平成28年第3回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

このページの情報をツイッターでツイートできます
このページの情報をフェイスブックでシェアできます
このページの情報をラインでシェアできます

ページ番号1003735 

印刷大きな文字で印刷

 9月2日、第3回豊岡市議会定例会の議案提出に当たり、中貝市長が、当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成28年第3回豊岡市議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し深く敬意を表します。
 兵庫県の友好県である、フランス・アヴェロン県オーブラックで開催された、水をテーマにした文化イベントに招かれ、温泉文化について講演するとともに、本市のPRと誘客促進を強力に行いました。
 併せて、日本政府観光局パリ事務所や自治体国際化協会パリ事務所などの関係機関を訪問し、本市の海外戦略の取組みについて理解を求め、プロモーションへの協力のお願いをしてまいりました。
 8月31日には、岡山県奈義町と「先端的まちづくりに関する連携協定」を締結しました。奈義町は子育て支援を通じ、平成26年合計特殊出生率日本一や子ども歌舞伎の取組み、豊岡市はコウノトリの野生復帰やアーティスト・イン・レジデンスといった、お互い小さな市町ながらも先端的取組みを進めており、お互いの情報やノウハウの交換を進めようというものです。今後は、お互い切磋琢磨しながら、地方創生の道を切り開いてまいります。
 さて、今議会に私から提出いたします案件は、報告事項7件、事件決議8件、条例10件、予算11件、決算4件の合計40件です。

 それでは、当面する市政の諸課題及び提出議案の主なものについてご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 第1に、「安全に安心して暮らせるまち」に関連する内容について申しあげます。
 まず、水害時における市民の安全確保推進事業についてです。
 この事業は、当初、今年3月までの予定で行政区単位の「防災マップ」等の作成を進めてきましたが、国の新たな浸水想定区域図の公表が遅れたため、10月末まで期間を延長しているものです。
 国の新たな浸水想定区域図は、激特事業の効果を盛り込んだ千年に1回の洪水規模と100年に1回の洪水規模の2種類となっていますが、本市の防災マップは、より現実に即した100年に1回の洪水規模で作成することとしています。
 また、避難経路等の検討に役立つように、地図の縮尺を従来の1万5千分の1から、自宅がどこにあるかを確認できる3千分の1程度とし「水害・土砂災害防災マップ」に「標高マップ」と「白地図」を加えた3種類のマップをセットにしています。
 この他にも「土砂災害警戒区域」や「堤防が決壊した場合の家屋倒壊危険区域」を表示するなど、いざという時の避難に役立つよう工夫を凝らしました。
 これらの地図を各区、町内会で有効に役立てていただけるよう、活用方法についての説明会を11月頃から順次、地区公民館単位で開催し、これに併せ全世帯に配布することとしています。
 次に、医療費適正化対策について申しあげます。
 医療の高度化、調剤費の急騰等により、急激に医療費が高騰し、今年度の国保税額が、財政調整基金等の投入を行ってなお対前年度比9.8パーセントの増となりました。
 そこで、医療費の適正化を促進するために、過去1年間の国保医療のレセプトデ-タ及び保健事業の特定健診デ-タから、豊岡市の医療費の現状分析を行います。そのデータを医療費適正化事業・保健事業の推進や重複受診、頻回受診、重複服薬患者の指導に役立てます。
 デ-タに基づく分析結果の確定に3カ月程度を要しますが、分析結果を基に短期ならびに中長期的な保健事業の実施計画を策定し、保健事業の推進と医療費適正化対策に努めてまいります。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまち」に関連する内容について申しあげます。
 まず、自然再生アクションプラン策定事業についてです。
 現在、野外で暮らす90羽を超えるコウノトリのうち、約50羽が豊岡に住んでいます。野外の繁殖も順調で、数も増えていますが、遺伝的な偏りのほか、野外のコウノトリが郷公園の給餌に頼っていることなど、コウノトリも住める豊かな自然の再生はまだまだ不十分な状況にあります。
 このため「自然再生アクションプラン」を策定し、豊岡における自然再生をさらに進めていきたいと考えています。
 豊岡のコウノトリ生息環境を、これまでに蓄積されたデータにより整理、分析することで、科学的根拠に基づいた自然再生を実践するための方法や支援策を構築します。プランは平成29年度末の策定を目指します。
 プラン策定後は、人と生きものが共生できる自然再生活動を、多くの生きものが育む可能性のあるエリアにおいて、市民自らが中心となって取り組むことを目指します。
 次に、クリーンパーク北但の状況について申しあげます。
 4月1日から開始したタクマグループによる試運転調整を活用したごみの全量受け入れは、事故もなく順調に稼働してきました。7月31日には、外構工事や進入路の舗装など全ての工事が完成し、8月7日に関係各位により竣工式が開催されました。
 8月1日からは、運営会社である「ほくたんハイトラスト」に引き継がれ、本稼働しています。
なお、試運転調整期間中は、進入道路での計画収集車両や持ち込み車両等による渋滞は見受けられず、周辺住民からの悪臭や騒音等施設に対する苦情などもなかったと聞いています。
 4月から6月の廃棄物搬入量の状況は、豊岡市が7,179トンで3市町全体の74.9パーセントとなり、北但行政事務組合が平成24年度一般廃棄物処理計画で予測した割合より1.9ポイントの増となりました。香美町は14.5パーセントで0.6ポイントの増、新温泉町は10.6パーセントで2.5ポイントの減となりました。
 今後は、学校や各種団体にごみの資源化工程や環境展示を見学していただいたり、ビオトープや散策道が整備された周辺エリアで「資源と環境の大切さ」を学んでいただく施設として活用することとしています。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な『力』を高めるまち」に関連する内容について申しあげます。
 まず、アンテナショップ運営状況についてです。
 東京・有楽町のアンテナショップ「コウノトリの恵み豊岡」は、開設から5年が経過しました。
 5年目となる昨年7月から今年6月までの総売上高は、4,122万円となり、4年目の3,968万円と比較し3.9パーセント増加しています。総売上額が初めて4千万円を超えたため、業務委託契約に基づき、日和山観光株式会社から営業料として7万5千円を市に支払っていただくこととなります。
 購入者数も、4年目の4万8,022人から4万8,815人と、対前年比較で1.7パーセント増加しています。
 これらは、前年に引き続き首都圏で開催した豊岡エキシビションや、キハチ青山本店とのコラボレーションイベントなどへの出張販売により、認知度が向上したことが要因であると考えています。また、新商品の販売や市内の農家と連携したオーガニック野菜等の特別販売を定期的に行ったことなども奏功したと考えられます。
 東京達徳会、東京兵庫県人会、入佐会(いるさかい)東京支部総会等への出張販売も実施しており、豊岡出身者のふるさとへの愛着と誇りを高める機会としての役割を果たしています。
 今年5月には、アンテナショップのある東京交通会館イベントスペースで、「但東中学校MISSION IN TOKYO(ミッション イン トーキョー)」と題し、但東中学校3年生が地域産品の販売と豊岡市のPR活動を行う場としても活用されました。
 今後も、安定的な経営を基盤とした上で、引き続き「豊岡市のブランドイメージを売り出す情報発信拠点」としての機能を果たすように努めてまいります。
 次に、外国人観光客の動向等について申しあげます。
 昨年の豊岡市内に宿泊した外国人の延べ人数は3万4,318人で、前年と比較し約2.3倍の大幅な増加となりました。
 今年4月から6月の第2四半期は1万1,939人で、前年比1.37倍となり、引き続き順調に増加しています。第1・第2四半期を合わせると2万2,481人で、前年比1.57倍になります。
 誘客のターゲットとしている欧米豪の第2四半期は、前年比で欧州が1.08倍、北米が1.42倍、豪州が1.20倍の伸びとなりました。
 外国人宿泊客が最も多い城崎地域の第2四半期は1万934人で、昨年同期8,091人の1.35倍となりました。豊岡地域は580人で、昨年284人の2.04倍、竹野地域は383人で、昨年71人の5.39倍となっており、城崎温泉以外のエリアにも外国人観光客が訪れるようになってきています。
 平成26年8月からCIR(国際交流員)として市のインバウンド事業に従事してきたイギリス出身のサマンサ・バロウさんが任期を終えて離任し、新たに2人のCIRが大交流課に着任しました。カナダ出身のモーガン・ハレルックさんとフランス出身のノロ・ランドリアさんです。2人ともインバウンド事業に従事し、外国人目線のプロモーションや受入体制整備を行い、外国人観光客の誘客強化を図ってまいります。
 次に、コウノトリ育むお米の海外販路開拓に向けた取組みについて申しあげます。
 コウノトリ育むお米の海外市場を開拓するため、昨年度から海外の市場調査に関する業務を東邦物産株式会社に委託し、販売を重点的に推進する3カ国を選定しました。
 この重点推進国の一つ、アメリカ・ニューヨークで開催された日本食レストランエキスポの視察に、昨年度職員を派遣しました。その結果、期待できる商談会であると判断したため、今年9月24日に出展することとしました。
 出展ブースでは、コウノトリ育む農法の説明や関連商品の展示を行います。また、現地の料理研究家・土井陽子氏に協力いただき、調理法や食べ方の提案をするなど、現地の方に受け入れていただけるよう出展の工夫をいたします。
 また、9月1日から21日までの3週間、ニューヨーク・マンハッタンにある高級寿司・和食店「ブラッシュストローク」と高級フレンチレストラン「ブ―レイ」で、コウノトリ育むお米を使った料理を提供していただく試験事業を展開します。
 この取組みの結果等を踏まえ、関係機関と連携し、早期に本格的な輸出が図れるよう推進してまいります。
 次に、IT企業の誘致について申しあげます。
 IT(情報通信)技術の発達により、事業拡大を進めているIT関連企業では、地方移転やサテライトオフィス開設への関心が高まっています。
 IT関連企業の誘致は、若者、特に女性が働きたいと思う企業を増加させることになり、UIターンを推進するために効果的です。
 そこで、IT関連企業の立地優遇制度を拡充し、IT関連企業の誘致の推進を図るため、今議会に関係条例の改正案と補正予算を提出しています。
 次に、Iターン就業者等シェアハウス整備推進補助金について申しあげます。
 近年、鞄業界などを中心にIターンによる就労者が増えていますが、見知らぬ土地での生活は精神的に不安であるとともに、高額な家賃が家計を圧迫し、経済的にも厳しい生活となっています。
 Iターンにより市内事業所で働く、または働くために学校へ通う39歳以下の若者に、低廉な家賃で、入居者同士が交流しながら居住できる住宅を最長3年間提供するため、既存住宅等をシェアハウスとして整備する費用に対し補助金を交付します。
 これにより、豊岡市内に移住して就労する若者を増やし、移住定住の促進を図ってまいります。
 次に、産業用地の造成について申しあげます。
 市有地及び民有地で、直ちに企業が立地できる適地が無いため、平成25年度に企業立地適地選定調査業務を実施し、以後、用地造成実施についての検討を続けてきました。
 その結果、北近畿豊岡自動車道に関連し県が建設する県道「但馬空港線」の沿線土地が、最も実現性の高い場所であると判断し、企業立地用地として利用が可能かどうか判断するための調査を実施しました。
 調査結果を踏まえ、産業用地としての整備を行うこととし、事業に必要な補正予算を今議会に提出しています。
 次に、専門職大学の設置について申しあげます。
 豊岡の人口減少の最大の要因は、4年制の高等教育機関がないことなどから、高校卒業後の就職・進学期を中心に10代で大幅な転出超過が発生するのに対し、20代でのUIターンによる回復率がわずか35パーセント程度しかないということにあります。
 豊岡の地方創生にとって、4年制の高等教育機関の設置は、若者のUIターン促進とともに決定的に重要な政策課題となっています。
 こうした中で、過日、中央教育審議会は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関、いわゆる専門職大学の制度化に向けた答申を行いました。
 この専門職大学は、地域の産業を支えることによって地域を支える人材の育成を目的とするもので、若者の進学による転出超過の抑制に役立つことはもとより、産業の活性化を通じてUIターンの増加にも大きく寄与するものと期待できます。
 幸い、市内には県立但馬技術大学校があり、技術者養成の歴史とノウハウがあります。しかも、ものづくりにおける高レベルの技術者の必要性は、今後豊岡のみならず全国的に高まるものと考えられます。
 また、豊岡では、城崎温泉を中心にインバウンド需要が劇的に増加しつつあり、基幹産業の一つである観光を支える高レベルの人材の必要性が今後ますます高まっていくものと想定されます。
 特に、日本文化の魅力にひかれてくる外国人観光客への対応を考えると、観光を総合コミュニケーションと捉えた人材の育成は不可欠です。同時に、豊岡での実践教育は、観光立国を目指すわが国の地域人材育成の面でも大きな貢献につながるものと考えられます。観光立国を目指す他の国々からの留学生を呼び込むことも不可能ではありません。
 教師を含め、さまざまな人材が集まることは、大きな地域活力の源泉にもなります。
 同様のことは、但馬地域全体についても言えます。
 そこで、過日、但馬3市2町共通の課題として、但馬技術大学校をベースにした県立の専門職大学を誘致することを市町長で合意しました。全国や海外からも学生を呼び込めるような、ものづくり技術系列、観光コミュニケーション系列等を柱とした、魅力的な4年制専門職大学の設置を知事に強く要望しました。同時に市町自らの課題としても積極的に取り組む決意を伝え、知事からは検討するとの回答をいただいたところです。
 今後、地方創生の戦略的事業として、但馬を挙げた取組みを進めてまいります。

 次に、お試し居住事業等の拡大について申しあげます。
 長期間空き室となっている市営住宅の効果的な活用と移住定住促進施策として、但東町の久畑二ノ宮住宅の一部をお試し居住事業として活用してきました。今後、さらなる定住支援を図るため、過疎地域に限定せず、事業を市内全域に拡大することとしました。
 また、長期間空き室の市営住宅を市外から市内の大学へ進学する学生に提供することで、住宅にかかる経済的負担の軽減を図るとともに、学生の確保を支援したいと考えています。兵庫県立大学からも、学生用の住居整備についての要望が寄せられているところです。
 このため、今議会に関係条例の改正案と市営住宅改修にかかる補正予算を提出しています。
 次に、北近畿豊岡自動車道の延伸に伴う「道の駅」整備について申しあげます。
 昨年度に実施した「道の駅」可能性調査業務においては、将来交通量予測を基に本線とのアクセス方法や観光拠点への誘導性などから、四つの候補地を選定しました。
 今年度は、庁内検討会でさらに候補地を絞り込み、導入機能・施設規模・管理運営手法等の検討を進めることとしていました。
 こうした中で、国から、新たに事業化された「豊岡道路」の測量調査エリアを検討するため、(仮称)豊岡インターチェンジ付近での「道の駅」の可能性について、8月中旬までに回答がほしいとの要請がありました。
 そのため、候補地について経営の観点も踏まえ検討した結果、(仮称)豊岡インターチェンジ付近での可能性が高いと判断し、国に対し「道の駅」の可能性を含めた測量調査を依頼したところです。
 今後は、国の測量調査結果を基に、「道の駅」の規模やアクセス方法等を含めた整備の可能性について検討するとともに、庁内検討会で、整備に伴う導入機能や管理運営手法等の具体的な検討も進めていきたいと考えています。
 次に、北近畿豊岡自動車道「八鹿日高道路」の開通記念イベントについて申しあげます。
 今年度中に供用開始予定の「八鹿日高道路」の供用開始直前に、地域のさまざまな団体や市民で完成を祝うとともに、地域情報等を広く発信し誘客促進を図ることを目的とした開通記念イベントを実施したいと考えています。
 具体的には、完成した道路やトンネルを使って、各地域の特色ある飲食や特産品を販売したり、豊岡への観光誘客につながる映像を上映し、イベント会場に来られた方々に豊岡の魅力を発信します。
 今後の大交流の推進と地域経済の活性化に寄与するものとして、事業に必要な補正予算を今議会に提出しています。
 なお、開通後の誘客対策については、現在、市内全域への広がりを検討しており、12月議会に補正予算を提出する予定にしています。
 次に、移住定住促進について申しあげます。
 今年度から大交流課に定住促進係を置き、移住定住の総合的な窓口を整備しました。窓口では「仕事」と「住まい」「暮らし」についての情報を一元的に集め、移住や定住を考える方に分かりやすくお伝えしています。
 また、移住促進に関するパンフレット・ポスター・動画等の作成・発信、都市部で移住相談会を開催するなど、さまざまな取組みを進めています。
 窓口での相談件数も今年の4月から7月は77人で、昨年同期の34人と比べ2.26倍と増加しており、移住への全国的な流れもあり、取組みの成果が出始めています。
 今後は、引き続き取組みの推進と窓口での的確な対応を行うとともに、「飛んでるローカル豊岡」のスローガンの下、市内外に豊岡の魅力と価値を浸透させるとともに、情報発信を行うことにより、さらなる増加を目指してまいります。

未来を拓く人を育むまち

 第4に、「未来を拓く人を育むまち」に関連する内容について申しあげます。
 まず、子育て広場の整備についてです。
 市内に公園施設は数多くありますが、子育て中の方からは「小さい子ども向けの公園」を望む声を聞いています。そこで、子育て応援策の一つとして、旧市町単位に「子育て広場」として芝生広場の整備を検討します。
 既存の公共用地等を活用し、実際に利用される子育て世代の声を生かして改修します。今年度は候補用地の絞り込みと子育て中の方に参加いただくワークショップにより意見聴取等を行い、来年度以降に設計・施工へと進めてまいります。
 次に、小規模保育事業について申しあげます。
 平成27年度施行の子ども・子育て支援新制度の中で、小規模保育事業が市町村の認可事業である「地域型保育事業」として位置付けられました。この事業は、多様な保育ニーズに対応するため、0歳から2歳児を対象に、定員6人から19人の少人数できめ細やかな保育を提供し、乳幼児の健やかな成長を支援するものです。
 市内保育所では、平成25年度から4年間続けて待機児童が発生しており、今年4月現在では16人となっています。その全員が豊岡地域の児童で、うち14人が0歳から2歳児という状況です。
 この待機児童の早期解消を図るために、保育ニーズの高い豊岡地域内で小規模保育事業の展開を促進したいと考えています。
 なお、今議会に小規模保育事業のための施設改修費補助に係る補正予算を提出しています。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第5に、「人生を楽しみお互いを支え合うまち」に関連する内容について申しあげます。
 まず、社会包摂(ソーシャル・インクルージョン)の推進についてです。
 私たちは、障がいのある人や他の国籍を持つ人など、さまざまな人々とともに日々を暮らしています。しかし、その関係は、支援する側とされる側という立ち位置になりがちです。
 今、求められているのは、福祉という狭義の観点ではなく、さまざまな違いを互いに認めあいながら、皆に居場所と出番のあるまちづくりです。
 社会包摂は、人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合うという理念・概念です。
 「豊岡市いのちへの共感に満ちたまちづくり条例」に定める一人一人を尊重するまちづくりを推進するために、まずは市職員自らが社会包摂の概念について理解・意識を深め、施策への反映を検討したいと考えています。
 次に、出石文化会館の施設管理について申しあげます。
 出石文化会館ひぼこホールは、平成6年の開館から22年経過しました。これまで、必要に応じて維持修繕を行ってきましたが、屋根や外壁の経年劣化が予想以上に進んでおり、屋根部材の落下も発見され、人的被害の恐れも出てきました。また、付属施設の地盤沈下も確認されています。
 緊急措置として、部材落下が懸念されるエリアへの立ち入り禁止措置や、屋根の応急措置を実施しています。
 このような状況を受け、建物自体の老朽度調査を実施したいと考えています。
 老朽度調査の結果と機能維持のために必要となる舞台設備等の大改修、地盤沈下対策の概要を踏まえ、ひぼこホールの今後について、検討を行ってまいります。
 次に、日高文化体育館の改修について申しあげます。
 日高文化体育館は、昭和62年の開館から29年経過しています。今年5月には、外壁の一部が剥がれタイル破片が落下するなど、老朽化による施設の破損、劣化等が散見されるようになりました。
 当施設は、災害時の避難所に指定していることから、安全性の確保を最優先する必要があります。
 このため、緊急措置として外壁の全面的な点検を行うとともに、剥離等の劣化が著しい部分の改修を行い、建物の長寿命化を図ります。
 また、当施設は吊り天井などの非構造部材における耐震化対策が未実施となっているため、来年度に吊り天井等の耐震化に併せて、照明機器のLED化、空調設備等の改修を行うこととし、今年度、実施設計を行いたいと考えています。
 次に、ホストタウン事業の進捗について申しあげます。
 国では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、地方公共団体と大会参加国とが相互交流を行うことで、地域の活性化を図る取組みであるホストタウン事業を推進しています。
 本市は、6月14日付けでモンゴル国を相手国とするホストタウンに登録されました。長年続けてきたモンゴル国との交流に、スポーツ分野による交流が加わることで、より幅広い関係構築が期待でき、小さな世界都市豊岡の価値を高め、まちの活性化につながるものと考えています。
 その一環として、同国のボクシングチームの事前キャンプを誘致すべく、現在、モンゴル側と折衝を行っています。今年度中には、事前調査団を迎えて条件面などを調整し、事前キャンプの実現へ向けて協定を締結したいと考えています。
 次に、新しい地域コミュニティの推進について申しあげます。
 地区公民館をコミュニティセンターへ移行する来年4月まで、半年余りとなりました。スタートに向けた仕組みづくりの検討も、いよいよ仕上げの段階に入っています。
 今議会に、関連する条例の制定及び改正案と、新たに債務負担行為の設定に係る補正予算を提出しています。
 また、地域向けに組織運営に係る概要の説明会を5月に開催しましたが、今回の議案の内容も踏まえ、10月に再度、より詳しい説明を行う予定にしています。実務的な面も加えて地域の皆さんに理解を深めていただき、スムーズなスタートを切りたいと考えています。

市政の運営

 第6に、「市政の運営」に関連する内容について申しあげます。
 まず、地方創生の推進についてです。
 昨年10月30日策定の地方創生総合戦略は、今回、戦略会議を経て、最終的な成果指標等の整理及び設定を確定させ、7月26日付で第2版を策定したところです。この戦略に沿って、しっかりと取り組んでまいります。
 今年度から地域再生法に基づき交付される地方創生推進交付金は、当初予算で計上した事業を組み合わせ「横展開タイプ」による2事業の交付申請を行ったところ、地方創生の先導的な事業に認められ採択されました。
 一つは「豊岡が好きだから帰ってくる」事業で、ふるさと教育、英語教育、コミュニケーション教育の3つを柱としたローカル&グローバル教育と、鞄を中心とした安定的な雇用創出や、Uターン就職の取組みとなっています。
 もう一つは「世界の人々が豊岡を楽しむ誘客」事業で、外国人観光客をターゲットとした動向分析・PR事業のほか、首都圏からのアクセス強化や二次交通の充実、地域プロデューサーの配置などの取組みです。それぞれの事業に満額の2,500万円の採択を受けました。
 当初は、国費1億円を上限とした「先駆タイプ」と国費2,500万円を上限とした「横展開タイプ」の2事業で交付申請を行う予定としていました。しかし、5月中旬に国から「先駆タイプ」の申請要件が「複数自治体による共同事業を前提としたもの」に急きょ変更されたため、市単独事業は申請要件に該当しなくなりました。
 このため「先駆タイプ」の交付申請を断念し「横展開タイプ」による2事業の交付申請を行うこととなったものです。
 その後、国は今回の申請状況等を踏まえ、事業の申請上限数の緩和措置などを図り、本市もさらに1事業の追加申請が可能となりました。9月の第2回申請で「横展開タイプ」による交付申請を行うこととしています。
 次に、放棄した債権について申しあげます。
 昨年4月1日に「豊岡市債権の管理に関する条例」を施行し、平成27年度末に初めて、死亡、行方不明、破産、生活困窮等の事由により時効期間を経過し、徴収不能と判断した債権を中心に放棄を行いました。
同条例の規定に基づき、決算の認定に合わせ、今議会に報告するものです。
 放棄した債権の概要は、建築住宅課、教育総務課、水道課の3課、9債権、一部に水道の水栓数を含みますが、延べ1,428人、7,141万7,842円です。
 今後とも滞納が生じないよう取り組むとともに、生じた滞納については適切に管理、徴収に努めてまいります。
 次に、農業委員会法改正に伴う農業委員会の体制変更について申しあげます。
 農業委員会等に関する法律が改正され、農地の集積化や耕作放棄地の発生防止など農地利用の最適化をより良く果たせるように、農業委員会制度が大きく変わりました。
 主な変更点は、(1)農地法に基づく許認可事務に加え、農地等の利用の最適化の推進が最も重要な事務であることを明確にしたこと、(2)農業委員の選出方法が公選制から市長が市議会の同意を得て任命する方法になったこと、(3)担当区域における農地利用の最適化推進のための現場活動を行う農地利用最適化推進委員が新設されたことなどです。
 豊岡市農業委員会では、現委員の任期満了後の平成29年4月21日に新体制をスタートさせる必要があり、現在、その準備を進められています。
 このため、新しい農業委員、農地利用最適化推進委員の定数等に係る条例案を今議会に提出しています。

予算、決算

 次に、平成28年度一般会計補正予算第5号について申しあげます。
 予算全体を見直し、今後の執行見込額を精査する中で、過不足が生じる経費や昨年度の人事院勧告の反映、及び今年度の人事異動による人件費の整理など、緊急やむを得ないものを計上しています。
 歳入歳出予算の補正総額は7億8,406万6千円の追加となり、これに必要な財源は繰越金等で措置しています。
 また、平成27年度の決算確定に伴う決算剰余金の処理のため、財政調整基金へ4億6千万円を積み立てます。

 次に、平成27年度の決算の認定に関連し、その概要を申しあげます。
 一般会計の総額では、北但ごみ・汚泥処理施設整備事業に伴う北但行政事務組合への負担金の大幅な増額とそれに伴う合併特例事業債発行額の増額により、歳入歳出とも500億円を上回る規模となりました。
 歳入面では、市税収入が、個人市民税や法人市民税では増収となったものの、固定資産税が3年に一度の評価替えの影響により大幅に減収となり、全体としては減額となりました。地方消費税交付金、コウノトリ豊岡寄付金は、大幅な増額となっています。
 一方、歳出では、社会保障関係費の自然増や高い水準で推移している公債費に加え、北但行政事務組合への負担金が増嵩するなど厳しい状況が続きました。
 しかし、財源の確保や経費の節減に努め、平成27年度は「豊岡市地方創生総合戦略」を策定し、人口減少対策に着手しました。また、「小さな世界都市」の実現を目指して、豊岡エコバレーと大交流、これらを支える情報発信と人材育成に重点的な予算付けを行い、国内外への情報発信やインバウンド戦略など特長的な施策を展開し、地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、コミュニティ、災害、経済衰退、財政崩壊という四つの危機に立ち向かうため、新しい地域コミュニティのあり方検討、学校等公共施設の耐震化、経済成長戦略の推進、公共施設マネジメント計画の策定など、果敢に、大胆に、挑戦する施策を推進してまいりました。
 その結果、一般会計の最終的な実質収支については、8億3,352万9千円の黒字決算となりました。平成26年度の実質収支額との差引きである単年度収支額も、8,775万5千円の黒字となり、年度中の基金への積立金や取崩し額など黒字・赤字要素を加味した実質単年度収支は11億2,567万7千円の黒字となり、おおむね適切な財政運営ができたものと考えています。
 なお、経常収支比率については、87.6パーセントと前年度から1.2ポイント改善しています。地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率については、今議会に監査委員の意見を付して報告しています。実質公債費比率は12.6パーセントと前年度と比較し1.3ポイントの改善となり、地方債発行の許可団体を判断する18パーセントを引き続き下回りました。将来負担比率は112.5パーセントと1.7ポイントの負担増となりましたが、早期健全化基準を下回っています。
 このように財政指標については国の基準を下回っていますが、いまだ地方債の現在高が非常に高い水準にあります。下水道事業などの公営企業や一部事務組合に対する一般会計の負担についても、今後、引き続き高い水準で推移することが見込まれ、厳しい状況が続くものと考えています。したがって、企業会計や一部事務組合を含めた公債費負担の適正化を図ることが最重要課題であると認識しています。
 加えて、税収入の確保、未利用地の売却、滞納対策の徹底や受益者負担の適正化等財源の一層の確保に努める必要があります。また、歳出面では、経常的経費の抑制など、一層の削減を図らなければならないと考えているところです。
 以上が決算の概要です。詳細については、お手元に決算書及び関係資料をお届けしていますので、ご清覧賜りますようお願い申しあげます。
 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
 ありがとうございました。

より良いウェブサイトにするために、ページの感想を聞かせてください。

質問:このページの情報は役にたちましたか?
質問:このページの内容は分かりやすかったですか?
質問:このページは見つけやすかったですか?

このページに関するご質問やご意見は、「このページに記載されている情報の担当課」までお問い合わせください

このページに関する問合せ

市長公室 秘書広報課 秘書係
〒668-8666 豊岡市中央町2番4号
電話:0796-23-1114 ファクス:0796-24-1004
問合せは専用フォームを利用してください。