平成22年第1回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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 2月26日、3月市議会定例会の議案提出にあたり、中貝市長が施政方針と当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成22年第1回豊岡市議会定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し、深く敬意を表します。

 さて、今期議会は、平成22年度の当初予算を始め、諸案についてご審議いただく、極めて重要な定例会です。
 本日、私から提出いたします案件は、報告事項3件、事件決議8件、条例11件、予算26件の合計48件です。
 なお、会期中に事件決議2件、予算2件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。

 まず、国民健康保険事業に関する2件の誤りについてご報告いたします。
 1つ目は、平成20年度国民健康保険に係る国県負担金の申請誤りです。
 コンピュータ処理プログラムの誤りにより、被保険者数等を誤った数値に基づき申請したため、国県負担金を約3,966万円多く受け入れていました。関連して、市の一般会計からも約1,322万円多く受け入れており、これらの合計約5,288万円をそれぞれに返納する必要があります。
 2つ目は、平成21年度国民健康保険税の税率算定に関する誤りです。
 所得割の税率算定の基礎データとして平成21年度の所得見込総額を用いるべきところを、平成20年度の所得実績を使用してコンピュータ処理をしていました。その結果、平成21年度の所得見込総額に基づいて算定する場合に比べ税率を低く設定することとなり、歳入欠陥を引き起こす見込みとなりました。
 これらに対応するため、6,605万6千円の基金を取り崩すこととしています。これらの誤りにより被保険者に不利益が特に生じているわけではありませんが、国民健康保険事業への市民の皆様の信頼を大きく傷つける結果となり、また、議員各位には誤った情報を基にご審議をいただいたことになり、大変申し訳なく思っています。
 2つの処理誤りは、基本的な確認作業の欠如に基づくものです。今後、コンピュータ処理に際し、特に注意を要する事項などの詳細な仕様書を作成し、処理工程チェックシートにより作業内容を確認するとともに、使用したデータや処理内容等についても十分なチェックを行うなど、再発防止に努めます。
 関係者の処分等については、今後さらに詳細を確認の上、決定いたします。また、私自身の責任についても、今期議会会期中に関係条例案を提出したいと考えています。議会および市民の皆様に深くお詫び申しあげます。

 さて、平成22年度の本市のまちづくりと市政運営に当たる私の所信を明らかにし、議員各位のご理解、ご協力を賜りたいと思います。

 平成22年度、私が提唱する合言葉は、「不可能への挑戦」です。
 昨年、豊岡市の経済成長戦略を策定するに当たり、市の経済予測を行ったところ、今後10年間で市内総生産、GDPは、マイナス8パーセントになるという結果が出ました。最大の要因は、人口減少による購買力の減少です。経済の縮小は市民生活を苦しめ、さらに市税の減少を通じて市民サービスの低下ももたらします。そこで、その傾向に反転攻勢すべく、GDPを10年間で2.3パーセント増加させるという目標を立てました。
 年平均にすると0.23パーセント、ほとんど現状維持のようなものですが、それを実現するためには製造品出荷額等は20パーセント増、宿泊客数は30パーセント増を図る必要があるなど、目標達成には高いハードルが横たわっています。
 人口減少局面において経済発展を遂げた地域は存在しないという学者もいるくらいですが、その不可能に挑戦いたします。
 そのために、2つの基本戦略を掲げることにしました。
 1つは、「豊岡エコバレー」の実現です。人口減少下にあっても、環境経済の分野は開拓の余地が大きく、経済発展の可能性を秘めています。
 市は、これまで環境と経済の共鳴を目指して環境経済戦略を進めてきましたが、その動きを加速いたします。環境経済型企業の誘致を促進する、市内企業の環境経済型技術・商品の開発を支援し実現する、地産地消を進める、コウノトリ育む農法を拡大する、エコツーリズムを広げるなど、環境経済の実践に満ちた刺激的なまちを「豊岡エコバレー」として築き上げてまいります。
 もう1つの基本戦略は、「大交流」の実現です。
 仮に定住人口が減ったとしても、より多くの人々に豊岡を訪れていただき、あるいはより頻繁に訪れていただけるようになれば、そのマイナス面を補うことができるはずです。「大交流」の実現には、(1)行ってみたくなる魅力的なまちを創ること、(2)そのようなまちが存在することを全国・世界に対して発信し、存在を知ってもらうこと、(3)その交流を支える交流基盤を整備すること、の3つが不可欠です。そのために、これまで豊岡が進めてきた歩みをさらに確かなものにしてまいります。
 人口減少による経済縮小との闘いは総力戦となります。市役所が頑張ることは当然ですが、企業・団体・関係機関も市民の皆様も何ができるかを考え、行動していただきたいと願っているところです。

新年度予算

 それでは、平成22年度予算の概要について申しあげます。
 限られた財源を最大限に生かすことを基本に、「人口減少下における経済活性化を目指す予算」と位置付けました。
 平成22年度の地方財政は、税収が急激に落ち込む一方で、社会保障関係費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、過去最大の財源不足になるものと見込まれています。このため、地方交付税は、国全体で対前年度比総額約1.1兆円増額されています。
 本市の平成22年度予算においても、地方交付税については本年度当初予算に比べて6億円の増額を見込んでいます。しかし、市税については、市民税全体で大きく落ち込み、市税全体でも前年度当初予算対比で約2億3千万円の減となる見込みです。
 依存財源が全体の66.2パーセントを占めており、脆弱な財政構造となっています。
 この厳しい状況を踏まえ、本年度策定した第2次行政改革大綱及び実施計画に沿い、未来に向けた財政の持続可能性を高めていくため、人件費の削減、負担金の見直し、職員のコスト意識の徹底などにさらに取り組んでまいります。
 こうした中で、限りある貴重な財源を総合計画に定める5つの分野の実現につながるよう予算付けを行い、一般会計では総額428億9,210万3千円、前年度当初予算対比3.4パーセント減の予算としています。特に、「豊岡エコバレー」と「大交流」の2つのキーワードに関連する予算としては、その主要事業に総額22億8,176万円を充てています。
 予算全体としては、一般会計のほか9つの特別会計の予算総額171億1,091万1千円および3つの企業会計の予算総額123億3,753万2千円を合わせ、総額723億4,054万6千円、前年度当初予算対比3.5パーセント減となっています。
 総合健康ゾーン整備などの大型事業の完了に伴い、当初予算における投資的経費は前年度比で減少していますが、現在の厳しい経済情勢に対処するため、「地域活性化・きめ細(こま)かな臨時交付金」を活用した事業として、今期議会に総額4億8,200万円の補正予算を提出しています。
 詳細の決定が遅れていた「地域活性化・公共投資臨時交付金」については、本市への交付限度額は5億4,515万1千円で、そのうち1億4,515万1千円は本年度の国庫補助事業の市負担分に充当することにします。残り4億円については、一旦財政調整基金に積み立てた上で、平成22年度に市単独事業の増額を図ることとし、次期市議会定例会に関連予算を提出したいと考えています。

 続いて、総合計画に基づき平成22年度に取り組む主な施策等についてご説明申しあげます。
 なお、教育行政の方針に基づく施策の展開については、教育長から別途、ご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 まず、「安全に安心して暮らせるまちづくり」についてです。
 防災・減災力の向上、消防・救急体制の充実を図るとともに、消費生活相談体制の充実、交通安全・防犯意識の高揚に努め、安全な暮らしづくりを進めます。
 また、生活習慣病予防や健康づくりの支援、医療環境の確保、各種福祉施策や社会保障の適正実施など、安心しておだやかに暮らせるまちづくりを進めます。

安全を守るまちづくり

 具体的には、「安全を守るまちづくり」として、国、県と連携を密にし、円山川緊急治水対策事業の促進を図るとともに、当該事業により新たに内水対策が必要となる赤崎、中郷、上山(うやま)地区等において内水対策解析事業を実施します。また、引続き稲葉(いなんば)川土地区画整理事業に取り組みます。
 昨年3月に策定した耐震改修促進計画を推進するため、新たに簡易耐震診断の個人負担の無料化および兵庫県わが家の耐震改修工事費補助制度への上乗せ助成を行います。また、住宅が倒壊した場合であっても生存空間を確保できるよう、1階居室または寝室の壁を補強する計画策定および改修工事に対し、市単独で新たな補助制度を創設します。小・中学校施設については、引続き耐震補強等の工事を行うための耐震診断、設計を行います。
 なお、職員の災害対応能力の向上を図るため、新たな取組みとして、防災専門機関と協働し、年間を通じて研修・訓練を実施します。
 また、災害時の避難行動などは、最後には市民一人ひとりの判断に委ねられることから、個々の判断能力を高めていただくことが不可欠です。そこで、FMジャングル、防災行政無線などを活用し、年間を通じて判断のポイントを繰り返し放送する予定です。
 地域防災力の向上に向けては、引続き台風23号メモリアル事業等を実施するとともに、消防ポンプ自動車などの更新や消防団と自主防災組織合同の水防訓練、自主防災組織への資機材補助などの活動支援を継続します。
 また、災害時の地域防災体制の充実を図るため、緊急時に、総合支所に対して経験豊富な市職員OBを防災支援員としてそれぞれ3人配置します。
 消防では、救急救命士・認定救急救命士を計画的に養成するとともに、緊急消防援助隊全国合同訓練への参加を通じて、大規模災害時の対応力の向上や消防機関相互の連携強化を図ります。
 安全な暮らしを支える取組みとしては、消費生活相談員の育成およびレベルアップを図るため、4月19日に但馬3市2町で「たじま消費者ホットライン」を設置します。
 また、新型インフルエンザ感染予防の啓発に努めるとともに、引続き手指(しゅし)消毒剤、サージカルマスクなどの感染防止用資材の備蓄を進めます。

安心しておだやかに暮らせるまちづくり

 「安心しておだやかに暮らせるまちづくり」としては、生活習慣病などの早期発見・早期治療につなげるため、すこやか市民ドックや健康相談、栄養改善指導などを継続します。特に、女性特有のがん検診については、特定年齢の方を対象に無料クーポン券を送付し、受診率の向上を目指します。
 また、県の施策を受けて、新たに10歳から15歳までを対象に入院医療費を一部助成する「こども医療費助成事業」を実施します。
 さらに、人が健康で生きがいを持ち、安全安心で豊かな生活を営むことができるまちを目指し、「スマートウェルネス豊岡構想」を策定します。
 地域医療対策としては、引続き医療の適正な受診を啓発する小児救急セミナーや目の愛護デー講演会を開催し、地域医療を守る意識の高揚に努めます。
 また、自殺予防対策にも取り組みます。
 高齢者に対しては、引続き日常生活の援助を行う軽度生活援助、人工透析患者等の通院を支援する外出支援サービス、バリアフリー化や手すり設置など安全な住宅改造への助成などを行います。
 また、高齢者職業相談室が本年度末で廃止されることに伴い、新たに市の独自施策として「無料職業相談・紹介所」を開設し、高齢者に配慮した情報提供に努めるなど、高齢者の就業機会確保対策を進めます。
 障害者の支援では、自立と社会参加の促進に向けて、介護・訓練等給付事業、自立支援医療給付事業などを実施します。
 介護保険については、第4期介護保険事業計画に基づき、介護予防の推進を図るとともに、介護サービス利用者の支援、介護保険基盤の安定化など円滑な運営に努めます。
 在住外国人に対しては、コミュニケーション支援のため国際交流協会の協力を得て日本語教室の開催など多文化共生事業を進めます。
 第2次霊園整備については、平成23年度の墓地分譲を目指し、関連市道や公園、墓地区画等の整備工事を実施します。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまちづくり」について申しあげます。
 コウノトリをシンボルとして、コウノトリも住める豊かな環境を創造するとともに、環境経済戦略をさらに推進します。
 また、循環型のまちづくりや、環境美化事業の推進、快適で美しいまちづくりを進めます。

人と自然が響き合うまちづくり

 具体的には、「人と自然が響き合うまちづくり」として、コウノトリ生息地保全対策事業を進めるとともに、ハチゴロウの戸島湿地を核とした円山川下流域を中心とするエリアを対象に、新たに特定外来魚対策を実施するとともに、ラムサール条約への湿地登録を目指した取組みを強化します。
 本年は国連が定める「国際生物多様性年」であり、10月には、名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議、いわゆるCOP10(こっぷてん)が開催されます。このCOP10や引き続いて開催する「コウノトリ未来・国際かいぎ」で本市の生物多様性に向けた取組みを国内外に向けて強く発信します。また、その関連事業や豊岡のさまざまな魅力を紹介する第2回豊岡エキシビションを通じても訴えてまいります。
 加えて、名古屋市内での生物多様性・経済セミナーの開催、首都圏へのコウノトリ育むお米の販売促進事業に取り組むとともに、大学生等の学術研究活動支援や研究フィールドの提供など、大学との連携をさらに強めます。

循環型のまちづくり

 「循環型のまちづくり」については、エネルギーの地産地消の観点から、木質チップ・ペレット製造施設の整備と公共施設へのペレットストーブ、ペレットボイラーの設置を進めるなど、バイオマスタウン事業を推進します。
 また、太陽光発電システム導入補助を継続します。
 広域ごみ・汚泥処理施設については、北但行政事務組合と一体となって整備を進めてまいります。

快適で美しいまちづくり

 「快適で美しいまちづくり」については、新たな取組みとして、国の地域グリーン・ニューディール基金を活用し、海岸漂着物の集積が著しく、車両や人が立ち入ることが困難な田結(たい)の海岸部を重点的に、漂流・漂着ごみの回収・処理を実施します。
 また、安全で良質な水道水の安定供給のため、水道施設の整備を進めます。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な『力』を高めるまちづくり」について申しあげます。
 何よりも地域経済の活性化が不可欠です。昨年11月に策定した経済成長戦略を中心として農林水産業、商工業、観光・サービス業など産業全般にわたる振興策を推進し、地域経済を元気にするまちづくりを進めます。
 また、住環境や道路網の整備、公共交通の確保・充実、魅力ある景観形成や地域情報化の推進などにより、賑わいと魅力あるまちづくりを進めます。

地域経済を元気にするまちづくり

 具体的には、「地域経済を元気にするまちづくり」として、観光では、新たに行うメディア関係者招聘事業等により旅行代理店やメディアに積極的にアプローチし、豊岡の魅力を全国に発信します。特に、首都圏や中部圏からの誘客促進に努めるとともに、受入れ環境の整備、魅力的なイベントの開催などにより、観光客の増加を目指します。
 また、神鍋高原ノルディックウォーキングや城崎温泉の「ゆかたのファッションショー」等のイベントを支援します。
 さらに、子ども農山漁村交流プロジェクト推進事業と教育旅行誘致促進事業との連携により、新たな観光施策の推進に努めます。
 山陰海岸ジオパークについては、世界ジオパークネットワーク加盟に向けて、市民の関心を高めるため、説明板の設置、ジオツアーの実施などに取り組みます。
 農業では、コウノトリと共生する農村環境整備事業や特産物振興対策事業、畜産振興事業を実施するとともに、「コウノトリの舞」ブランドの普及・拡大を図ります。
 また、福江幹線排水路や蓼川幹線水路等の基盤整備促進事業を周辺環境に配慮した工法により実施し、農業の効率化に向けた取組みを進めます。
 有害鳥獣対策については、従来の有害鳥獣駆除対策事業に加え、新たに竹マルチと呼ばれる、竹を利用した防除施設の効果検証を行う有害鳥獣防除実証業務に取り組みます。
 林業では、市行造林事業や環境対策育林事業に取り組むとともに、本市で開催される「ひょうご森のまつり2010」に併せ、森を守り育てる意識の醸成を図ります。
 水産業では、外国人漁業研修生の受入れを継続し、漁業の活性化を図るとともに、並型魚礁設置や魚礁漁場調査などを実施し、水産資源の維持増大と沿岸漁業の生産性の向上を図ります。
 また、本市が管理する田結(たい)漁港に防風林を設置し、生活環境の改善に取り組みます。
 商業では、空き店舗対策として出店者への家賃補助や豊岡駅通商店街が実施する商店街の魅力を高めるための地域コミュニティ活性化拠点づくりとソフト事業への助成を行い、商店街の活性化を図ります。
 また、豊岡駅通りを中心とした中心市街地活性化計画の策定に取り組みます。
 企業誘致については、専門部署として経済部に新たに企業誘致課を設置するとともに、三方(みかた)東部工業団地の未造成区画を造成します。
 経済成長戦略の推進として、技術革新支援事業、企業見学会の開催、インターンシップの実施、産官学連携事業、B級グルメ開発支援などを実施します。また、コウノトリ育むお米の海外販路開拓やエコハウスの普及啓発などにも取り組みます。
 雇用対策としては、ふるさと雇用再生基金および緊急雇用就業機会創出基金を活用した緊急雇用対策を実施するとともに、無料職業相談・紹介所では、対象者を高齢者のみならず、市内企業に就職を希望するすべての方に拡大します。

賑わいと魅力を創るまちづくり

 「賑わいと魅力を創るまちづくり」としては、平成23年度完成を目指して、豊岡駅前広場整備事業を進めます。
 道路網では、昨年8月の台風9号により被害を受けた市道出合市場三原線の復旧事業に着手するとともに、市道阿金谷(あこんだに)轟線、立野大磯線、新堂内川線、内島(うちじま)6号線、一宮線等の道路整備事業を進めます。また、3年計画の2年目となる生活道路排水路等整備緊急対策事業に取り組みます。
 橋梁では、長寿命化修繕計画に基づき、駄坂橋、阿瀬川橋、福住(ふくすみ)橋の整備を進めます。また、橋梁点検により甚大な損傷が発見された地蔵湯橋および岩神(いわがみ)橋の整備を進めます。
 鉄道対策では、余部橋梁架替事業への支援や山陰本線・播但線高速化に向けた取組みを進めるとともに、鉄道利用促進策として、引続きJR・KTRともに企画列車の旅「市民号」への助成を行います。
 バス交通対策では、市営バス「イナカー」の利用促進を図るとともに、市街地循環バス「コバス」の運行を継続するなど、市民生活に必要なバス路線の運行維持に努めます。
 航空対策としては、ターゲット70(ナナマル)を中心としたコウノトリ但馬空港利用促進を強化するとともに、東京直行便の実現に向けて、国、運航事業者への要望を強化します。
 都市計画関係では、日高の地区構想の策定作業を進めるとともに、新たに竹野南地区でも作業に着手します。また、豊岡・城崎都市計画用途地域の見直し、新たに日高に用途地域指定することについての検討を行います。
 魅力ある景観の形成については、周囲の自然と調和したまちなみを継承し、良好な景観形成を図るため、平成23年度を目途に豊岡市景観計画の策定に取り組みます。
 地域情報化については、ブロードバンド基盤整備を促進するとともに、テレビ地上波デジタル化を促進するため、22カ所の自主共聴施設組合に施設の改修費用の一部を補助します。

活力を生むまちづくり

 「活力を生むまちづくり」としては、若者の定住促進のため、市内企業への就職などを条件に5名程度の但馬技術大学校生の授業料を補助する制度を継続します。
 また、定住促進策として、空き家バンク制度、田舎暮らし体験施設の運営、空き家見学ツアー、地域の暮らし体験ツアーを実施します。

未来を拓く人を育むまちづくり

 第4に、「未来を拓く人を育むまちづくり」について申しあげます。
 安心して子どもを産み、育て、子どもたちが心身ともに健やかに成長できるまちづくりを進めるため、市民・事業者・行政が一体となって子育て支援事業の充実強化を図るとともに、教育環境整備にも取り組みます。
 また、心豊かな人材育成を図り、郷土愛を育むまちづくりを進めます。

健やかで心豊かな子どもを育むまちづくり

 具体的には、「健やかで心豊かな子どもを育むまちづくり」として、次世代育成支援対策地域行動計画に基づき、総合的な子育て支援および少子化対策を進めます。
 まず、県の「安心こども基金」を活用し、子育てセンター整備事業、発達障害児等育児支援事業、運動遊びの検証事業等を推進します。
また、教育行動計画に基づき、家庭、地域、学校園などの役割分担と連携の下(もと)に、まちぐるみで子どもを育みます。
 本年度から始めた校園庭の芝生化については、5小学校・8幼稚園で実施します。
 学校給食施設については、アレルギー対応食に未対応であった豊岡給食センターの施設整備を引続き進め、8月の完成を目指します。なお、来る3月1日には「豊岡市学校給食施設のあり方検討委員会」から施設のあり方についての報告書を受け取る予定となっています。
 幼保対策事業については、「豊岡市における幼稚園・保育所のあり方計画」に基づき、但東地域の認定こども園の導入に向けた施設整備を実施します。
 交流については、韓国・モンゴル・アメリカへの小・中学生を中心とした訪問団の派遣・受入事業などを継続します。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第5に、「人生を楽しみお互いを支え合うまちづくり」について申しあげます。
 豊かな自然の中で、歴史・伝統や香り高い優れた芸術・文化に触れることにより、お互いを尊重しつつ、誰もが日々の暮らしを楽しむことのできるまちづくりを進めます。
 また、生涯学習や交流の拠点づくりなどで、最も身近なコミュニティである集落機能の活性化を図り、お互いを支え合う自立したまちづくりを促進するとともに、市民のふれあいや、スポーツ・レクリエーションに親しむことのできる環境づくりを進めます。

日々人生を楽しむまちづくり

 具体的には、「日々人生を楽しむまちづくり」として、永楽館において第3回目となる歌舞伎に加え、茂山(しげやま)お豆腐狂言の公演を実施します。
 地区公民館については、県が進める県民交流広場事業を取り入れ、市内5公民館の整備を行い、小野地区公民館の設計に取りかかります。
 また、生涯スポーツの振興を図るため、第43回日本女子ソフトボール1部リーグや全日本マスターズレガッタの開催を支援するとともに、住民総参加型チャレンジデー等を開催します。

お互いを支え合うまちづくり

 「お互いを支え合うまちづくり」として、集落の小規模化により活力が低下しつつある集落の維持・活性化を図るため、小規模集落活性化事業を実施します。
 また、元気と回復の意の元回(げんかい)集落サミットを開催します。
 過疎・辺地対策の実施、地域の活性化やコミュニティ活動の促進を図る団体への支援として地域力再生事業を継続します。

市政の運営

 第6に、「市政の運営」について申しあげます。
 それぞれのまちの固有の自然・歴史・伝統・文化を尊重し、特色あるまちづくりを進めてまいります。

特色ある地域の成長と連携

 具体的には、「特色ある地域の成長と連携」として、豊岡地域では、玄武洞公園を活用したジオパークの拠点づくりや豊岡駅前広場整備事業などを実施するとともに、コウノトリ野生復帰などの取組みをさらに強く国内外に情報発信し、地域の活性化を推進します。
 また、豊岡かばんの地域ブランドの確立に向けた取組みを支援するとともに、空き店舗出店者支援事業や豊岡駅通商店街が実施する地域コミュニティ活動への助成事業を実施します。

 城崎地域では、城崎温泉と市内各地の歴史・伝統・文化などの観光拠点を有機的に連携させ、多彩な周遊ルートの形成で滞在型観光をさらに推進します。
 また、全日本マスターズレガッタの開催を支援するとともに、ゆかたの似合うまち城崎をアピールする「ゆかたのファッションショー」の開催を支援し、城崎の観光の魅力をアップします。

 竹野地域では、スノーケル体験など、海・川・山を生かしたツーリズムにより参加体験型・滞在型の観光を進め、各種団体が連携して取り組み、3年目を迎える「たけのスタイル」が年度内に確立できるよう積極的に支援します。
 また、自然体験活動の拠点として子どもの野生復帰大作戦などを実施するとともに、「仲田光成記念豊岡竹野全国かな書展」をより多くの方に見ていただけるような工夫を加えて開催します。

 日高地域では、神鍋高原に日本女子ソフトボール1部リーグ等の各種スポーツ大会や合宿を誘致するとともに、四季を通じたノルディックウォーキングを支援するなど、スポーツのメッカ・観光スポットとして振興を図ります。
 また、植村直己を始めとする冒険家のチャレンジ精神を称え、日本の冒険文化を考えるきっかけづくりをする「(仮称)日本冒険フォーラム」を平成23年度に開催するための準備に取りかかります。
 さらに、かんなべ湯の森「ゆとろぎ」のあり方について検討します。

 出石地域では、永楽館の活用による文化の向上と地域の活性化を図るとともに、日本の伝統芸能の素晴らしさと永楽館の魅力を発信します。
 また、出石総合支所の空きスペースを活用して図書館出石分館および子育てセンターを整備します。
 さらに、平成23年度の「伊藤清永生誕100年展」開催に向けた準備に取りかかります。

 但東地域では、シルク温泉「やまびこ」とたんたん温泉「福寿の湯」を活用するとともに、農業体験ができる農家民宿、地域住民と行政が一体となったチューリップまつりなどの交流イベントや恵まれた自然と連携したグリーンツーリズムなどにより、交流人の増加を図ります。
 また、東井義雄の書籍を小中学校等に配置するとともに、教育講演会を開催し東井教育の普及を図ります。

 このような6つの地域の豊富な資源を生かすとともに、市域の連携を図り、特色ある地域づくりとまちの活性化をさらに推進し、市民の皆様と一体になったまちづくりを進めます。

参画と協働のまちづくり

 「参画と協働のまちづくり」については、指針として策定したガイドラインを活用し、市民と市の信頼関係によるまちづくりを進めます。
 また、男女共同参画プランについては、現プランの平成23年度中の改訂に向けて、平成22年度より市民アンケートの実施、推進懇話会での検討等に着手します。

新しい時代にふさわしい行政経営

 「新しい時代にふさわしい行政経営」については、効率的、効果的な組織体制とするため、豊岡エコバレーの実現や企業誘致の推進体制を強化するとともに、総合支所のサービスや急がれる課題に対応できる組織とします。
 また、財政構造の赤字体質を是正するため、第1次・第2次の行政改革大綱等を徹底的に推進します。特に、職員の意識改革を図るため、コストを意識した行動指針の策定、事務事業評価によるコスト意識の徹底、人材育成の体制強化に取り組みます。
 さらに、定員適正化計画に基づいて職員数の着実な削減を図る一方で、職員の資質向上のため、引続き国や他市に職員を派遣するとともに、研修事業の実施や自己研鑽の支援を行います。
 新庁舎については、実施設計を行うとともに、仮庁舎への移転を行い、平成22年度内の工事着手を目指します。

主要項目

 続いて、主な項目の詳細についてご説明申しあげます。

 円山川緊急治水対策事業は、国により激特期間内の完成を目指し、河道掘削、堤防整備、内水対策、橋梁の架替えなどが鋭意進められています。現在、650億円の事業費に対し、予算ベースで進捗率は約92パーセントと聞いているところです。
 激特事業は本年度で終わりますが、八代排水機場、KTRに関する工事、鳥居橋架替工事、一日市から小田井までの堤防整備工事等は、平成22年度中の完成に向けて鋭意進められるように伺っています。
 なお、KTR円山川橋梁の切替えは、本年4月5日から7日の3日間で行われる予定です。
 平成22年度以降の緊急治水対策事業では、引続き稲葉川改修、円山川下流部対策、遊水地等の事業が進められると聞いています。
 今後とも、国、県と連携を図り、事業の促進を図ってまいります。

 次に、スマートウェルネス豊岡構想について申しあげます。
 昨年11月、我が国の超高齢・人口減社会によって生じるさまざまな社会課題を自治体自らが克服するため、危機感を共有する全国の9市長が集まりました。そこで、筑波大学の久野譜也(くのしんや)准教授らと協働しながら、ウェルネス(健幸)をこれからのまちづくりの中核に据えた新しい都市モデル「スマートウェルネスシティ」の構築を目指すことになりました。
 健康施策が、ややもすると健康に関心のある少数の市民だけを対象とするものになりがちであるなど、これまでの健康施策の課題を踏まえ、健康になれるまちづくり、行動変容を起こしやすくなる仕組みづくりなど、まちづくりに健康の視点を取り入れた施策を推進していこうとするものです。
 平成22年度はスマートウェルネス豊岡構想を検討する委員会を設置し、自然体で健康になれるまちづくりなどを基本に、総合的な施策の検討を進めてまいります。

 次に、総合健康ゾーン整備運営事業について申しあげます。
 新設する健康増進施設ウェルストークおよび旧豊岡病院の第6病棟を改修する健康福祉施設の工事は予定どおり進捗しています。
 また、関連工事として、総合健康ゾーン付近の堤防、約4.5キロメートルに距離および消費カロリー表示板を設置します。これは、スマートウェルネス豊岡構想の事前の取組みとして、ウォーキングコースに位置付けるものです。
 既に、ウェルストーク豊岡準備室では、4月1日のウェルストーク開業へ向けた準備が進められています。会員募集も開始されていますが、市としても、より多くの市民が会員となり健康づくりに努めていただけるよう、各種団体への依頼など積極的なPRを行いたいと考えています。
 健康福祉部の健康福祉施設への事務所移転については、5月連休中に行い、5月6日からは新事務所で業務を開始する予定としています。
 なお、休日急病診療所については、連休中の対応が必要となることから、先に移転作業を行い、5月2日からの診療開始を予定しています。

 次に、ドクターカー導入研究会の発足について申しあげます。
 京都府北部、兵庫県北部および鳥取県における救急医療体制の確保のため、本年4月から豊岡病院でドクターヘリが運航されることになりました。これを受けて、豊岡病院の救急医も大幅に増員される見込みであり、この地域の安全度を飛躍的に高めるものと大いに期待しています。
 しかし、ドクターヘリには、夜間および暴風雨などの悪天候時には運航することができないなどの制約があります。
 そこで、ドクターヘリを補完するため、医師が救急車に乗って現場に駆けつけるドクターカーの導入について検討することにしました。
 今後、但馬の市町、消防本部、但馬長寿の郷、豊岡病院組合、八鹿病院組合等で構成する「(仮称)但馬地域ドクターカー導入研究会」を発足させ、検討を進めてまいります。

 次に、コウノトリ政策の推進について申しあげます。
 本年は生物多様性というキーワードを介して日本に注目が集まる年です。国際的にも大きな節目であるこの年に、まず、県とともに「第4回コウノトリ未来・国際かいぎ」を、生物多様性条約のCOP10終了直後の10月30日・31日に開催します。今回は、試験放鳥期間を終えた野生復帰事業と関連施策の今を見つめ、課題を整理し直すとともに、豊岡らしいまちづくりの今後の展望について議論を深めたいと考えています。
 さらに、「国際生物多様性年」関連事業として、年間を通じてさまざまな行事を行います。例えば、市と三井住友銀行の共催により、環境経済等をテーマにする連続セミナー「生きものの多様性の保全と事業活動」を名古屋市で開催するほか、日本、韓国、中国の「生物の多様性を育む農業国際会議」を豊岡で開催するなど情報発信に努めてまいります。

 次に、豊岡最終処分場の使用延長について申しあげます。
 平成12年11月1日に稼動した最終処分場の使用は、地元である口岩井区、奥岩井区との協定により本年10月31日までの10年間と限られていました。しかし、この間のごみの減量により、埋め立てる量が大幅に減少し、最終処分場容量に余裕があります。
 さらに、現在計画中の広域ごみ・汚泥処理の新施設が完成すれば、焼却灰等の処理は外部委託するため、埋立物は硝子くずや陶器くずなどの安定物だけに限られることになり、今後においても現施設の残容量に相当の余裕が生じることが予測されます。
 そこで、市と北但行政事務組合では、地元区に対して最終処分場が満杯になるまで使用延長させていただくよう要請してきましたが、この度、合意していただくことができ、今朝、協定書の調印を行ったところです。
 協定書には、使用期間を10年間延長すること、延長後の期間満了時においてなお残容量がある場合には再度協議を行い、さらに使用期間を延長するための条件を定めることなどを記載しています。
 諸事情をご理解いただき、ご協力いただきました口岩井区、奥岩井区に対し、厚くお礼申しあげます。

 次に、広域ごみ・汚泥処理施設の整備スケジュールの見直しについて申しあげます。
 施設は平成24年度竣工、翌25年度稼動を目指してきました。しかし、以前の候補地であった上郷区との協議に時間を要したこと、また、現在の森本区・坊岡区において、未だ理解を得られない地権者がおられ、用地取得になお時間を要する見込みであることなどから、当初のスケジュールでの実施は困難な状況となっています。
 この度、北但行政事務組合では、施設整備のスケジュールを平成27年度竣工、翌28年度稼動に見直すことを決定しました。
 今後は、このスケジュールに沿い、組合とともに鋭意取り組んでまいります。

 次に、水道料金等の今後の方向性について申しあげます。
 本市の公営企業は、これまで業務の委託化を始め、効率的・効果的な組織の構築などさまざまな改革を行ってきました。
 しかし、内部努力による経費削減にも限界があり、適正な料金への見直しを検討する必要があります。
 そこで、公営企業審議会を設置し、水道料金および下水道使用料の今後のあり方について、広い視点から審議していただくこととしています。

 次に、水道事業について申しあげます。
 上水道第5次拡張事業については、取水地点の変更と老朽化した施設の更新を行うため、平成15年度から進めてきました。
 佐野浄水場では、去る1月に旧施設から新施設への切替えを行い、現在、運転操作に係る各種調整作業を行っています。今後、3月25日に新浄水場の竣工式を行うとともに、浄水場内の整備工事については12月の完成を目指しているところです。
 なお、佐野浄水場の運転管理は4月1日から完全民間委託とし、さらなる効率的な事業運営を図ってまいります。
 一方、城崎および港地区では、夏場の渇水期に取水量が大幅に減少することから、安定した水源の確保が求められています。
 そこで、両地区における水道施設の今後の整備計画の方向性について検討した結果、新たな水源確保は困難であることが分かりました。このため、佐野浄水場からの送水を軸とした施設整備を進めたいと考えています。

 次に、下水道施設長寿命化・統廃合について申しあげます。
 市内には公共下水道、集落排水等54の処理施設があり、間もなく一斉に更新時期を迎えようとしていますが、一層効率的な運営を図ることにより、市民負担を減らす必要があります。
 そこで、現在ある処理施設について、処理区統廃合による合理化および施設長寿命化の計画を策定し、対策事業を実施したいと考えています。
 これにより、今後の改築更新事業費および維持管理費の縮減が図られるものと考えています。

 次に、新生産調整について申しあげます。
 平成22年度から戸別所得補償モデル事業が実施されます。これは、意欲のある農業者が農業を継続できる環境を整え、国内農業の再生を図り、食料自給力を向上させることを目的としています。
 市としても、JA等の関係機関と協力して本事業の加入推進を行い、市内農業者の水田農業の経営を安定させ、食料自給率向上に取組む環境を整備してまいります。
 戸別所得補償モデル事業は、「水田利活用自給力向上事業」と「米所得補償モデル事業」の二つの事業で構成されています。
 既に、今月23日から本日までの予定で、市内各所において農会長会議等で本事業の説明を行っていますが、今後もさまざまな場面で本事業を説明し、加入推進を図ります。
 なお、平成22年度から豊岡市地域水田農業推進協議会事務局をJAから市に移行することになりました。ただし、水田利活用自給力向上事業については、JAが主担当となり、米所得補償モデル事業については、市が主担当となることとしたところです。

 次に、北近畿豊岡自動車道について申しあげます。
 昨年11月、国が示した平成22年度の直轄事業の事業計画では、八鹿日高道路、日高豊岡南道路については、事業進捗見込額としてそれぞれ「0(ぜろ)から1億円程度」とされ、用地買収費の計上が見送られていました。
 八鹿以北の建設が凍結されると但馬にとって大打撃となるため、但馬の市町及び県と一体となって、国と政党に対し事業の推進を強く訴えてきました。
 その結果、この度、国から県に示された公共事業の実施場所、いわゆる箇所付けの仮配分で、両道路についての事業進捗見込額がそれぞれ「1億円程度」とされ、また、用地買収推進として新規に用地国債が盛り込まれることになりました。
 今後も国の動きを注視しつつ、全線早期完成を目指して、北近畿豊岡自動車道の必要性を強く国に訴えてまいります。

 次に、豊岡駅前広場整備事業について申しあげます。
 今月15日、JRでは新駅舎の建築工事に着手されました。まず、現駅舎の北側部分の取壊しが行われ、その場所に2階建の駅舎が建設されます。新駅舎完成後、平成22年度中に残りの駅舎部分も取り壊される予定です。
 広場整備や県による交番新築等も含め、平成23年度末には全事業が完了するよう、今後とも関係機関との調整を十分図りながら進めてまいります。

 次に、市営バス「イナカー」の運行計画の見直しについて申しあげます。
 イナカーについては、1年間の実証運行の利用実績を評価し、「路線維持に関する基準」に基づき次年度の運行計画を見直すこととしていました。
 この結果、11路線19系統のうち最低需要基準である1便当たり1人を超える利用が無く、かつ、通園通学に利用されていない2路線4系統については、4月1日から路線を廃止したいと考えています。また、他の路線についても、収支率20パーセントを満たしていないため、運行回数の削減など、運行計画の見直しを行います。
 今回の運行計画の見直しについては、市内11会場で説明会を開催し、市民の皆様のご理解を求めてきたところです。
 他方、市では、イナカーを廃止する地域を始め、現に最寄りのバス停から1キロメートル以上離れているような交通空白地域への対応を取る必要があるものと考えています。ボランティア運転手の確保や運行計画の策定から運行までを地域が主体的に取り組まれるような場合、運行経費の一部を市が間接的に支援する制度を平成23年度を目途に創設したいと考えています。
 平成22年度は関係地域と協議を進め、可能となればパイロット事業として一部地域で先行的に実施できるよう取り組みたいと考えています。

 次に、景観計画策定に向けた取組みについて申しあげます。
 本市には、自然・歴史・文化・伝統によって培われてきた素晴らしい地域固有の景観があり、県の景観条例により景観形成地区や風景形成地域も定められています。
 しかし、城崎や出石では、官民が協力して歴史的な景観の維持に努めているものの、近年、店舗の出店等により歴史ある景観の保全に苦慮しているのが実態です。また、田園地域や主要道路の沿道においても、良好な景観を損なう屋外広告物が目立っています。
 不適格物に対して是正の法的強制力がないことから、市自らが景観保全に取り組むこととしました。将来に渡って良好な景観が保全・創造され、そのことが地域を活性化し経済につながり、より一層「住み続けたい、住んでみたいまち」になれるよう、平成22年度から2カ年をかけて景観法に基づいた景観計画の策定に取り組みたいと考えています。

 次に、子ども手当について申しあげます。
 子どもたちの育ちを社会全体で応援する観点から、中学校修了までのすべての子どもを対象とする子ども手当が新たに創設されます。
 平成22年度は、一人につき月額1万3千円が支給されますが、子ども手当の一部として、児童手当法に基づく児童手当を支給する仕組みが残されます。このため、地方自治体、事業主も費用を負担することとなっています。
 対象の子ども約1万1千人に対する扶助費として、当初予算に支給総額14億595万円を計上しています。このうち、市が負担する一般財源は、1億5,649万4千円となります。
 また、子ども手当支給に係るシステム改修を行うべく、本年度の補正予算を提出しているところです。

 次に、上下水道料金徴収の民間委託について申しあげます。
 既に、水道メーターの検針、開閉栓業務を民間委託していますが、より効率的な事業運営を図るため、4月1日以降、上下水道料金に係る受付から収納・滞納整理までの料金関連業務について一体的に民間委託することとしました。
 選定した業者とはすでに業務委託契約を締結し、現在、各業務の円滑な移行に向け、引継ぎを進めているところです。
 なお、本業務の委託に伴い、4月以降の料金に係る窓口として、新たに、業者が運営管理する「豊岡市水道お客さまセンター」を企業部内に開設することとしています。

 次に、いのちへの共感に満ちたまちづくり条例の検討について申しあげます。
 水害で失われたいのち、東井義雄「いのちの教育」の広がり、人権問題への真剣な取組み、コウノトリの野生復帰、人と生きものとの共生、コウノトリ育む農法の広がりなど、合併前の市町も含め豊岡が積み重ねてきた経験は、私たちがさまざまないのちのつながりの中にいること、いのちの共感を持って互いに向き合うことが大切であることを教えています。豊岡が到達したその理念を「いのちの共感」としてまとめ、今後のまちづくりの基礎とするため、基本方針を定める条例を制定したいと考えています。
 今後、平成22年度中の制定を目指し、取り組んでまいります。

 次に、特別職の報酬等の改定について申しあげます。
 前回の改正から4年が経過することから、昨年12月に特別職の適正な報酬等の額について豊岡市特別職報酬等審議会に諮問し、この度答申を受けました。
 審議会では、国に準じた一般職の職員の給料のマイナス改定、地域経済の状況、本市の厳しい財政状況、職間の格差のあり方などを総合的に議論し、判断されました。答申は、議会の議長は6.1パーセント、副議長は3.1パーセント、議員は1.1パーセント、市長は3.4パーセント、副市長は6.6パーセントをそれぞれ減じた額が適当であるとの内容となっています。
 この答申内容を尊重しつつ慎重に検討した結果、議長および副議長については下げ幅を若干縮小し、議長は4パーセント、副議長は2.8パーセントの減に抑えることが相当であると判断しました。
 これに基づき、今期議会には教育長の給料を含む所要の改正をすべく関係条例の一部改正案を提出していますので、格別のご理解を賜りますようお願い申しあげます。
 なお、慎重審議いただいた審議会の皆様には、答申内容から一部変更することになりましたことをお詫び申しあげます。

 次に、組織の見直しについて申しあげます。
 新たな課題への挑戦や、柔軟で足腰の強い組織を構築するという観点から見直しました。
 主な内容ですが、財政課に経営管理係を新設し、市の出資法人等の経営改善や市有財産・公共施設の利活用等の研究を進めます。
 防災課には、防災係と消防係の2係を設け、役割を明確化し、より専門能力を高めることとします。
 経済部では、経済成長戦略に掲げる豊岡エコバレーの実現に向け、経済振興課と商工課を統合して経済課とし、新たに企業誘致課を設置します。
 さらに、監査委員事務局・選挙管理委員会事務局は「監査委員事務局」として独立させ、体制を強化します。それに伴い、「選挙管理委員会事務局」は総務課に設置し、柔軟な連携体制を確保します。
 なお、各総合支所の見直し、教育分室の廃止により、総合支所では基本的に地域振興課、市民福祉課の2課体制といたします。

 関連して、総合支所の防災体制について申しあげます。
 2課体制となることで総合支所の職員が減少しますので、総合支所管内の防災体制をどのように確保していくかが大きな課題となります。
 そこで、総合支所に課参事を配置することとしました。加えて、本庁職員のうちから、緊急時に総合支所に配備する職員を課長級も含めてあらかじめ指定し、地域本部の体制の確保を図ります。
 特に、建設課の技師と健康増進課の保健師については、日常業務においても地域担当制を採ることとし、災害時においては各自が担当する地域の総合支所に配備するものとします。
 また、緊急時には、市役所職員OBを防災支援員として配置することとしたところです。
 さらに、地域本部を支援する本庁の体制も強化することとし、災害時には、本庁の本部に総合支所ごとに管理職1名を含む2名、全体で10名の総合支所調整担当職員を置き、本庁と地域の連携強化を図ります。
 なお、これら対策をより円滑に行うためには、一人ひとりの職員の、そしてその集まりである市の組織全体の災害対応能力の向上が求められます。職員の研修や訓練を実施すると同時に、市民の皆様の知識、判断能力を高めていただく施策も行ってまいります。

 次に、新庁舎建設について申しあげます。
 新庁舎について基本設計を行い、外観、建物配置および部署位置などについて基本的な方針を取りまとめました。
 新しく建設する7階建部分については、1階は多くの市民が利用する窓口部門、2階から6階は執務スペースとし、3階に市長室、庁議室等を配置します。7階は正副議長室、議会事務局等の議会ゾーンとしています。
 また、現本庁舎については、1階は交流機能を持たせ、2階は豊岡市政の歴史を刻む場としての風格ある本会議場として活用することとしています。
 3階部分は建築基準法上そのまま活用することに制約がありますので、保存方法について国、県、学識経験者等に相談しているところです。
 私としては、まちの風景として市民の皆様に記憶されている今の姿で保存し、活用することが望ましいと考え、基本設計ではとりあえず3階建てとしていますが、最終的には、国、県、学識経験者等の意見を十分考慮した上で決定したいと考えています。
 今後、3月の早い時期に実施設計に着手し、さらに詳細な検討を行う予定です。

平成21年度補正予算

 最後に、平成21年度一般会計補正予算について申しあげます。
 まず、補正予算第12号についてです。国の第2次補正予算に計上された「地域活性化・きめ細(こま)かな臨時交付金」を活用した事業と子ども手当の給付に向けたシステム改修経費、合わせて4億9,062万7千円を追加計上するものです。
 なお、これらの事業については年度内の完了は難しいため、年度内の執行額の精査を行った上で、今期議会会期中に繰越明許費の補正予算を提出したいと考えていますので、あらかじめご了承賜りますようお願い申しあげます。
 また、この補正予算第12号については急を要しますので、診療所事業特別会計補正予算第4号とともに本日ご審議いただき、ご決定賜りたいと思いますので、よろしくお願い申しあげます。
 次に、補正予算第13号では、8億5,254万4千円を減額しています。減額の主なものは、入札残、事業費の確定に伴うもののほか、3月末までの支出予定の精査による不用額等です。
 繰越明許費では、年度内にその支払いを終わらないもの22件、総額20億1,851万4千円を計上し、債務負担行為の補正では、3件の追加と3件の廃止および限度額等の変更をしています。
 本年度の今後の財政収支見通しですが、地方債や特別交付税・地方譲与税など、現時点では確定していないものが多くあり、これらが確定した段階でさらに補正の必要が生じることとなります。
 したがって、その際には、財政事情を勘案する中で、所要の専決補正をしたいと考えていますので、併せてご了承賜りますようお願い申しあげます。

 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
 ありがとうございました。

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