令和7年第4回豊岡市議会(定例会)市長総括説明(2025年5月30日)

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ページ番号1033567  更新日 令和7年5月30日

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 おはようございます。

 令和7年第4回豊岡市議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し深く敬意を表します。

 今議会は、市長就任後、初めての定例会です。まず、私の所信を述べさせていただきたいと存じます。

 このたびの市長選挙におきまして、豊岡市の第3代市長に就任いたしました。多くの期待と職責の重さをあらためて認識し、身の引き締まる思いをいたしております。今後の市政運営にあたっては、より一層市民の皆さんとの対話を重ね、このまちの未来を切り拓いていくために、全身全霊を注ぎ、誠心誠意を尽くしてまいります。

 ご承知のとおり、全国的な過疎化、高齢化、そして人口減少という大きな波は、ここ豊岡にも深刻な影響を与えており、その現状の打破を切望する多くの声が寄せられています。この厳しい現実から目を背けることなく、真正面から立ち向かい、希望に満ちた豊岡の未来を創造していくことが、私に課せられた使命であると感じています。

 市政推進にあたっては、市民一人ひとりに寄り添い、地域の声に耳を傾けながら「子育て」「経済」「安心安全」「交流」「学び」の五つの柱を中心に据え、豊岡の新たな未来を拓いてまいります。

子育てに優しいまちづくり

 第一に「子育てに優しいまちづくり」です。
 未来を担う子どもたちが健やかに成長できる環境を整えることは、私たちの責務です。保護者が安心して子育てができ、暮らしやすいと感じられる環境・制度・支援が整えられた状態が大切です。
 「子どもが健やかに育つ」「親が孤立しない」「地域が支える」この三つを軸に、家庭・地域・行政が連携を強化し、施設やインフラ整備などのハード面とともに、支援体制や地域の雰囲気づくりなどソフト面も含めて、持続可能で温かな地域社会づくりにつなげることが必要です。
 歩道や公園整備といった安全で快適な生活環境の整備、質の高い教育・保育環境の充実、多様な家庭に対応した子育て支援制度の拡充を進めてまいります、
 また、見守りや世代間交流を促す地域コミュニティの形成、事業所との連携による働きやすい環境整備、子育て情報のわかりやすさとアクセス向上にも注力し、多岐にわたる分野を総合的に推進するための仕組みづくりについても意を用いていきたいと考えています。

経済が活性化するまちづくり

 第二に「経済が活性化するまちづくり」です。
 地域を支える産業、経済の振興も重要な柱と考えています。地域経済が弱まり、人口流出・税収減・サービス低下といった悪循環に陥らないよう、豊岡の経済を活性化し、地域に「人」「投資」「仕事」「活力」を呼び込むことが大切です。
 豊岡の強みを最大限に活かし、経済が地域内で循環する仕組みを育むことが、住民の暮らしや幸福度を高め、持続可能な社会を築く上で極めて重要となります。豊岡での雇用のマッチングを増やし、所得の地域内循環と消費・投資の活性化を促すことで、Uターン・Iターンの促進や人材の流出防止を図り、人口減少・過疎化への歯止めにつなげていきたいと考えています。
 また、地域経済の自主性・持続性の確保も大切です。地元企業や農林水産事業者が活力を持ち、地域内で価値を生み出す力を高めることで外部依存を減らし、経済的な自立を強化いたします。さらに、コロナ禍で重要性が再確認された地産地消の推進に加え、地域内で生産・流通・サービスが機能する体制を構築し、災害や経済危機に強いレジリエンスを備えたまちづくりを進めてまいります。
 「鞄産業などの地場産業」や「農林水産業をはじめとした地域産業」においては、豊岡が日本や世界に向けて発信している「自然との共生」「芸術文化への取組み」をブランド力向上に活かします。また、IT技術の活用や人材育成などを通じた高付加価値化を図り、地域で深刻化する人手不足への対応についても取組みを推進いたします。
 観光関連産業のさらなる活性化も重要なテーマです。
 神戸空港国際化を好機と捉え、関係機関と連携して世界をターゲットにした観光地経営に取り組みます。また、空域観光の誘致や山陰海岸ジオパークの活用、歴史やアクティビティ体験型観光、防災・エコツーリズムなどを強化し、国内外からの誘客を図るとともに、隣接府県などとの広域観光交流も促進し、インバウンドや国内旅行者の増加による経済効果を市内へ環流することで、豊岡市ならではの経済活性化を目指してまいります。

安心安全なまちづくり

 第三に「安心安全なまちづくり」です。
 本年は、北但大震災から100年、そして、阪神淡路大震災から30年の節目の年を迎えています。私たちは地震だけでなく、平成16年に大きな被害をもたらした台風23号の記憶も決して忘れてはなりません。20年以上経過した現在も、進められている事業が市内には存在します。
 多くの尊い命を奪い、街並みや人々の暮らしに大きな傷跡を残す自然災害に対し、今一度、備えについて考える機会とすることが重要です。
 「災害は自然現象ではなく、社会現象である」
 この言葉は、自然現象そのものが「災害」なのではなく、それが私たちの営みに被害をもたらすことで「災害」になることを意味しています。
 地震や風水害の規模が同じであっても、インフラ整備、避難体制、そして防災教育などの充実によって被害は減らすことができます。適切な備えによって守れる命があります。被害の大小を決めるのは、私たちの社会の在り方、備え、そして支え合いです。過去の教訓を活かし、未来の被害を確実に減らすことが出来るという希望を実現するため、私たちは取組みを進めていかねばなりません。
 また、先日来、市内で発生している火災への対応も喫緊の課題です。日常における防火意識の向上はもちろん、観光地での対策について、さらに検討を進める必要があると考えています。
 市民の皆さんが安心して暮らせる地域社会を実現するため、その向上に向けて、自主防災組織の育成や訓練の充実を図り、共助の精神に基づいた地域防災力を高めます。
 また、消防・救急体制の充実においては、人員や資機材の確保と迅速な初動体制の構築を進め、市民の安全確保に万全を期します。
 さらに、老朽化した公的施設の改修も大きな課題です。災害時に倒壊や機能不全とならないよう対策を講じなければなりません。また、住民サービスの中心となる公的施設の設備不具合や閉鎖期間が続くことも出来る限り避けていかねばならないと認識しています。サービスの継続性、維持コストの抑制、地域活性化への貢献、環境への配慮、そして施設の複合化などを多角的に検討しながら、地域の持続可能性と活性化の両立を目指します。
 北近畿豊岡自動車道や山陰近畿自動車道の整備など、道路網の整備は、救急時の時間短縮や防災機能の強化に大きく寄与するもので、利便性向上による観光振興をはじめとした地域活性化にもつながります。
 また、近年の気象変化による台風の大型化や局所的な豪雨の発生など、河川氾濫や山林の荒廃による土砂災害の危険性が高まっていることも懸念されます。あらためて、交通・防災インフラの整備についても、国や県と一層の連携を図りながら、迅速に進めてまいります。
 市民の移動を取り巻く環境の悪化は、地域住民の生活の質を低下させ、買物や通院、通学の利便性を損なわせています。この課題に対し、ライドシェアやボランティア輸送などの移動支援策を導入し、その活用を進めていくことが重要と考えています。
 安心安全な地域づくりには、医療提供体制の維持が不可欠です。公立豊岡病院組合を中心とした但馬地域の持続可能な医療体制を確立するため、関係機関と積極的な連携を図ります。また、全国的にも先駆的な取組みとなる市単位での地域医療計画は、今年度中の策定を予定しており、オンライン診療などの先進事例の導入も視野に入れながら、その推進を図ってまいります。

みんなで集えるまちづくり

 第四に「みんなで集えるまちづくり」です。
 単に人が集まる場を設けるだけでなく、地域のつながり・安心・活力を育むためには「みんなで集えるまちづくり」が大切であると考えています。人と人とのつながりから「地域の中で顔の見える関係」が築かれ、孤立防止や多世代間の理解や助け合いが育まれます。また、住民が意見を出し合う機会を設けることで、防災や子育て支援など地域での協力体制が生まれ、地域課題の解決が促進されます。
 近所づきあいにより「ちょっと気になること」への気づきを早め、見守りの目を増やすことで、防犯・防災力を高め、安心安全な暮らしに貢献します。交流は、イベントや新しい活動を生み出し地域を活性化させ、地域外からの訪問者増による経済効果も期待できます。
 高齢者、子育て世代、障がいのある方、外国人など、あらゆる立場の人が「自分の居場所」と思える空間は、共生社会の基盤となります。「みんなで集えるまちづくり」は、地域の絆、支え合い、そして未来を育むための土台となるものです。
 住民一人一人が「担い手」となり、持続可能で心豊かなまちを目指します。そのため、コミュニティカフェや交流センター、公園の充実、子どもから高齢者まで気軽に立ち寄れる空間など「誰もが参加・交流できる場所があるまち」「世代や背景を超えてつながれるまち」「安心して暮らせる環境が整っているまち」そんな姿を目指してまいります。
 未だ記憶に新しいコロナ禍において、私たちの生活様式は一変し、人と人との交流は否応なく疎遠なものとなりました。地域社会のつながりが希薄になる中で、改めて痛感したのは、人々が集い、語り合い、支え合うことができる「集いのまち」の重要性です。
 何気ない日常会話や地域のお祭りの賑わい、困った時に手を差し伸べる温かいつながり。これらを取り戻せるようなまちづくりを、市政の重要な柱として推進してまいります。

環境整備された『学び』のあるまちづくり

 第五に「環境整備された『学び』のあるまちづくり」です。
 テクノロジーや社会の変化が加速する「正解がひとつではない時代」において、自ら考え、学び続け、柔軟に対応する力(=生きる力)が必要とされています。グローバル化・多文化共生・ジェンダー平等など、他者を理解し共に生きる力、多様な価値観と共生する力が重要です。
 単なる「成功」や「収入」だけでなく、自分らしく幸せに生きることが人生の価値基準ともされる中で、精神的な健康、自己肯定感、良好な人間関係を築く力などが、ウェルビーイング(幸福感)につながります。 
 自分の人生を主体的に選び取る力と、社会の一員としての責任を果たす力、環境問題や地域活動への関心など、よりよい社会づくりに関わる力を育むことで、自立と社会貢献の両立が可能な市民が増えれば、豊岡市の将来にとって大きな力となります。
 「知識だけでは生きていけない。人としてどう生きるか」が問われる今、社会で活躍しながら自分らしく幸せに生きる力は、子どもから大人まで、今こそ育むべき最も重要な力と考えています。
 小中一貫教育や演劇的手法を用いた非認知能力向上など、豊岡らしさを活かした教育環境を整備し、その実現を目指します。また、部活動の地域展開や不登校対策といった課題にも取り組み、芸術文化観光専門職大学との連携においては、本市がリーダーシップを発揮し、学生が但馬地域全体に関わるような施策について県や大学との連携を深めてまいります。
 また、変化の時代を生き抜く力を誰もが持てる社会とすることも大切だと考えています。急速な技術革新や社会の変化に対応するために、誰もが生涯を通じて学び直し、働き方やスキルを柔軟にアップデートしていくことが求められています。働き手にとってはキャリアの選択肢が広がり、将来の不安が軽減され、企業・事業所にとっては業務のデジタル化や新規分野への進出が可能となり、地域社会にとっては雇用創出や地域経済の活性化への貢献が期待されます。
 終身雇用が前提ではなくなり、複数のキャリアを経験する人が増え、高齢化社会においては定年後も働く時代に突入しており、年齢を問わずスキルアップが必要とされ、働き方の多様化とキャリアの長期化が進んでいます。
 地域・社会の持続的発展に向けた地方創生や地域産業の活性化には、新たな技術やアイデアを持つ人材が必要であり、リカレント教育やリスキリングを通じた地域人材の再育成についても注力してまいります。

 このまちで生まれ育った方も、新たな生活をこの地で始められた方も、誰もが心から「このまちが好きだ」と誇れるように。
 豊岡の豊かな自然、歴史、文化、そして何よりも温かい人々というかけがえのない宝を磨き上げ、市の産業や観光が単なる経済活動としてではなく「このまちだからこそ」生み出せる独自の価値を持つように。
 「とよおか」ならではの魅力が市民の皆さんの誇りとなり、その輝きが世界に向けて力強く発信されるように。
 そんな願いを「誇りと魅力が息づくとよおか」という言葉に込め、市民の皆さんと固く手を携え、情熱と行動力をもって、人口減少という大きな課題に果敢に挑み、新たな豊岡を築き上げていく決意であります。
 議員の皆さんにおかれましても、これまで以上に市政に対して積極的なご提案やご意見をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申しあげます。

 さて、今議会に私から提出いたします案件は、報告事項4件、事件決議4件、条例4件、予算3件の合計15件です。
 なお、会期中に報告事項4件、条例1件、人事案件2件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。
 それでは、当面する市政の諸課題および提出議案の主なものについて、基本構想の「市民の暮らしを支える施策の体系」に沿ってご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 第1に「安全に安心して暮らせるまち」に関連する内容について申しあげます。

北但大震災100年メモリアル事業

 まず、北但大震災100年メモリアル事業についてです。
 今年度、北但大震災から100年という節目の年を迎えるにあたり、震災の歴史や復興の歩みをあらためて振り返り、新たなまちづくりの契機とするとともに、今後の防災・減災対策に活かすことを目的として、兵庫県および市民の皆さんと共同してさまざまな事業を展開しています。
 5月12日からは豊岡稽古堂にて企画展示を、15日からは市立図書館にて写真パネル展示を開始いたしました。また、23日には港中学校の全生徒を対象とした防災授業、24日には豊岡劇場でのシンポジウム、市役所前市民広場などでの防災体験イベントを、豊岡駅通商店街、宵田商店街の皆さんをはじめとする多くの方々のご協力により実施いたしました。
 城崎地域においては、23日に北但大震災復興100年記念プロジェクト実行委員会の皆さんにより「北但大震災復興100年 城崎温泉まちづくりシンポジウム ~まちの過去・未来を繋ぐ~」と題したシンポジウムが開催され、壊滅的な被害からの復興を成し遂げた先人の方々への感謝とともに、まちの「教育」「医療と福祉」「交通」をテーマとして、「次の100年」に向けた新たなビジョンが発信されました。
 今回のメモリアル事業を通じて、市民の皆さんにおかれましても、本市の歴史と未来への展望について、あらためて想いを巡らしていただくとともに、防災・減災意識の向上につながることを期待しているところです。

#7119救急安心センター事業

 次に、#(シャープ)7119(ナナイチイチキュウ)救急安心センター事業について申しあげます。
 高齢化の進行などにより救急需要が増加する中、救急車の適正利用と救急医療機関の適切な受診を促進することを目的として、兵庫県が主体となり「#7119 救急安心センター事業」が本年7月から実施されます。
 兵庫県では、全県展開を目指し準備が進められており、本市もこの趣旨に賛同し、本事業に参画することといたしました。
 本事業では、急なケガや病気で救急車を呼ぶべきか、すぐに病院へ行くべきか判断に迷う場合に、24時間365日、電話相談を通じて医師や看護師などの専門家からアドバイスを受けることができます。これにより、緊急性の有無の判断、応急手当の方法、適切な医療機関の案内が行われます。
 本事業への参画にあたり、必要な補正予算を今議会に提出しています。

人と自然が共生するまち

 第2に「人と自然が共生するまち」に関連する内容について申しあげます。

環境省「脱炭素先行地域」への応募結果

 環境省「脱炭素先行地域」への応募結果についてです。
 2030年度までのカーボンニュートラルの実現を目指し、集中的な施策展開を図るため、本年2月に日高神鍋地域をモデルエリアとして、民間事業者などとの協働により、環境省の「第6回脱炭素先行地域」に応募しておりましたが、残念ながら選定には至りませんでした。
 今後も、年末までに予定されている次回の募集に向けて、共同提案者の皆さんと共に計画内容を磨き上げ、選定を目指して引き続き取り組んでまいります。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に「持続可能な力を高めるまち」に関連する内容について申しあげます。

竹野泉源の復旧および配湯再開

 まず、竹野泉源の復旧および配湯(はいとう)再開についてです。
 同泉源は、泉源孔内(せんげんこうない)に生じた障害物の影響により揚湯量(ようとうりょう)が不足し、2024年2月以降、温泉を配湯できない状況が続いておりましたが、昨年度実施いたしました孔内調査および改修工事の結果、原因が解消され、揚湯量が回復しました。
 このことに伴い、去る3月3日から温泉供給を希望される皆さんへの配湯を再開しています。
 議員各位をはじめ、改修工事や代替温泉の供給・配湯にご協力いただきました関係者の皆さんに、深く感謝申しあげます。

旧殿食材供給施設のプロポーザル実施

 次に、旧殿食材供給施設のプロポーザル実施について申しあげます。
 旧殿食材供給施設(通称:殿さんそば)は、昨年12月議会において条例廃止の議決をいただいた後、本年1月にサウンディング調査を実施いたしました。残念ながら参加者はありませんでしたが、その後、複数の事業者から、当該施設に関する問合せをいただいています。
 施設は本年3月31日をもって指定管理期間が終了いたしましたが、お問合せいただいた内容を踏まえ、現在、今後のあり方について条件を整理しているところです。
 今後、民間事業者による事業運営を模索し、本年7月から9月にかけてプロポーザルを実施したいと考えています。

たんたんキャンプ場&温泉リバイタル(再活性化)プロジェクト

 次に「たんたんキャンプ場&温泉リバイタル(再活性化)プロジェクト」について申しあげます。
 地域住民が設立した法人が、たんたん温泉の利用者増加と地域活性化を図りたいとして、国の「地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000)」を活用し「たんたん温泉福寿の湯」に隣接する耕作放棄地にキャンプ場の整備を計画されました。
 この計画は、温泉とキャンプ場の相乗効果を生み、地域の新たな賑わいや交流人口の創出などを図ろうとするもので、たんたん温泉の利用者増加にも寄与することが期待できます。
 市としても、地域の魅力や価値の向上とたんたん温泉の経営改善を期待し、地域の取組みが持続可能なものとなるよう、関連予算を今議会に提出しています。

環境創造型農業サミットの開催

 次に、環境創造型農業サミットの開催について申しあげます。
 近年のSDGsの取組拡大や国の「みどりの食料システム戦略」の推進など、農業をとりまく情勢や農産物市場の動向などが大きく変化する中、生物多様性に配慮した環境にやさしい農業に取り組んでいる「兵庫県と豊岡市」ならびに「新潟県と佐渡市」これら4つの自治体が連携し、コウノトリ育む農法に代表される“環境創造型農業”をテーマとしたサミットを、来る6月7日土曜日に、豊岡市民会館で開催いたします。
 本サミットでは、豊岡市と佐渡市の小学生による環境学習の成果発表や、それぞれのまちで取り組まれている農業の事例発表などを通して、これまでの取組みの成果や環境と調和した農業の重要性を改めて市民の皆さんと共有し、これからの農業や食の未来について、共に考える機会にしたいと考えています。

有害鳥獣対策

 次に、有害鳥獣対策について申しあげます。
 昨年度のシカの捕獲頭数は、5,287頭となり、年間の捕獲目標6,500頭を下回る結果となりました。
 その要因としては、10年以上継続して取り組んできた捕獲圧の強化によって、市内でのシカの生息数が減少傾向にあることに加え、冬期の大雪によって狩猟機会が大幅に減少したことにあると推測しています。
 また、近年では「城崎A群」と呼ばれるサルの群れによる農作物などの被害が深刻になっています。このため、市では、2022年度から専任の集落支援員を配置して、サルの群れの定期的な行動巡視などを実施しているほか、県に対してもサル被害の深刻な現状を報告し、群れ全体の頭数削減といった一段階進んだ対策を進めています。
 本市としましては、こうした取組みの成果が、市民の皆さんに実感していただけていないという課題も認識しており、引き続き、シカやサルをはじめとした有害鳥獣の捕獲を進め、農業被害などの減少に努めてまいります。

プレミアム付商品券事業の進捗

 次に、プレミアム付商品券事業の進捗について申しあげます。
 エネルギーや食料品価格の物価高騰により、厳しい状況にある市内経済および市民の家計を支援するため、1セット1万円で1万2千円分の買い物ができる「プレミアム付商品券」12万セット合計12億円分を、4月7日から郵便局で販売しており、取扱店舗にてご利用いただいているところです。
 5月15日現在の商品券の販売額は6億6,148万円約55パーセントです。また、取扱店舗での使用額は3億5,624万4千円となっています。また、取扱店舗数は684店に達し、スーパーや飲食店、旅館などの宿泊施設をはじめ、衣料品店、理美容院など、多くのお店でご利用いただける状況です。
 商品券の販売期間は8月29日まで、利用期間は9月30日までとなっています。
 多くの市民の皆さんにご利用いただき、少しでも市内経済の回復や市民の家計応援につながればと期待しているところです。

豊岡のってECO(いこう)事業

 次に、豊岡のってECO(いこう)事業について申しあげます。
 市制20周年を契機に、路線バスの利用を通して、多くの方々に市内各地域のすばらしさや魅力を再発見し、「このまちに住んでよかった」とあらためて実感していただける機会の創出などを目的に「豊岡のって ECO(いこう)」を実施します。
 実施期間は7月から11月までの5カ月間とし、その間の第2水曜日およびすべての金曜日、8月の土・日・祝日およびお盆休み期間、さらには市制20周年記念式典が行われる11月16日の合計41日間を予定しています。期間中、中学生以上は1枚500円、小学生は1枚250円でフリーチケットが購入でき、適用日当日に限り、市内の路線バスとコミュニティバスを何度でも乗降り自由でご利用いただけます。
 観光客の方も含め、一人でも多くの皆さんにご利用いただくことを期待しています。

竹野地域の予約型乗合交通

 次に、竹野地域の予約型乗合交通について申しあげます。
 利用者の減少や運転手の不足などにより、地域の移動手段の確保が困難になったことなどから、昨年度より検討を進めてまいりました「竹野地域予約型乗合交通」の概要をまとめました。
 市営バス「イナカー竹野海岸線」を廃止するとともに、現在の路線バス「竹野線」を豊岡病院から森本間に短縮し、竹野地域全域で事業者協力型自家用有償旅客運送を実施することといたします。主な内容は、竹野地域内に設定した二つのエリア内の移動は定額運賃とすることや、新たに豊岡市街地ヘの乗り入れを可能とすることなどです。
 本年10月からの運行開始に向け、関係する条例改正案および必要な補正予算を今議会で提出しています。

地域おこし協力隊

 次に、地域おこし協力隊について申しあげます。
 本市では、2014年度から地域おこし協力隊制度を導入し、これまで累計110名の隊員を採用してきました。現在も26名の隊員が、地域活性化などの活動に取り組んでいます。
 また、直近5年間に任期を終えた60名の隊員のうち、40名が起業などにより市内に定住しており、定住率は全国平均55.7パーセントに対し、66.7パーセントと高い水準を維持しています。
 今後も、さらなる定着率の向上、活動に関する相談対応など課題を整理しつつ、定着に向けた起業支援など、隊員へのサポート体制を一層強化してまいります。

未来を拓く人を育むまち

 第4に「未来を拓く人を育むまち」に関連する内容について申しあげます。

子育て応援商品券事業の進捗状況

 まず、子育て応援商品券事業の進捗状況についてです。
 物価高騰などによる子育て世帯への負担増が続く中、子どもに必要な物品などの購入を支援するため、子ども一人当たり1万円分の「子育て応援商品券」を、3月下旬に6,179世帯の子育て世帯に送付いたしました。
 5月15日現在の使用額は7,612万6千円で、使用率は69.5パーセントとなっています。今後、夏休みの長期休暇も控えていますので、9月末の利用期限までに、より多くの子どもたちのために使用されることを期待しているところです。

フリースクールの運営費補助の創設

 次に、フリースクールの運営費補助の創設について申しあげます。
 現在、本市における年間概ね30日以上欠席している児童生徒、いわゆる不登校児童生徒数は増加し、2024年度には201名となり「学びへのアクセス」ができない児童生徒の低減は喫緊の課題となっています。
 このような子どもたちが孤立することなく、家庭や学校とは異なる、安心して過ごせる居場所を確保することは、当該児童生徒の学校復帰や社会的自立を支援する上で、極めて重要であると考えています。フリースクールはこうした課題解決に一定の役割を果たしているものの、経営基盤が脆弱であることから、安定的かつ持続的な運営を支援するため、その活動に要する経費の一部を助成し、多様な学習環境の確保を図るため、必要な補正予算を今議会に提出しています。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第5に「人生を楽しみお互いを支え合うまち」に関連する内容について申しあげます。

豊岡市文化財保存活用地域計画の策定

 豊岡市文化財保存活用地域計画の策定についてです。
 本市では、これまで「豊岡市歴史文化基本構想(2017年~2026年)」をマスタープランとして、文化財を生かした地域づくりに取り組んでまいりました。国では、2018年の文化財保護法改正により、文化財を地域社会全体で連携し、守り、活用するという新たな方向性が示され、市町村に対し、マスタープランとアクションプランを一体化した「文化財保存活用地域計画」の策定を推奨しています。
 こうした国の動向を踏まえ、本市においても、両計画の役割を担う「文化財保存活用地域計画」を策定することといたしました。文化財は単なる過去の遺物ではなく、先人たちの知恵や精神、地域の記憶を未来へ紡ぐものであり、本計画に基づき、地域の歴史文化遺産を総合的に保存・活用することで、魅力ある地域づくりを推進してまいります。

市政の運営

 第6に「市政の運営」に関連する内容について申しあげます。

豊岡市人口ビジョンの改定

 まず、豊岡市人口ビジョンの改定についてです。
 このたび、最新の2020年国勢調査結果を基礎データとして「豊岡市人口ビジョン」を本年3月31日付けで改定いたしました。
 今回の改定は、国の最新人口推計に加え、本市のこれまでの人口動態を分析し、あらためて将来の人口推移を見通したものです。
 本ビジョンでは、2050年の総人口目標を48,473人と設定し、この目標を達成するため、出生率を現状の1.56人から1.8人へと引き上げるとともに、若者回復率50パーセント以上で維持することを、具体的な目標として掲げています。
 人口減少を緩和するための方向性については、今年度策定する予定の次期「地方創生総合戦略」の中で検討してまいります。

豊岡市多様性推進本部の設置

 次に「豊岡市多様性推進本部の設置」について申しあげます。
 すべての人が尊重され、多様性が受容され、それぞれちがった個性や能力を持つ一人一人が良い意味でお互いに影響し合うことにより、個々人では成しえなかった相乗効果を期待して、組織や地域の持続可能性につなげるため、本年3月に豊岡市多様性推進方針を策定いたしました。
 この方針を、本市の各種計画と横断的に連携を図るものと位置付け、多様性の視点をあらゆる施策に反映させるため、庁内に豊岡市多様性推進本部を設置し、共創による多様性の推進に努めてまいります。

生成AIの導入

 次に、生成AIの導入について申しあげます。
 生成AIは、学習したデータをもとに、新しいアイデアや表現を創造することができ、これにより、新しい戦略の立案や意思決定など、より創造的で高度な業務においても活用されています。
 本市においても、原稿案の作成、文書の要約や事業の企画・立案など、これまで職員が多くの時間を費やしてきた業務に活用することで、大幅な効率化が期待できます。また、職員が人にしかできない業務に注力できるようになることで、事務処理誤りの防止につながるとともに、業務の効率化によって生まれた時間を、より創造的で付加価値の高い業務や市民の皆さんとの対話に充てるなど、より市民満足度の高い行政サービスの提供につなげていきたいと考えています。

マイナンバーカードの取得状況

 次に、マイナンバーカードの取得状況について申しあげます。
 総務省の統計によりますと、本市におけるマイナンバーカードの保有率は、2025年3月末現在、78.4パーセントとなっています。これは、2024年3月末時点の74.9パーセントと比較して、3.5ポイントの増加となります。
 マイナンバーカードを保有することにより、本人確認書類としての利用はもとより、コンビニなどでの住民票の写しなどの証明書取得や、健康保険証としての利用など、多岐にわたる利便性があります。
 特に、コンビニ交付の利用実績は増加傾向にあり、来庁されることなく行政サービスが受けられるようになったことで「いつでも必要な時に証明書が取得出来て便利になった」といった市民の皆さんからの声もあり、マイナンバーカードが市民生活の利便性向上に寄与しているものと捉えています。
 今後もマイナンバーカードを保有することのメリットを積極的にPRし、さらなる普及促進に努めてまいります。

予算、決算

 続いて、令和6年度一般会計決算見込みについて申しあげます。

 5月末までの状況を踏まえて見通すと、歳出経費の不用額などにより、実質収支では約12億2千万円の黒字となる見込みです。令和5年度の実質収支額は約11億2千万円ですので、差し引きの単年度収支は、約1億円の黒字となる見込みです。
 また、年度途中の基金への積立金や取崩し額など黒字・赤字要素を加味した実質単年度収支は、約3億円の黒字となる見込みです。
 これは、コウノトリ豊岡産業用地の売払収入を基金に積み戻したことなどが要因です。

 次に、令和7年度一般会計補正予算について申しあげます。
 まず、補正予算第1号です。5月5日に発生しました、城崎町湯島建物火災に係る応急対応経費 1,151万2千円を追加するため、5月15日付けで専決処分したものです。
 次に、補正予算第2号です。緊急やむを得ないもののみを補正することとし「街区表示板(がいくひょうじばん)の更新・設置」「#7119救急安心センター事業」「竹野地域予約型乗合交通の導入」「フリースクール民間施設運営支援補助金の創設」など、総額で1億8,285万3千円の増額となっています。
 財源は、国県支出金などのほか、必要な一般財源は、財政調整基金により措置します。
 財政運営については、一層の財源の確保と経費の節減合理化に努め、中長期的な視点に立った節度ある運営に十分留意してまいります。

 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長などから説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。

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