平成21年第6回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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 8月28日、9月市議会定例会の議案提出にあたり、中貝市長が施政方針と当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成21年第6回豊岡市議会定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し、深く敬意を表します。

 過日の台風9号に伴う大雨で、市内で19棟が半壊、21棟が床上浸水、249棟が床下浸水、2棟が土砂流入等による一部損壊となるなど、大きな被害が発生しました。円山川では、お一人が亡くなっています。
 被災された皆様に対し、心からお見舞いを申しあげますとともに、今回の災害でも示された地域での支え合い、助け合いの精神に対し深甚なる敬意を表します。
 当面、災害復旧に全力を挙げるとともに、被災された方々に対し、市税、上下水道料金、ごみ・し尿処理手数料等の減免を行うなど、生活再建の支援をしてまいります。併せて、現在進められている激特事業等の治水対策のさらなる推進を国、県に強く要望してまいります。
また、最大の被害を受けた佐用町に対し、災害ごみ撤去のため職員と車両・重機を、被災家屋調査のために同町と宍粟市に対して職員を派遣したところです。
 本格的な台風シーズンはこれからです。市役所の組織を挙げて気を引締め直し、市の危機管理全般に関する改善点を洗い出し、備えを強化してまいります。
 市民の皆様も、「みんなの力で命と暮らしを守る」という豊岡市地域防災計画の合言葉をもう一度思い出し、それぞれの備えを強化していただきたいと思います。

 さて、今期議会に私から提案いたします案件は、報告事項6件、事件決議9件、条例6件、予算11件、決算認定5件の合計37件です。
 なお、会期中に報告事項1件、人事案件1件、事件決議1件を追加提案する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。

 それでは、当面する市政の諸課題並びに提出議案の主なものについて、ご説明申しあげます。

 まず、副市長候補者の選任について申しあげます。
副市長候補者を公募したところ、1,371人もの方に応募をいただきました。
 第1次選考では、論文や民間での実績等から8人の方に絞り込み、第2次選考では、辞退のあったお一人を除く7人の方に対し、5人の選考委員による面接を行い、候補者を決定しました。適任者が得られたものと喜んでいます。
 今期議会会期中に選任同意議案を提出したいと考えていますのでよろしくお願い申しあげます。
 なお、この度の公募において、豊岡のまちづくりの理念や姿勢に全国の多くの方から共鳴をいただき、そして、素晴らしい方々に応募いただきましたことに、心からの感謝を申しあげます。
応募いただいた方の熱意に恥じないよう、しっかりとまちづくりを進めてまいります。

 続いて、市政の諸課題について、総合計画に沿って申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

第1に、「安全に安心して暮らせるまち」に関連する内容についてです。

 まず、円山川緊急治水対策事業は、引続き、国において事業の推進が図られており、河道掘削については、円山川で新たに来日(くるひ)、下鶴井、一日市地区で、また、出石川では弘原地区の工事が順次発注され、来年3月に完了する予定です。
 なお、国では、これまでの河道掘削により、台風9号に伴う出水時には、水位が円山川立野地点で81センチメートル、同じく上山(うやま)地点で約90センチメートル、出石川弘原地点では71センチメートル低下し、大きな効果があったと報告されているところです。
掘削土砂の受入れについては、小河江地区では恒久調整ダムの構築中であり、奥岩井地区では工事用道路建設が進んでいます。
 中郷地区では、無堤地の解消に向けて工事が始まりました。また、一日市から小田井地区までの間については、堤防の嵩上げ・強化工事が来年3月の完成を目指して鋭意進められています。さらに、新たに円山川で二見、伏、今森地区等、出石川で小人(こびと)、下加陽地区等の護岸整備工事が順次発注される予定です。
 内水対策については、八代排水機場の排水ポンプの製作と上屋新築工事が平成23年3月の完成を目指して進められています。また、六方川、鎌谷川の防水堤工事は、来年3月の完成に向けて工事が進められているところです。
 KTR円山川橋梁架替え工事は、すでに橋脚は完了し、平成23年3月の完成を目指して工事が進められ、鳥居橋架替え工事についても、来年3月の完成を目指して、右岸工事と上部工の製作が進められています。
 稲葉川土地区画整理事業については、7月に日高町浅倉地区県工事区域の仮換地指定が完了し、県築堤工事の推進が可能になりました。引続き全体の仮換地指定に向けて事業の推進を図ります。
 今後とも、国、県と連携を図り、事業の促進を図ってまいります。

 次に、豊岡盆地地盤沈下対策について申しあげます。
 豊岡盆地では長期にわたり地盤沈下が進行し、沈下の原因究明と沈下抑制の取組みが懸案となっていました。このため、平成19年度から国、県、市が協力して、学識経験者による「豊岡盆地地盤沈下対策技術検討委員会」を組織し、検討を進めてきましたが、去る7月には委員会より提言がなされました。
 提言では、最終目標を「地盤沈下を進行させない」とし、地盤沈下を抑制するため今後10年間で消雪用地下水の汲上げ量を約50パーセント削減することや、地下水汲上げ規制等の取組みを図る必要があること等がまとめられています。
 市としては、この提言を踏まえ、地下水の汲上げ量の削減に向け、道路消雪工のセンサーを節水・節電型に更新したいと考えています。また、地下水汲上げの制限についても条例化を検討してまいります。

 次に、新型インフルエンザ対策について申しあげます。
 今月21日、国立感染症研究所は「インフルエンザ流行シーズンに入ったと考えられる」と発表しました。既に国内で死亡者が出ており、今月には市内でも感染者が発生したところです。
そこで、市では、既に各公共施設に手指(しゅし)消毒剤を配布するなど感染予防に努めていますが、引続き緊張感を持って警戒に当たります。
 今後、秋から冬にかけての流行に備え、対応策を定めておくことが必要です。弱毒性に対する行動計画は、市内で5月から6月にかけて発生した新型インフルエンザの教訓や反省点も生かし、とりまとめています。強毒性についても暫定版を作成済ですが、見直しが進められている国・県の行動計画を踏まえ、10月を目途に計画をまとめたいと考えています。

 次に高齢者運転免許自主返納サポート制度について申しあげます。
過去3年間の本市での交通事故死亡者数19人の内、65歳以上の高齢者が12人と大変高い割合であることから、本年、県から「高齢者交通事故防止モデル地区」に指定されています。
 市としても、高齢運転者による運転免許の自主返納の促進が高齢者の交通事故削減に繋がると判断し、県の「高齢運転者免許自主返納サポート協議会」に加盟して、自主返納の取組みを推進しています。
 湯島財産区では、自主返納した方への特典として、既に今月1日から城崎温泉外湯7湯(とう)の入浴料が400円にされています。そこで、10月1日からは城崎以外の6湯(とう)の入浴料についても、指定管理者の協力をいただき、一律100円を減額することとしました。これらを動機付けとして運転免許自主返納による高齢者の交通事故の削減を図りたいと考えています。

 次に、女性特有のがん検診推進事業について申しあげます。
 女性特有のがんである子宮頸(けい)がん及び乳がんについては、検診受診率が低いことが課題です。そこで、国は、市区町村が実施するがん検診に関し、特定年齢に達した女性に対して、子宮頸がん及び乳がんに関する検診手帳及びがん検診無料クーポン券を送付する「女性特有のがん検診推進事業」を設けました。
 これを受けて、本市においては、国の基準に沿う女性4,988人を対象に、検診手帳及び無料クーポンを送付し、がん検診の受診促進を図りたいと考えています。

 次に、総合健康ゾーン整備運営事業について申しあげます。
新設する健康増進施設については、7月上旬から本体部分の杭工事に着手し、現在、基礎工事を行っています。また、旧豊岡病院の第6病棟を改修する健康福祉施設についても7月上旬から工事に着手し、現在、既存施設及び設備の撤去を行っているところです。
 なお、医療との連携については、医師会の理解を得て行うべく、協議を進めてまいります。
今期議会には「施設の設置及び管理に関する条例」及び「指定管理者の指定に関する議案」を提出しています。指定管理者は、豊岡総合健康ゾーンPFI株式会社を予定しているところです。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、広域ごみ・汚泥処理施設整備事業についてです。
 北但行政事務組合では、地元との協議結果を踏まえ、進入路ルートの整備方針を確認し、7月には土地関係者会議を開催し、用地買収の準備作業を進めています。
 用地買収面積は、施設周辺の環境保全や環境学習にも配慮した整備を図るため、約37.4ヘクタールを見込んでいます。
 この事業は、「自分たちのごみは自分たちで処理する」という自治の基本に関わる事業であり、市としても、組合と一体となって全力で事業を推進してまいります。

 次に、上水道第5次拡張事業について申しあげます。
 佐野浄水場の改築は、すでに土木・建築工事を終え、現在、機械・電気設備工事を順調に行っています。今後、10月には試運転を開始し、来年1月より旧施設から新施設への切替えを行い、本年度末には新浄水場からの給水開始を予定しているところです。
 また、浄水場内整備工事については本年度中に発注し、来年12月には全ての整備を終えたいと考えています。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な「力」を高めるまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、山陰海岸ジオパークについてです。
 昨年度より取り組んできた世界ジオパークネットワーク加盟への申請に向けて、去る6月19日に日本ジオパーク委員会へ申請書の提出を行いました。
 7月には、東京でプレゼンテーションを行い、来る9月10日、11日には、日本ジオパーク委員による現地視察が行われ、9月下旬には山陰海岸・秩父・室戸の中から最多で2箇所が選定される見込みです。
 私も、今月22日から25日にかけて中国の山東省(さんとうしょう)泰安(たいあん)市(し)で開催された世界ジオパークネットワークのシンポジウムに参加し、山陰海岸を大いにPRしてきたところです。
 今後も、体験学習プログラム・ガイド養成講座の充実・サインの英字表記などの整備を進めるなど、山陰海岸ジオパークの充実を図ってまいります。

 次に、兵庫県大型観光交流キャンペーンについて申しあげます。
 4月からスタートしたキャンペーンは、6月末で終了しました。5月中旬の新型インフルエンザの影響により、所期の目的を達成することはできませんでしたが、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用し、誘客に向けた様々なイベントを展開してきたところです。
 なお、4月29日にスタートした「名探偵コナンミステリーツアー」については、昨日現在で7,141人を数え、順調に推移しています。
 インフルエンザ、台風など様々な障害が出現しますが、ひるむことなく着実に地域の魅力を強化し、観光の振興に努めてまいります。

 次に、第10回日・韓・中環境創造型稲作技術国際会議について申しあげます。
 この国際会議は、平成10年に開催された環境保全型稲作全国集会を契機に、韓国自然農業協会の提案で平成12年に韓国で開催された「日・韓・中環境保全型稲作国際交流会議」としてスタートし、本年で10回目を迎えたものです。
 日本、韓国、中国の3カ国における有機農業の取組みは目覚しい発展と広がりを見せています。この会議は、農業を食の安全のみならず地域の食文化の復権や生物多様性の保全に資するものと位置づけ、その技術の確立を目指しています。
 今回は、韓国蔚(うる)珍(ちん)郡において、3カ国約250人の環境創造型稲作関係者が参加して行われました。私はゲストスピーカーとして豊岡の環境創造型農業の取組みについて基調講演を行い、また、JAたじまから現状報告も行われました。この国際会議を通じて、3カ国の有機農業の取組状況や課題、今後の方向性が確認できたところです。
 なお、来年度の第11回国際会議は本市を会場として開催されることとなりました。この機会に、豊岡の取組みを広く東アジア諸国へ情報発信していくとともに、豊岡における環境創造型農業の拡大と栽培技術のステップアップに繋げていきたいと考えています。

 次に、コウノトリ但馬空港からの東京直行便について申しあげます。
 東京直行便実現のためには、就航する航空会社の確保とともに、羽田空港の拡張により増加する発着枠の中に小型機の政策的発着枠を確保することが必要なため、関係者と一体となって国等関係機関に働きかけてきました。
 去る7月、「羽田空港発着枠の配分基準検討懇談会」、通称スロット懇談会において最終答申のたたき台が示され、「100席以下の小型機による新規路線を開拓するためのチャレンジ枠」として1枠の創設が盛り込まれました。これは特に異論もなく了承されたため、最終答申にも盛り込まれるものと考えています。
 なお、これまでの懇談会の議論の経過から判断して、この小型機枠については但馬の想いを受け止め、コウノトリ但馬空港を多分に意識していただいたものと喜んでいるところです。
 今後は、「コウノトリ但馬-羽田路線」を就航する航空会社の確保に向け、引続き県等と協力し、全力で取り組んでまいります。

 次に、e通勤社会実験について申しあげます。
 公共交通を残すためには利用することが必要です。そこで、市役所の職員が本年4月から率先してe通勤を始め、モニターを行っているところですが、市役所以外の事業所も一緒になった利用促進が求められます。
 現在、市内の事業者に対しても公共交通による通勤に転換していただくお願いをしており、10月からは市内事業所も加わった通勤の社会実験を始めることとしました。そこで、より多くの事業所がこの社会実験に参加していただけるよう、参加事業所には通勤に伴う費用等の軽減支援を行うこととし、具体的検討を行っています。
 なお、市では、10月から全職員を対象としたe通勤に取り組みます。勤務地、居住地の立地上e通勤ができないなどやむを得ない事情のある職員を除き、e通勤とすることとしています。

未来を拓く人を育むまち

 第4に、「未来を拓く人を育むまち」に関連する内容について申しあげます。

 幼保のあり方計画の取組み状況についてです。
 去る7月に「豊岡市における幼稚園・保育所のあり方計画(案)」を策定し、この計画(案)について市内11会場において市民説明会を開催してきました。また、関係法人に対しても説明をし、協議を進めてきたところです。
 今後も関係法人等との協議を進めるため、最終的な計画の策定については、当初の「8月末を目途」を「10月末を目途」に変更し、引続き慎重に作業を進めてまいります。

市政の運営

 第5に、「市政の運営」に関連する内容について申しあげます。

 まず、市民の皆様との対話についてです。
 私が再び市政を担うに当たり、「お互いの声に耳を傾け、声なき声にもしっかりと心を傾ける」と所信を述べました。
 そこで、その実行の一環として、6月下旬から7月中旬にかけて市民の皆様と対話を行いました。今回は「ふれあいトーク」と銘打ち、本庁及び各総合支所において、地域活動で頑張っておられるグループ、子育て中の母親グループ、障害者のお世話をされているグループなど、合計16の市民グループの方々との対話を行ったところです。
 気心の知れた少人数での対話であればこそ出る切実な想いや頑張りを聴くことができました。今後も、様々な方法で市民の皆様との対話を図りたいと考えています。

 次に、情報発信戦略について申しあげます。
 情報発信戦略の一つとして、市のまちづくりの考えや豊岡の魅力を国内外に向けて強く、かつ効果的にアピールするために、11月に東京で「豊岡エキシビション」を開催する予定です。
対象には、主にマスコミ関係者、旅行業者等を考えており、コウノトリの野生復帰の取組みや、豊岡固有の自然・歴史・伝統・文化について講演やパネルディスカッションで紹介したいと考えています。
 また、出版社から、コウノトリを題材にした絵本が出版されることになりました。イラストレーターの「永田 萠」氏が絵を描き、県立コウノトリの郷公園の「池田 啓(ひろし)」氏が文章を担当されます。この絵本ついても、情報発信戦略の一環として全国のメディア関係者等を対象とする情報発信ツールとして広く活用したいと考えているところです。
 併せて、市内の図書館・分館を始め、小学校図書室などに置き、幸せを運ぶコウノトリの物語を通じた野生復帰の普及啓発も進めます。

 次に、新庁舎建設について申しあげます。
新庁舎建設基本計画で検討課題としていた現本庁舎の保存・活用については、6月定例議会における議論も踏まえて、「現本庁舎を保存し、活用する方向で基本設計を進める」との方針を決定させていただきました。
 その上で、新庁舎建設基本設計業務について、指名型のプロポーザルにより最優秀者を選定し、今月11日に業務委託契約を締結しました。この業務において、建物の配置、意匠、構造、既設建物の撤去、現本庁舎の改修や仮庁舎の計画等について、詳細な検討を行う予定です。
 新庁舎建設に当たっては、市議会の庁舎建設調査特別委員会の調査中間報告書でご指摘いただいた事項について十分に配慮するとともに、豊岡の固有の自然・歴史・伝統・文化を大切にするまちづくりの理念の下に、新庁舎が本市のシンボルとなるよう努力してまいります。
 現本庁舎の活用策については、機能面、費用面及び財源面の3つの観点から、防災機能、議会機能、市民交流機能の3つを軸に検討を進めてきました。
 その結果、現時点では議会の独立性を重んじ、重厚さと風格を活かした議会機能、具体的には本会議場を2階部分に配置するのが適切ではないかと考えています。この2階部分は、元々旧豊岡町の議場として設計・使用されていたもので、建築当初の内装に復元し必要な装飾を加えた上で、豊岡市政の歴史を刻む場としての議場とすることが相応しいのではないかと考えています。
 また、1階部分については、イベントや会議等の利用に供することを軸に検討してまいります。
 いずれにいたしましても、今期議会での議論も十分踏まえた上で、方向性を定めることとしています。
 今後も、市議会の意見を十分お聴きしながら基本設計を進め、建物の配置や意匠等の概要がまとまった段階で報告するとともに、市民説明会等を開催したいと考えています。

 次に、コウノトリグランドホテルに関する訴訟提起について申しあげます。
 株式会社リビングワールドがホテルを取得し、運営を開始するに当たり、平成17年3月、旧出石町において、地域交流の場の創出、観光、産業の振興及び雇用機会の確保等公益機能の増進のため、10年間のホテル運営を条件として5千万円の補助金を提供しています。
 しかし、同社がホテル運営から撤退し、営業が停止される事態となったことから、市では「ホテル再建に関する契約」を解除し、同社に対し補助金の返還を求めましたが応じていただけませんでした。そこで、このたびやむなく返還訴訟を提起しようとするものです。

 次に第2次行政改革について申しあげます。
 市では、本年度を最終年度とする行政改革大綱を策定し、各分野において様々な改革を行ってきました。しかし、なお類似団体に比べ歳出規模が大きく肥満体型となっており、さらなる歳出削減を行い、財政の健全化を図る必要があります。
 現在受けている合併に伴う地方交付税優遇措置は、平成28年度から平成32年度にかけて段階的に縮小されます。優遇措置が終了した平成33年度の一般財源を推計すると、本年度当初予算に比べ、優遇措置分の約29億円を始めとする地方交付税約37億円、交付金約1億円など、総額約42億円の減額となる見込みです。このうち、現在の行革の延長で29億円は対応できるものの、残りの13億円はさらなる行革で新たに生み出す必要があります。
合併特例債も平成28年度以降は利用できなくなり、財政は平成28年度を境に極めて深刻な状況となることが予想されます。
 そこで、引続き改革の取組みを進めることとし、第2次行政改革大綱を策定します。特に、人件費、物件費、負担金等のさらなる抑制を図るとともに、組織の見直しと平行して全体的なコストダウンに取り組み、全職員が絶えずコストを強く意識する組織となることが必要だと考えています。
 大綱の推進期間は来年度から平成25年度の4年間とし、大綱策定は本年11月頃を目途として現在行政改革委員会を行っているところです。
 なお、昨年度から導入している事務事業評価ですが、本年度については、主な17の事務事業について事務事業評価委員会の外部評価を行っていただき、既に評価結果を公表しました。すべての事務事業についても、本日公表することとしています。

 次に、上下水道料金賦課徴収業務の民間委託について申しあげます。
現在はメーター検針、閉開栓を民間委託していますが、市の行政改革大綱に掲げているとおり、より効率的な事業運営を図るため、来年4月から上下水道料金に係る受付から収納・滞納整理までの賦課徴収業務を一体的に委託したいと考えています。
 今後、業者の選定等を進める必要があることから、今期議会に債務負担行為の補正予算を提出しています。

 次に、豊岡自動車教習所用地等の売却について申しあげます。
 本教習所は、平成16年10月に民間企業に経営移譲を行い、現在、株式会社豊岡自動車教習所により経営が行われています。貸付料は年間約1,560万円ですが、この算定基礎である土地価格が下落していることから、同社より契約条項に基づき貸付料見直しについての申出を受け、併せて、「可能であるなら購入したい」との意向も聞きました。
これを受けて、市では、教習所建物の所有者である市が将来建物の老朽化による大規模修繕等を行わなくてはならないことなどを考慮すると、現在において売却し、財源確保を図る方が有利であると判断したところです。
 そこで、売却に向けた事務を進めるべく、今後、不動産鑑定等を行い、株式会社豊岡自動車教習所と合意に至れば、来年3月定例議会を目途に財産処分に関する議案を提出したいと考えています。
 なお、教習所以外の用途へ転用されることがないよう、売却に当たって条件を付したいと考えているところです。

 次に、財政健全化判断比率等について申しあげます。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律が本年4月1日に全面施行されました。「実質赤字比率」、「連結実質赤字比率」、「実質公債費比率」、「将来負担比率」の各健全化判断比率と公営企業会計に係る「資金不足比率」のいずれかが一定基準以上となった場合には、財政健全化計画等定められた計画を策定し、財政の健全化を図ることが義務付けられたところです。
 指標が「早期健全化基準」以上となると、自主的な改善努力を求められる「早期健全化団体」に、「財政再生基準」以上となると、国の管理下で確実な財政再建を図る「財政再生団体」となります。
 また、公営企業会計においても資金不足比率が「経営健全化基準」以上になると、自主的かつ計画的に公営企業の経営健全化を図る「経営健全化団体」となります。
 平成20年度決算について算定したそれぞれの指標については、今期議会において監査委員の意見を付して報告していますが、いずれの比率も基準未満でした。
 しかし、実質公債費比率については19.0パーセントと前年度と比較し0.8ポイント増加しました。また、将来負担比率も200.5パーセントと前年度と比較し47ポイントの大幅増となりましたが、これは計算上都市計画税廃止の影響を受けたもので、仮に都市計画税の代替財源額を算入して試算すると152.1パーセントとなり、実質的には前年度を1.4ポイント下回っていることになります。

予算、決算

 次に、平成21年度一般会計補正予算について申しあげます。
 一般会計専決補正予算第5号については、経済情勢の悪化により本年度分として予定納付を受けた法人市民税の還付が大幅に増加しているため、当面今月から9月までに必要となる還付金と加算金を、7月17日に専決処分しました。
 専決補正予算第6号については、台風9号災害に対応するための経費のうち、被災者の生活再建に必要な経費や障害物除去等緊急な対応が必要な経費について、今月21日に専決処分したものです。
 なお、本格的な災害復旧工事等の経費については、設計作業の進捗や国の査定日程等を踏まえ、補正予算案としてまとまり次第、今期議会会期中にも追加で提出したいと考えています。
 一般会計補正予算第7号については、歳入歳出予算全体を見直し、今後の執行見込額を精査する中で過不足が生じる経費や本年度の人事異動による人件費の整理など、緊急やむを得ないものを計上しています。広域ごみ・汚泥処理施設の用地買収に伴う北但行政事務組合への負担金1億2,226万7千円の追加など、補正総額は4億6,792万6千円となり、これに必要な財源は繰越金等で措置しています。
 なお、平成20年度の決算確定に伴い、地方財政法の規定に基づく決算剰余金の処理として、財政調整基金へ3億2千万円を積み立てます。

 次に、平成20年度の決算の認定に関連し、その概要を申しあげます。
 昨年秋以降、経済情勢が急速に悪化し、地方消費税など国・県からの交付金も大幅に減額となるなど厳しい状況となりました。しかし、財源の確保や経費の節減に努め、地域経済・環境・福祉・健康・子育て支援・安全安心・コミュニティ・文化など様々な分野の施策を行うとともに、定額給付金や地域活性化に繋がる経済対策にも取り組んできました。
 その結果、一般会計の最終的な実質収支については、6億2,802万3千円の黒字決算となりました。また、単年度収支でも1,031万円の黒字となり、概ね適切な財政運営ができたものと考えています。
 主な財政指標ですが、経常収支比率は91.1パーセントと前年度から1.2ポイント改善、公債費比率は18.1パーセントと1.3ポイント改善、起債制限比率も13.3パーセントと0.3ポイント改善しました。
 このように一般会計での公債費関係の指標については幾分改善が見られますが、未だ地方債の現在高が非常に高い水準にあることに加え、下水道事業などの公営企業や豊岡病院組合に対する一般会計の負担についても、今後引続いて高い水準で推移することが見込まれるため、厳しい状況となっています。したがって、公債費負担の適正化を図るため、繰上償還の実施や市債発行額の抑制など、公債費負担の縮減に努めることが最重要課題であると認識しています。
 加えて、税収入の確保、滞納対策の徹底や受益者負担の適正化等財源の一層の確保に努める必要があり、また、歳出面では、特に人件費や経常的経費については、徹底した見直し、一層の削減を図らなければならないと考えているところです。
 以上が決算の概要です。詳細については、お手元に決算書及び関係資料をお届けしていますので、ご清覧賜りますようお願い申しあげます。

 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については、担当部長から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
ありがとうございました。

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