台風23号2周年メモリアルデーにあたって市長からのメッセージ「災害復旧・復興にご支援いただいた全国の皆さまへ」

「災害復旧・復興にご支援いただいた全国の皆さまへ」

豊岡市長 中貝 宗治

　今年もまた10月20日がやってきました。豊岡地方に未曾有の被害をもたらしたあの平成16年台風23号襲来の日です。

　合併後の新生豊岡市で見ると、死者7名、床上浸水以上5,000世帯、災害ゴミ36,000トン。その数字の背後に市民の途方も無い苦しみが横たわっていました。
　しかし、その大変な喪失感の中から、市民の不屈の精神と全国の皆様の温かい激励と支援によって、私たちのまちは蘇ってきました。

　9月23日と24日、昨年に引き続きコウノトリの自然放鳥が行われました。今、豊岡の大空を16羽のコウノトリが悠然と舞っています。
　23日の放鳥は円山川の河川敷で行われました。一昨年のあの日、その場所は上流から流れてきた大量の水であふれていました。そして午後11時すぎ、そこから300メートル下流の堤防が決壊し、暗闇の中で濁流が市民を襲いました。
　あれから2年。その同じ場所で、豊岡の希望の象徴であるコウノトリが飛んだのです。

　兵庫国体の開会式が行われた9月30日、市内の8世帯、28人の方々に対する避難勧告を解除しました。これにより、台風23号に関係する避難勧告はすべて解除になりました。より抜本的な治水対策は途上にありますが、災害復旧事業はおおむね収束しつつあります。
　ご支援をいただいた全国の皆さまに心からの感謝を捧げます。

　今、あらためて、「被災地責任」ということを考えます。
　本当にたくさんの人々のご支援によって豊岡は立ち上がってきました。ご恩返しのいの一番は、私たちがしっかりと復興を成し遂げることです。
　コウノトリの自然放鳥によって豊岡は全国に知られるところとなりました。兵庫国体で感謝の気持ちをお伝えできたこともすばらしいことでした。ご支援をいただいた方々には、『あの豊岡が』と喜んでいただいているのではないかと思います。応援して良かったと言っていただけるように、これからもまちづくりをしっかりと進めてまいります。

　「災害への備え」を強化することも大切です。
　同じ失敗をしないように、防災・減災対策を進めることも支援していただいた方々に対する被災地責任と言えます。
　このため、地域防災計画の策定、危険情報の収集・伝達システムの改善、職員研修の充実、防災担当課の設置、元自衛官の採用など、様々な取組みを行ってきました。災害の態様は千差万別であり、必要な対策は果てしないような気がしますが、一歩ずつ一歩ずつ、地道な努力を進めます。

　同時に、私たちの経験、良かったこと、悪かったこと、失敗や反省や教訓を全国に向かって率直に発信することも私たちに課せられた使命です。私自身、災害発生以来、全国で40回以上講演をしてきました。この経験を話すことが私たちの責務ではないかとの思いからです。

　『みんなの力で命と暮らしを守る』
　地域防災計画の理念をもとに、防災・減災へのさらなる取組みを続けてまいります。
　平成16年台風23号災害から2周年を迎えるにあたり、これを"10月20日の誓い"とし、あわせて豊岡市の復旧・復興に大きなご支援をいただいた全国の皆さまへのお礼と感謝の言葉といたします。

（平成18年10月20日）