入佐山から鬼が来た!?

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ページ番号1007023  更新日 平成31年2月7日

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 ここ10年ほど、節分の時期になると、出石地域の入佐山から鬼が市街地に下りてくるとの話を聞き、秘書広報課広報チームは事の真相を明らかにすべく追跡取材を試みた!

 平成31年2月1日、出石地域内を巡回していると、我々は信じられない光景を目にした。なんと! 鬼たちが、沢庵和尚で有名な宗鏡寺の山門前に現れたのだ。その数6体。見るからに恐ろしそうないでたちだ。我々は、逃げたくなる気持ちを必死にこらえ、遠目に様子を伺っていた。

宗鏡寺前に現れた鬼たち

 するとどうだ! 鬼たちが二手に分かれ移動を開始したではないか。あの方向は出石の市街地。まさか白昼堂々、人を襲う気なのだろうか。
 我々は、片方の鬼たちを尾行することにした。なんと、鬼たちは車に乗って移動を開始した。明らかに車に乗り慣れている鬼たち。鬼の里にも車は存在するようだ。不思議な光景に目を疑いながらも走ること10数分、我々はとある建物の前にいた。「おさかおの こども園」。まさか、園児たちを襲う気なのだろうか! これは何としても阻止しなければ! 鬼たちを追ってこども園に入ろうとしたその時、駐車場の張り紙が目に入った。

鬼さん専用駐車場

 「鬼さん駐車場」? えっ? 歓迎されている?

 こども園の職員から、丁重に建物内に案内される鬼たち。どう見ても来賓扱いされている。戸惑う我々。
 理解できないまま、鬼の後を追ってこども園に入らせてもらった。

 園内では、子どもたちが自分で作った鬼の面を見せ合って楽しく過ごしている。こんな状況で鬼たちが侵入してくると危険だ! そう思った瞬間…

自分たちで作った鬼の面を見せ合う園児ら

 鬼たちが来た!!

こども園に侵入する鬼たち

 どよめく園児たち、泣き出す園児もいる。だが、鬼の苦手とするヒイラギとイワシで鬼をひるませ、玉を投げて応戦する園児たち。出石の子どもたちは、城下町の気風によるものか、なかなかに勇敢だ! みんなで協力して鬼を追い出すことに成功した。

 しかし… 違和感が残る。たしかに子どもたちは勇敢に戦った。だが、あまりにも鬼が弱腰すぎる。これはいったいどういうことだろうか? 不思議に思っていると、こども園の職員が説明をしてくれた。
 どうやら鬼たちは、子どもたちの中にいる「泣き虫鬼」や「怒り鬼」などを追い出すため、そして、悪いことをすれば鬼がおしおきに来るということを教えるため、一肌脱いでくれたようだ。なんて良い鬼たちなんだ!

球を投げて応戦する子どもたち

ヒイラギとイワシ

 その後、みんなで一緒にダンスをしたり、餅をついたりして、和やかな時間を過ごした後、園児たちに見送られながら、鬼たちはこども園を後にした。

 余談だが、餅つきをするということで、わざわざマスクをつけた鬼たち。どこまでも良い鬼たちである。

園児と仲良く餅つきをする赤鬼

餅を丸める園児

 これで、本日の鬼の務めは終わったものと思いきや、鬼たちは時間を気にしながら、そそくさと車に乗り込んだ。どうやら、まだ予定が入っているようだ。我々も車に乗り込み、鬼たちを追跡、そして到着したのは「出石幼稚園」。
 園内に入ると、別行動していた鬼たちがすでに待機していた。合流した鬼たちは、園児たちが集まっている一番奥の部屋に向け、太鼓を打ち鳴らしながら廊下を駆け抜けていった。

廊下を行く鬼たち

 鬼たちにしてみれば、節分の雰囲気を味わってもらおうという、力いっぱいの「おもてなしの心」だったのかもしれない。
 だが、鬼たちに自覚はないようだが、迫力がありすぎた…

 いきなりの鬼の登場に凍り付く園児たち。
 園児たちとスキンシップをとろうと駆け寄る鬼たち。

 双方の思惑が不幸なすれ違いとなり、園内に叫び声が響き渡った…

園児たちと戯れる鬼たち

 積極的なスキンシップ…

園児たちと触れ合う鬼

 精一杯の笑顔…

精一杯の笑顔

 どれもが裏目に出て、号泣する園児が続出…

おびえる園児たち

 しかし、ここでも勇敢な城下町気質が発揮され、園児たちは鬼に豆を投げつけ、部屋から追い出すことに成功した。
 予想外?の展開に、鬼たちは、ばつが悪そうに幼稚園を後にした。心なしか、その後ろ姿は寂しそうに見えた…

果敢に立ち向かう園児たち

 よほど心が傷ついたのか、その後、鬼たちは飛ぶような速さで去っていった。我々は、鬼の素性を確かめるために取材するつもりでいたが、残念なことに見失ってしまった。

 当初の目的を果たせず、失意のうちに引き上げた我々であったが、その日の夕方、地元の方から幼稚園を出た後の鬼たちの足取りについて情報提供を受けることができた。

 その情報によると、鬼たちは市街地で観光客を相手に、旅の思い出作りと幸せを祈念した「福豆」を配っていたという。
 そして、町の人たちは、地域の盛り上げに一役買っている鬼たちを歓迎し、食べ物や酒を差し入れていたとのことだ。

 結局、素性は分からずじまいであったが、はっきりと分かったことがある。
 それは、この鬼たちは「ふるさとを愛し、子どもたちを見守る優しい鬼たち」であるということだ。

 今後も、節分の季節にこの鬼たちが活躍する姿を見たいものだと切に願いながら、今回の調査を終了したいと思う。

  • 追記
    広報チームが入手した情報によると、どういった理由かは分からないが、宗鏡寺住職の小原游堂さんがこの鬼たちについて詳しいらしい。興味がある人は、宗鏡寺を訪ねてみてはいかがだろうか。

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