキストは、池田 啓さんの本などがあると思いますが、中貝市長が思い描かれている環境経済戦略の子ども用テキストはないと思いますので、そういうものがあった方が良いのではありませんか。また、市民用のテキストもあったらよいのではないですか。
A10 今は実例を作ることに一生懸命になっているわけですが、実例をきちんと伝えるということは子どもたちに対してもそうなのですが、大人・経営者に対してもしなければならないことです。人間は目に見えないものを信じることはほとんどできないので、自体を変えようとすると具体例を積み重ねていくしかありません。このような具体例を積み重ねるとどこかで臨界点に達し、後は放っておいても自転し始めますが、そこまでがたいへんです。そこまで行くのがたぶん政治の機能なのだろうと思います。例えば学者にも政治的な機能があるわけですし、経済人もそうでしょうし、世の中を変えるという、あるいは変えるための努力をするということが政治だとすると、そこまで持っていくのが政治の機能です。
 そのためにも今ご提案いただいたように、こうするとこんな風にうまくいって、かつこんな意味があるのだということが他に広がるようなことをしないといけないと思います。

Q11 環境経済戦略は積み重ねが必要、教育もということですが、これから10年、物語を作り上げていく起爆剤はありますか。
A11 起爆剤、突破口は、やはり科学だと思います。具体的には、コウノトリの郷公園を大学院にすることです。今、大学の研究所ですが、教える所ではありません。県はコウノトリとジオの2つで大学院化をする検討をしています。これはかねてから、豊岡市が提案してきたことですが、そうなると研究部門が充実するだけでなく、大学院生もできます。知的にきちんとしたものができないと、子どもたちに伝えることも結局感覚的になってしまいます。大学院ができると、そこに関連していろいろな研究者がさらに豊岡市に入って来られますから、知の部分がはっきりしてきて、本市の活動は次の段階に行くのではないかと思います。
 子どもたちの教育という観点でもそうです。

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