平成23年第1回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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 2月25日、3月市議会定例会の議案提出にあたり、中貝市長が施政方針と当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成23年第1回豊岡市議会定例会の開会にあたり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し、深く敬意を表します。

 さて、今議会は、平成23年度の当初予算を始め、諸案についてご審議いただく、極めて重要な定例会です。
 本日、私から提出いたします案件は、報告事項3件、事件決議10件、条例13件、予算25件の合計51件です。
 なお、会期中に報告事項1件、人事案件5件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。

 ここ市民プラザで開催する初の議会となりました。これから2年間、この場で、今まで同様に議員各位と市政推進のために熱い議論を交わしていきたいと思います。

 この冬は豪雪となり、市でも、合併以来初めて豪雪災害対策本部を設置する事態となりました。市内では人的被害を始め、家屋の損壊等がありました。神鍋ではお一人が亡くなっています。
 被災された皆様、ご遺族に対し、心からお見舞いを申しあげますとともに、この豪雪時にも示された地域での支え合い、助け合いの精神に対し深甚なる敬意を表します。
 市では、豪雪地域での排雪作業を行うとともに、要援護者世帯雪下ろし援助事業の内容を充実させるなどの対策を講じました。また、国に対しても雪害の状況を強く訴えてきたところです。
 雪の峠はすでに越えましたが、気を緩めず、雪崩、雪解けの出水等にも十分注意してまいります。

 なお、2月9日、コウノトリ但馬空港からの東京直行便に関し、「全日本空輸は路線開設をしない方針を決め、近く地元に伝える」との一部新聞の報道がありました。
 直ちに県から全日本空輸に事実を確認したところ、「そのような方針は決定していない。協議は継続する。」との回答がありましたので、ご報告申しあげます。今後も、実現に向け、鋭意取り組んでまいります。
 平成23年度の本市のまちづくりと市政運営に当たる私の所信を述べさせていただきます。
 平成22年度は、豊岡にとって「世界への扉」が開かれた1年でした。
 コウノトリをめぐる取組みは生物多様性条約COP10の機会に世界の関係者から高く評価されることとなりました。国連環境計画が主導し、各国の研究者が連携してまとめた報告書「生態系と生物多様性の経済学」の自治体編では、生物多様性の保全と経済活性化を成し遂げている世界の代表的事例58のうちの一つとして豊岡が取り上げられました。
 また、山陰海岸ジオパークは、世界ジオパークネットワークへの加盟が認められました。ジオパークとは、地球活動遺産とも言うべきものです。プレート運動、造山活動、火山活動、あるいは日本列島が大陸から引き剥がされて南へ下がり日本海ができる等々、地球は大小様々な活動をしています。その地球活動がもたらした遺産、すなわち気候風土、地形・地質、生物多様性、文化などを理解し、楽しむ公園、といった意味です。世界ジオパークとは、地球活動の世界的遺産とも言え、山陰海岸がその一つとして評価されたことになります。
 世界から得られつつある評価を誇りとし、まちづくりのエネルギーとしながら、平成23年度、「小さな世界都市」の実現に向けて、開かれた扉の向こうに豊岡を大きく羽ばたかせてまいります。
他方、豊岡の経済はさらに厳しさを増しています。過日、兵庫県が発表した平成21年度市町内総生産、いわゆる市町ごとのGDPによれば、豊岡は名目で対前年度比マイナス4.6パーセントでした。県全体ではマイナス7.9パーセント、3市町を除く38市町がマイナスであり、地方都市の苦境がはっきりと表れています。
 市民の暮らしも財政も経済が支えています。経済活性化に向けてさらなる努力が求められています。そして、私たちに与えられた猶予期間は、5年です。合併特例も延長過疎法もあと5年で期限が切れます。この間に徹底した行政改革を行って行財政の肥満体型を是正すると同時に、歳入の虚弱体質を是正することが不可欠です。平成23年度、その努力をさらに重ねてまいります。「未来への責任」を果たすために、豊岡エコバレーと大交流の実現を柱に、人口減少下における地域経済の活性化という「不可能への挑戦」を力強い決意と覚悟を持って続けてまいります。
 困難な課題はありますが、市民の皆様と力を合わせ、知恵を出し合えば克服できないものはない。そう信じて進んでまいります。

平成23年度予算

 それでは、平成23年度予算の概要について申しあげます。
 「開かれた扉・未来への挑戦」を合言葉に、「豊岡の地域力を結集し、小さな世界都市を目指す予算」と位置付けています。
 平成23年度の地方財政を国全体として見ると、税収入は2.8パーセントの伸びが見込まれるものの、社会保障関係費が大幅に自然増となることや公債費が依然高水準であることなどにより、引続き大幅な財源不足が生じるものと見込まれています。地方の財源確保の観点から、地方交付税は今年度に比べ4,799億円の増額、2.8パーセントの伸びとなっています。
 本市においては、個人、法人市民税は超過課税の採用により微増となっているものの、たばこ税の大幅な落込みにより、市税全体では、今年度当初予算対比で約5,400万円の減となっています。また、地方交付税は、国勢調査において人口減少が見込まれること等により、今年度当初予算に比べて4億円の減額と見込んでいます。依存財源は歳入全体の68.2パーセントを占め、今年度と比べさらに2ポイント増加となる脆弱な財政構造となっています。
 こうした中にあって、歳出では、限りある貴重な財源を総合計画に定める五つの分野の実現につながるよう予算付けを行い、一般会計では総額454億1,225万2千円、今年度当初予算対比5.9パーセント増の予算としています。特に、人口減少下における経済の活性化を目指すため、「豊岡エコバレー」と「大交流」、そしてそれらを支える戦略を合わせて24億1,234万1千円の予算を充てています。
 予算全体としては、一般会計のほか、八つの特別会計の予算総額179億86万1千円及び三つの企業会計の予算総額121億1,965万1千円を合わせ、総額754億3,276万4千円、今年度当初予算対比4.3パーセント増となっています。
 とりわけ、投資的経費は、新庁舎建設や認定こども園整備等により、今年度当初予算と比べ約1.4倍の57億3千万円、約17億6千万円の増額となっています。
 平成23年度予算を産業連関表に基づき経済波及効果を試算しますと、人件費等を除く最終需要額443億円で1.5倍の655億円の効果を生むものとなります。雇用についても、県で基金造成された緊急雇用就業機会創出事業の雇用者も含めて5,150人の雇用効果があるものと試算しています。
 なお、平成23年度の予算編成に当たっては、起債発行に伴う将来世代の負担軽減を図る措置を講じています。合併特例債と過疎債は、償還時に7割が地方交付税で手当てされますが、残りの3割は一般財源で負担することになります。
 インフラ整備のように、将来世代も恩恵を受けるものについて、将来世代も応分の負担をすることは負担の公平性という点で妥当なものと言えますが、過大にならないよう配慮する必要があります。また、当該年度の消費的経費のツケを将来世代に回すことは厳に慎まなくてはなりません。
 例えば、庁舎建設に係る起債については、面積や単価等の上限が廃止されたため、当初予定より多額の発行を考えています。これにより、市の一般財源負担額は大幅に縮小しますが、将来の一般財源負担はこれまでの計画と比べると増えることになります。そこで、この増加分の返済財源として3億円を庁舎建設基金から市債管理基金に積み替えることとしました。
 また、過疎債を利用して支援する花火等イベント関連経費については、将来の償還財源として起債の3割に当たる額を積み立てます。
 同様に、過疎債を充てる高校生通学バス定期補助についても、将来負担分を積み立てる他、過疎法失効後も制度継続ができるよう、将来への支援として別途積立てを行うこととしています。

 続いて、総合計画に基づき平成23年度に取り組む主な施策等についてご説明申しあげます。
 なお、教育行政の方針に基づく施策の展開については、教育長から別途、ご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 まず、「安全に安心して暮らせるまち」についてです。
 防災・減災力の向上、消防・救急体制の充実を図るとともに、消費生活相談の充実、交通安全・防犯意識の高揚に努め、安全な暮らしづくりを進めます。
 また、生活習慣病予防や健康づくりの支援、医療環境の確保、各種福祉施策や社会保障の適正実施など、安心しておだやかに暮らせるまちづくりを進めます。

安全を守るまちづくり

 具体的には、「安全を守るまちづくり」として、国、県と連携を密にし、円山川緊急治水対策事業の促進を図るとともに、引続き稲葉(いなんば)川土地区画整理事業に取り組みます。
 また、簡易耐震診断の個人負担の無料化や兵庫県わが家の耐震改修工事費補助制度への上乗せ助成、1階居室等補強型の改修工事に対する市独自の補助制度を継続し、住宅耐震改修を促進します。学校施設については、五荘小学校の耐震補強・改修工事を実施します。
 さらに、市民の防災意識の高揚を図るため、今年度実施した防災啓発番組「防災ワンポイント」をまとめた冊子を各種啓発活動に活用します。
 なお、市役所本庁舎に近接する宗教法人用地及び日高地域の市街地にある県有地を取得し、災害対策拠点となる防災公園として整備に着手します。
 地域防災力の向上に向けては、引続き台風23号メモリアル事業等を実施するとともに、消防ポンプ自動車などの更新や消防団と自主防災組織合同の水防訓練の実施、自主防災組織のリーダー研修会の開催や資機材整備への補助を継続します。
 さらに、今年度と同様に防災専門機関と協働した職員防災研修を継続します。
 なお、新たにNTTドコモの緊急情報「エリアメール」に加入し、市内に居住・滞在する方に緊急情報を発信し、円滑な避難行動を支援します。
 消防では、引続き救急救命士・認定救急救命士を計画的に養成し、城崎分署の高規格救急自動車及び豊岡消防署の消防ポンプ自動車を更新します。
 安全な暮らしを支える取組みとしては、昨年4月に但馬3市2町及び県で共同設置した「たじま消費者ホットライン」を活用し、消費生活相談員の育成及びレベルアップを図ります。

安心しておだやかに暮らせるまちづくり

 「安心しておだやかに暮らせるまちづくり」としては、すこやか市民ドックや健康相談、栄養改善指導などを継続します。
 既に竹野・但東地域で実施している運動教室を日高・出石地域に拡大し、市民の運動習慣を身につける場を提供します。
 また、健康をまちづくり政策の中核に置くスマートウェルネス豊岡構想も積極的に推進します。
 さらに、「ウェルストーク豊岡」内に生活習慣病等の改善・予防に資するため、運動療法に特化した診療所を開設し、安全かつ効果的な運動療法を普及します。
 なお、健康行動計画について、平成24年度の中間評価・見直しに向けて平成23年度は市民意識調査を実施し、現状や市民の意向を把握します。
 地域医療対策としては、市内の公立病院において麻酔科、呼吸器科などの医療提供体制に支障が生じる恐れがある場合に、緊急に医師を確保するための市独自の緊急医師確保対策就業支度金貸与事業を創設します。
 また、AEDの設置など一定の条件を満たした事業所等を「まちの救命ステーション」として登録証を交付し、人命救助活動の充実を図ります。
 予防接種については、時限措置である中学1年生及び高校3年生相当者の麻しん風しん予防接種を継続するとともに、副作用の可能性の低い新たなワクチンが開発された日本脳炎予防接種については、対象者を拡大します。
 また、子宮頸部がん等のワクチン接種を促進するため、接種費用助成制度を継続します。国民健康保険が実施する特定健診に係る自己負担についても、受診しやすい環境を整備するため無料とします。
 自殺予防対策としては、市民一人ひとりが自殺や「うつ」の基礎知識を学び、予防できるように、専門医のこころの健康相談などに取り組みます。
 高齢者に対しては、引続き日常生活の援助を行う軽度生活援助、バリアフリー化や手すり設置など安全な住宅改造への助成などを行います。
 また、認知症対策として、豊岡病院の認知症疾患医療センターと豊岡市の地域包括支援センターとの連携を深め、認知症ネットワーク体制を構築するとともに、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、民間事業者の認知症高齢者グループホーム2箇所について整備費等を補助します。
 なお、人工透析患者等の通院を支援する外出支援サービス事業については、安定的な事業継続に向けて利用者負担額の見直しを行います。
 障害者の支援では、自立と社会参加の促進に向けて、介護・訓練等給付事業、自立支援医療給付事業などを実施します。
 また、聴覚障害者等のコミュニケーション支援として、新たに要約筆記者派遣事業を実施し、聴覚障害者等の社会参加を促進します。
 なお、効率的な福祉業務を運営するため、福祉総合システムを更新します。
 介護保険については、第4期介護保険事業計画に基づき、介護予防の推進を図るとともに、介護サービス利用者の支援、介護保険基盤の安定化など円滑な運営に努めます。
 在住外国人に対しては、コミュニケーション支援のため国際交流協会の協力を得て日本語教室の開催など多文化共生事業を進めます。
 新霊苑については、今年10月の供用開始を見込み、4月から使用者募集を行います。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまち」について申しあげます。
 コウノトリ野生復帰をシンボルとして、コウノトリも住める豊かな環境を創造するとともに、環境経済戦略をさらに推進します。
 また、循環型のまちづくりや、環境美化事業の推進、快適で美しいまちづくりを進めます。

人と自然が響き合うまちづくり

 具体的には、「人と自然が響き合うまちづくり」として、コウノトリ生息地保全対策事業を進め、平成23年度は、新たに市民の協働を促すボランティアの日「生きもの応援デー」の設定や小さな市民活動支援助成事業に取り組みます。
 また、コウノトリ野生復帰の取組みを科学的な裏付けを得ながら進展させていくため、知の集積・交流事業を拡大します。学術研究補助を継続するとともに、大学の単位取得講座を誘致するため、豊岡での講座開設に向けた助成制度を新設します。平成23年度は、東京大学と連携し、フィールド演習講座を予定しています。
 さらに、自然生態系保全事業として、今年度に実施した円山川下流域における魚類の調査結果を基に、外来種の繁殖拠点となっている場所での撲滅作戦を実施します。種の保存法による保護区に指定されている日高地域の「大岡アベサンショウウオ生息地」での保護対策の強化や保護区エリアの拡大にも取り組みます。
 なお、コウノトリ野生復帰事業については、引続き普及啓発に努めるとともに、「世界一田(た)めになる学校2011」の開催などに取り組みます。また、生物多様性地域戦略の策定に着手します。

循環型のまちづくり

 「循環型のまちづくり」については、豊岡型地域資源循環システムの構築を目指し、公共施設へのペレットストーブ、ペレットボイラーの設置を進めるとともに、菜の花プロジェクトに取り組み、バイオマスタウン事業を推進します。
 また、太陽光発電システム導入補助を継続します。
 さらに、北但ごみ処理施設については、北但行政事務組合と一体となって進捗を図ります。
現最終処分場については、焼却灰の一部の処理を「ひょうご環境創造協会」に委託するとともに、清掃土砂の搬入中止の検討を行い、残容量の9年間の延長を目指します。

快適で美しいまちづくり

 「快適で美しいまちづくり」については、今年度に続き、国の地域グリーン・ニューディール基金を活用し、海岸漂着物の集積が著しく、車両や人が立ち入ることが困難な海岸を対象に、漂着ごみの回収・処理を実施します。
 また、安全で良質な水道水の安定供給のため、地域水道ビジョンの策定に着手するとともに、城崎及び港地区の水道施設整備を進めます。下水道施設については効率化に向けた統廃合に取り組みます。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な『力』を高めるまち」について申しあげます。
地域経済の活性化が急務です。経済成長戦略を中心として農林水産業、商工業、観光・サービス業など産業全般にわたる振興策を推進し、地域経済を元気にするまちづくりを進めます。
 また、住環境や道路網の整備、公共交通の確保・充実、魅力ある景観形成や地域情報化の推進などにより、賑わいと魅力あるまちづくりを進めます。

地域経済を元気にするまちづくり

 具体的には、「地域経済を元気にするまちづくり」として、観光では、継続してメディア関係者招聘事業等により旅行代理店やメディアに積極的にアプローチし、豊岡の魅力を全国に発信します。特に、首都圏等からの誘客促進に努めるとともに、受入れ環境の整備、魅力的なイベントの開催などにより、観光客の増加を目指します。新たな取組みとして、(通称)日本政府観光局のインバウンド事業を活用し、海外への情報発信や海外セールスなどを実施します。
 山陰海岸ジオパークについては、玄武洞や竹野海岸等へのガイドの配置、ジオツアーの実施などに取り組み、ジオパークの積極的なPRに努めます。
 農業では、厳しい状況を突破し、豊岡農業の活性化を図るため「農業振興戦略プロジェクト」を策定します。
 また、国が新設する環境保全型農業直接支払制度に加え、コウノトリ育む農法を対象とした市単独の環境直接支払制度を拡充し、環境に負荷の少ない農業の拡大に取り組みます。コウノトリ育む農法は、さらに普及・啓発を進めるとともに、韓国で開催される「第2回生物の多様性を育む農業国際会議」に職員を派遣し、国外に向けた情報発信に取り組みます。
 コウノトリ育むお米の販売促進については、背景にある物語を知ってもらうためのテキストの作成、城崎温泉の旅館での利用促進のための価格補てん補助に取り組みます。海外販路の開拓のため、香港で開催される「(仮称)ひょうご農林水産フェア」へコウノトリ育むお米を中心とした農産物を出品します。
 さらに、国の農地利用集積円滑化事業を活用し、認定農業者等の農業経営体への農地の面積集約の促進を図ります。
 新規就農対策としては、国・県事業の「農の雇用事業」及び「新規就農離陸加速モデル事業」がありますが、支援の対象期間は最長1年間となっています。市では、継続して環境創造型農業などに取り組む新規就農者の育成と定着を図るため、雇用主へ2年目の人件費補助を行います。
 また、蓼川堰や福江基幹水路、蓼川用水路の基盤整備促進事業を周辺環境や生態系に配慮した工法により実施し、農業の効率化に向けた取組みを進めます。
 有害鳥獣対策については、有害鳥獣駆除対策事業や狩猟免許取得促進事業などに取り組むとともに、耐用年数が長い防護柵の整備を進めます。
 林業では、市行造林事業や環境対策育林事業、混交林整備事業、松くい虫防除事業、緊急防災林整備事業を継続するとともに、小野地区防災拠点・交流施設の建設に市産材を使用し、林業振興を図ります。
 水産業では、「津居山かに」のさらなる高級ブランド化及び販売促進を目指し、現在の青色のタグに加え、特に高級な「かに」に新たなタグを付ける取組みを支援します。
 商業では、豊岡駅通りを中心とした中心市街地活性化計画を策定します。
 企業誘致については、関西圏の産業展に企業立地情報を提供するとともに、東海地域や中国地域等広範囲に誘致活動を展開します。
 経済成長を推進するため、技術革新支援、食の都づくり、豊岡ものづくり支援センター設置、労働力確保支援、スポーツの都づくりなどに取り組みます。
 また、エコハウスの普及啓発などにも取り組みます。

賑わいと魅力を創るまちづくり

 「賑わいと魅力を創るまちづくり」としては、平成23年度完成を目指して、豊岡駅前広場整備事業を進めます。
 住環境の整備では、公営住宅長寿命化計画の策定に取り組みます。
 道路網では、市道阿(あ)金谷(こんだに)轟線、立野大磯線、新堂内川線、内島6号線等の道路整備事業を進めるとともに、伊豆荒木線の舗装修繕や正法寺岩井線の経年劣化した法面ブロックの調査設計を行います。
 また、良好な河川環境維持のため、新たに地区等が河川浚渫を行う場合の補助制度を設けます。
 さらに、雪害対策事業として、市道須井安木線、林坊岡線、正法寺岩井線等の消雪設備更新、森本団地線第1号から第4号等の消雪設備の新設を行います。
 橋梁では、長寿命化修繕計画に基づき整備を進めるとともに、橋梁点検により甚大な損傷が発見された岩(いわ)神(がみ)橋の整備を行います。
 鉄道対策では、山陰本線・播但線高速化に向けた取組みを進めるとともに、鉄道利用促進策として、引続きJR・KTRともに企画列車の旅「市民号」への助成を行います。また、特急電車「北近畿」が「こうのとり」に名称変更されることに併せ、二次アクセスとしての周遊観光バスの運行や鸛(こうのとり)小判、コウノトリ育むお米を旅行商品の特典とするなど、城崎温泉等豊岡全域への誘客促進を図ります。
 バス交通対策では、「イナカー」の利用促進を図るとともに、「コバス」の運行を継続するなど、市民生活に必要なバス路線の運行維持に努めます。
 また、公共交通利用促進については、e通勤プロジェクトを継続するとともに、総合交通情報誌の作成、路線バス実証実験補助に取り組みます。併せて、地域公共交通計画の策定に取り組みます。
 航空対策としては、ターゲット70(ななまる)を中心としたコウノトリ但馬空港利用促進を継続するとともに、東京直行便の実現に向けて、国、運航事業者へ強い要望を続けます。
 都市計画関係では、豊岡中心地区の地区構想の策定作業に着手するとともに、豊岡地域の用途地域の見直し、日高地域では用途地域の指定についての検討を行います。
 魅力ある景観の形成については、周囲の自然と調和したまちなみを継承し、良好な景観形成を図るため、豊岡市景観計画の策定及び「景観条例」の制定を目指します。
 地域情報化については、統合型地理情報システム、すなわち統合型GISの導入を進めます。

活力を生むまちづくり

 「活力を生むまちづくり」としては、若者の定住促進のため、市内企業への就職などを条件に但馬技術大学校生の授業料を補助する制度を継続します。
 また、定住促進策として、空き家バンク制度、田舎暮らし体験施設の運営、過疎地域や辺地集落等にある空き家バンク登録物件の改修費用補助制度を継続します。
 さらに、若者の定住促進及び公共交通利用促進の観点から、高校生の通学バスの定期代の一部を補助する制度を創設します。

未来を拓く人を育むまち

 第4に、「未来を拓く人を育むまち」について申しあげます。
 安心して子どもを産み、育て、子どもたちが心身ともに健やかに成長できるまちづくりを進めるため、市民・事業者・行政が一体となって子育て支援事業の充実強化を図るとともに、教育環境整備にも取り組みます。
 また、心豊かな人材育成を図り、郷土愛を育むまちづくりを進めます。

健やかで心豊かな子どもを育むまちづくり

 具体的には、「健やかで心豊かな子どもを育むまちづくり」として、次世代育成支援対策地域行動計画に基づき、総合的な子育て支援及び少子化対策を進めます。
 まず、県の「安心こども基金」の「地域子育て創生事業」を活用し、発達障害児等育児支援事業、マイナス1歳からの子育て支援事業、育児のための情報提供事業等を推進します。
校園庭の芝生化については、7小学校・2幼稚園・1保育園で実施するともに、子育てセンターでも3箇所で実施します。
 幼保対策事業については、「豊岡市における幼稚園・保育所のあり方計画」に基づき、五つの認定こども園の施設整備を実施します。
 交流については、韓国・モンゴル・アメリカへの小・中学生を中心とした訪問団の派遣・受入事業などを継続します。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第5に、「人生を楽しみお互いを支え合うまち」について申しあげます。
 豊かな自然の中で、歴史・伝統や香り高い優れた芸術・文化に触れることにより、お互いを尊重しつつ、誰もが日々の暮らしを楽しむことのできるまちづくりを進めます。
 また、生涯学習や交流の拠点づくりなどで、最も身近なコミュニティである集落機能の活性化を図り、お互いを支え合う自立したまちづくりを促進するとともに、市民のふれあいや、スポーツ・レクリエーションに親しむことのできる環境づくりを進めます。

日々人生を楽しむまちづくり

 具体的には、「日々人生を楽しむまちづくり」として、永楽館において引続き歌舞伎、茂山お豆腐狂言の公演を実施します。
 地区公民館については、県の「木の香るまちづくり事業」等を取り入れ、小野地区公民館として利用する小野地区防災拠点・交流施設の整備を進めます。
 市民プラザでは、平成25年度からの指定管理移行に向けて、館業務の一部をNPO法人「コミュニティアートセンタープラッツ」に委託します。
 生涯スポーツの振興については、スポーツ振興計画の策定に取り組みます。

お互いを支え合うまちづくり

 「お互いを支え合うまちづくり」として、集落の小規模化により活力が低下しつつある集落の維持・活性化を図るため、小規模集落活性化事業を継続します。
 また、過疎地域戦略プロジェクトの実施、地域の活性化やコミュニティ活動の促進を図る団体への支援として地域力再生事業を継続します。

市政の運営

 第6に、「市政の運営」について申しあげます。
 それぞれのまちの固有の自然・歴史・伝統・文化を尊重し、特色あるまちづくりを進めます。

特色ある地域の成長と連携

 具体的には、「特色ある地域の成長と連携」として、豊岡地域では、玄武洞公園を活用したジオパークの拠点づくりや豊岡駅前広場整備事業などを実施するとともに、コウノトリ野生復帰などの取組みをさらに強く国内外に情報発信し、地域の活性化を推進します。

 城崎地域では、城崎温泉と市内各地の歴史・伝統・文化などの観光拠点を有機的に連携させるとともに、外国版旅館予約システムなど観光インバウンド対策を推進します。
 また、ボート競技の普及と各種ボート大会の円滑な運営を図るため、城崎ボートセンターのボートの更新などを行います。
 さらに、城崎地区無電柱化計画を進めるための実施設計業務に取り組みます。

 竹野地域では、スノーケル体験など、海・川・山を活かしたツーリズムにより参加体験型・滞在型の観光を進め、各種団体が連携して取り組む「たけのスタイル」を推進します。
 また、自然体験活動の拠点として子どもの野生復帰大作戦などを実施します。
 さらに、地域の活力による「三原谷の川の風まつり」において、アートギャラリーが会場周辺の田畑にも拡大できるよう支援します。

 日高地域では、神鍋高原に各種スポーツ大会や合宿を誘致するとともに、神鍋高原ユースサッカーの里づくり事業に取り組み、スポーツのメッカ・観光スポットとして振興を図ります。
 また、植村直己を始めとする冒険家のチャレンジ精神を称え、日本の冒険文化を考えるきっかけづくりをする「2011 日本冒険フォーラム」を明治大学で開催します。
 さらに、かんなべ湯の森「ゆとろぎ」の全面的な整備を進めるため、基本計画の策定に取り組みます。

 出石地域では、永楽館の活用による文化の向上と地域の活性化を図り、日本の伝統芸能の素晴らしさと永楽館の魅力を発信するとともに、伝統的建造物群保存地区保存事業を進めます。
 また、孕(はら)みがある出石城跡の石垣の現状調査を実施します。
さらに、伊藤清永美術館では、生誕100年展を始め、年間を通して特別展などの展覧会を開催し、功績を称えるとともに、市民が絵画を楽しめる場を提供します。

 但東地域では、老朽化が進むシルク温泉「やまびこ」の施設維持管理計画を策定するため、現状の点検調査業務を実施します。
また、農業体験ができる農家民宿、地域住民と行政が一体となったチューリップまつりなどの交流イベント、恵まれた自然と連携したグリーンツーリズムなどにより、交流人の増加を図ります。
 また、「東井義雄の心を伝える推進事業」として「東井義雄のこころに学ぶフォーラム」を開催し、東井教育の普及を図ります。

 このような六つの地域の豊富な資源を活かすとともに、市域の連携を図り、特色ある地域づくりとまちの活性化をさらに推進し、市民の皆様と一体になったまちづくりを進めます。

参画と協働のまちづくり

 「参画と協働のまちづくり」については、指針として策定したガイドラインを活用し、市民と市の信頼関係によるまちづくりを進めます。
 なお、男女共同参画プランについては、平成23年度に改訂します。

新しい時代にふさわしい行政経営

 「新しい時代にふさわしい行政経営」については、効率的、効果的な組織体制とするため、豊岡エコバレーのさらなる推進を目的に新たな室を設けるとともに、過疎対策やスマートウェルネス豊岡構想の推進体制を強化するなど、急がれる課題に対応できる組織とします。
 また、財政体質の改善を図るため、引続き第1次・第2次の行政改革大綱等を徹底的に推進します。特に、職員の意識改革を図るため、昨年11月に策定した「コストを意識した行動指針」や事務事業評価によるコスト意識の徹底、人材育成の体制強化に取り組みます。
 さらに、定員適正化計画に基づいて職員数の着実な削減を図る一方で、職員の資質向上のため、引続き国に職員を派遣するとともに、新たに南極地域観測隊にも派遣します。
 新庁舎については、建築工事、電気設備工事及び機械設備工事を実施します。

主要項目

 続いて、主な項目の詳細についてご説明申しあげます。

 まず、円山川緊急治水対策事業についてです。
 豊岡排水機場整備工事、KTR円山川橋梁架替工事、鳥居橋の架替工事等は予定どおり今年3月末に完成予定ですが、中郷築堤と八代排水機場については平成23年度に繰り越されます。中郷築堤は、今年の出水期までの予定で鋭意進められています。八代排水機場については、来年3月末と聞いています。
 円山川下流部では、平成23年度から新たに用地買収に着手されるとともに、桃島排水機場の工事にも取り掛かられます。
 今後とも、国、県と連携を図り、事業の促進を図ってまいります。

 次に、防災公園の整備について申しあげます。
 市役所本庁に近接する宗教法人神道親導教用地については、宗教法人が移転先を確定されたことから、防災公園として整備するため、当該用地の取得を図るべく、平成23年度予算案に土地取得費を始め関連費用を計上しています。
 また、日高地域の市街地に県が所有する旧蚕業(さんぎょう)技術センター跡地がありますが、この用地を無償で譲り受け、災害に備えた防災公園として整備したいと考えています。具体の整備内容は、平成23年度に行う実施設計により決定しますが、ライフライン停止時における応急措置や中長期仮設住宅の建設を行う場として整備したいと考えています。加えて、平時は市民の憩いの場としても十分活用できるものにしたいと考えているところです。

 次に、スマートウェルネス豊岡構想について申しあげます。
 健康をまちづくり政策の中核に据えた新しい都市モデルを構築することを目指し、構想案を取りまとめました。今後、構想案に対しての議会や市内各地域で開催する市民説明会でのご意見を踏まえて、決定したいと考えています。
 また、構想の市全体での共有と推進に向け、その象徴となる「(仮称)歩いて暮らすまちづくり条例」の制定を目指し、条例案検討委員会を設置することとしています。
 スマートウェルネス豊岡構想に基づく事業の一つとして、今年8月を目途に、「健康ポイント制度」を創設し、健康づくりへの動機づけと運動習慣の定着を図りたいと考えています。この制度は高校生を除く18歳以上を対象とし、歩くことや健診、健康講演会参加、運動施設利用などに対してポイントを付与し、学校等への寄付又は公共施設の利用券との交換を可能にしようというものです。

 次に、総合健康ゾーン診療所の設置について申しあげます。
 この診療所は、運動することで生活習慣病等の改善・予防ができると見込まれる市民を対象に、運動負荷試験を実施し、運動処方箋等を作成して運動療法に取り組んでもらおうとするものです。医療従事者等については、管理者の他に医師1名、臨床検査技師1名、コーディネーター兼看護師1名としています。医師は、高知大学准教授と豊岡市医師会の医師5名、計6名での輪番とし、臨床検査技師には運動負荷試験に精通された大阪産業大学准教授を予定しているところです。
 診療所の開設は4月1日、診療開始日は4月18日を予定しています。

 次に、豊岡市緊急医師確保対策就業支度金貸与事業について申しあげます。
 この事業は、市内の公立病院において、市民に必要不可欠な医療提供体制に支障が生じる恐れがある場合に、就業支度金を貸与することにより医師を確保し、医療の崩壊防止と市民の健康で安心な暮らしに資することを目的とするものです。対象は、現在のところ麻酔科、呼吸器科、その他としており、緊急に医師確保が必要な診療科としています。
 貸与の対象者は、対象となる診療科に新たに常時勤務し、診療に従事する医師で、大学、県からの派遣による医師は除きます。貸与期間は3年間、無利息とし、3年間勤務した場合は返還を免除します。また、貸与金額は、500万円を限度とし、医師の認定資格により額を決定することとしています。

 次に、周産期医療体制の検討について申しあげます。
 但馬地域では、年間1,300件以上の分娩を3病院8人の医師が担当していますが、医師不足が懸念されています。八鹿病院では受入患者数の制限なども行われており、このままでは但馬地域産科医療の提供に重大な支障が生じ、危機的な状況に陥る可能性があります。また、リスクの高い出産の割合が増加し、小児科と連携した高度な周産期医療への需要が高まっています。
 このため、但馬全体で、周産期の総合的な医療体制のあり方について検討を進めたいと考えています。
国が推進する「定住自立圏構想」に但馬3市2町で取り組み、共通課題の解決を図ることとしていますが、特に重点として、周産期医療対策を進めたいと考えているところです。
 定住自立圏構想は、(1)地方圏において安心して暮らせる地域を形成し、地方圏から3大都市圏への人口流出を食い止める、(2)地方圏への人の流れを創出するために代表市が中心となり課題解決を進めていく、という取組みです。制度上の条件を満たすのは但馬では豊岡市のみであることから、本市が中心的な役割を担うことといたします。
 今後の手続きですが、まず但馬の中心的な役割を担うことを宣言する「中心市宣言」を行う必要があります。今議会会期中に宣言を行いたいと考えているところです。
 その後、周産期医療対策を始め、連携する取組みについてそれぞれの議会の議決を経て各市町の協定を締結し、さらに具体的な事業を定めた定住自立圏共生ビジョンの策定に向けた協議を進めることとしています。

 次に、地域福祉計画、障害者福祉計画等について申しあげます。
 現在の地域福祉計画は、社会福祉法に基づき平成19年3月に策定したものです。
計画期間は平成19年度からの10年間としていますが、策定後の状況を反映し、後期5年間の指針とするため、平成23年度において中間見直しを行うこととしています。
 また、現在の障害者福祉計画は、障害者基本法に基づく障害者計画と障害者自立支援法に基づく障害福祉計画を併せた計画として、平成19年3月に策定したものです。
障害者福祉計画のうち、障害者計画は平成19年度からの10年間を計画期間とし、後期5年間の指針とするための中間見直しを行うもので、3年を1期とする障害福祉計画の第3期計画策定を併せて行うこととしています。
同様に、老人福祉計画・第5期介護保険事業計画の策定も行います。
 老人福祉計画は、介護保険事業計画と一体のものとして作成することとなっており、介護保険事業計画は、法の規定に基づき3年ごとに見直すこととされています。
 平成23年度は両計画の見直しの年に当たっており、現計画の達成状況等の評価に基づいて計画の策定を行います。

 次に、外出支援サービス事業の利用者負担等の見直しについて申しあげます。
 身体的理由により公共交通機関を利用することが困難な高齢者等が、医療機関への通院等において福祉輸送車両による移送サービスを利用する場合の運賃助成事業について、近年、事業費が大幅に増大しています。今後、運賃補助基準の改定に伴いさらに増加する見込みであり、このままでは事業の継続が困難となる可能性があります。そこで、平成23年度において、利用者負担額の見直しを行うこととしました。
 見直しに当たっては、負担の大きい長距離利用者の一部は現在よりも負担減に、あるいは増となる場合でも相対的に小さくするとともに、人工透析者の負担増については小幅にするなどの配慮をしています。
 また、現行の輸送事業者への事業委託については、運賃補助方式に改めるとともに、運賃補助基準額は、国の基準に基づく水準となるよう調整を図ることとしています。

 次に、コウノトリ野生復帰をめぐる取組みについて申しあげます。
 昨年9月30日、「円山川下流域及び周辺水田」がラムサール条約湿地の国内潜在候補地に選定されて以降、関係者との調整を進め、登録に向けた動きを本格化させています。登録に当たっての重要な指標種であるコウノトリを国際的な視野で保護し、その生息域を保全するため、「国指定鳥獣保護区」等の設定が求められています。国の事務スケジュールに合わせ、今年11月の保護区設定、その後の国による登録予定地選定を経て、平成24年6月にルーマニアで開催されるラムサール条約COP11での登録を目指します。
 関係する住民・団体の方々はもちろん、広く市民の皆様に賛同いただき、登録に向けた動きを共に進めていきたいと考えています。
 また、コウノトリ野生復帰を核に、コウノトリの定着に向けた戦略を通して地域全体の生物多様性を見つめる「豊岡市生物多様性地域戦略」の策定を進めます。
平成23年度には委員会を組織し、市民の皆様の意見を取り入れながら、実効性の高い、豊岡らしい戦略を作り上げていきたいと考えています。

 次に、北但ごみ処理施設整備事業について申しあげます。
 北但行政事務組合で用地買収が進められ、取得面積は全体買収予定面積の85.91パーセントとなっています。
 施設整備に最低限必要とされる区域8.8ヘクタール内では86.78パーセントの取得率であり、さらに3.12パーセント分は買収にご了解いただき、現在分筆手続き中です。他に、9.80パーセント分は土地所有者の内諾をいただいているものの、立木トラストが行われており、買収の障害となっています。今なお土地所有者のご理解をいただけない用地は1筆で、割合は0.3パーセントです。
 平成23年度は、進入道路・敷地造成工事等が計画されており、いよいよ事業が本格化してまいります。市も、組合及び構成2町と一体となり、全力で事業を推進してまいります。

 次に、下水道施設の統廃合について申しあげます。
 市内には公共下水道、農業集落排水など54の汚水処理施設がありますが、間もなく一斉に更新時期を迎えようとしており、より合理化・効率化が求められています。
そこで、25施設に統合する計画としました。耐用年数を経過したものから順次実施し、平成36年度までに終える予定です。
 平成23年度は、日高の西気処理区を清滝処理区に統合し、併せて長寿命化対策を行い、耐用年数を5年から7年延ばします。これにより、更新事業費及び維持管理費が大きく縮減できるものと考えています。

 次に、山陰海岸ジオパークの推進について申しあげます。
 3月26日には、第3弾のジオツアーを実施します。平成23年度においても、ジオツーリズムを推進するため、市民向けに全地区公民館でのジオツアーを実施するとともに、市外を始め広く一般からのジオツアーによる誘客を促進するため、ジオツアーバスへの補助を計画しています。
 また、ジオガイドは4人から8人に増員するとともに、県、山陰海岸ジオパーク推進協議会と共同で国際会議を開催したいと考えています。

 次に、(仮称)鳥獣害共済基金造成事業について申しあげます。
この事業は、農家の営農意欲の継続と耕作放棄地を防止することを目的に、県が創設し、平成23年度から実施されます。県、市町、農家が「(仮称)鳥獣害共済基金」を積み立て、鳥獣被害を受けた農家に再生産のための支援金を交付するものです。
 しかし、(1)共済金の支払いのあった農家も含めた無事戻しの考え方、農会長の目視による被害率の判断など現在の農業共済制度と著しく乖離が見られること、(2)農会長の業務が多忙となること、などの問題点があるため、その趣旨については賛同するものの、市では、当面参加を見送ることとしました。4月以降の状況を見極めながら検討していきたいと考えています。

 次に、豊岡市農業振興戦略プロジェクトの策定について申しあげます。
 これまでの様々な努力にもかかわらず、依然として農業は苦境にあえいでいます。さらに、農産物貿易自由化の議論が将来に大きな不安を投げかけています。
このような状況を突破していくため、農業振興戦略プロジェクトの策定に取り組みます。コウノトリ育む農法を始め、環境創造型農業のさらなる推進、コウノトリ育むお米を始め「コウノトリの舞」農産物の販売拡大、市内産農産物の輸出、環境直接支払制度の実施、新規就農者の受入れなどを柱に検討したいと考えています。
 市内の農業関係者を始め、関係団体、研究者、マーケティングの専門家など多方面のメンバーで構成する委員会を設置し、戦略策定を進めてまいります。

 次に、豊岡市道路整備計画の策定について申しあげます。
 市道の整備については、限られた財源で効果的な整備を行う必要があることから、緊急度、整備効果、過疎対策等の評価指標に基づき、客観的に路線の評価を行い、計画的に進めていきたいと考えています。
 このため、平成23年度から10年間を計画期間と定め、重点的に整備する路線を選定した道路整備計画を今年の3月末までに策定することとしています。

 次に、豊岡駅前広場整備事業について申しあげます。
 過日、新しい駅舎がオープンしました。
 駅前広場整備工事は昨年12月より着手していますが、最終年度である平成23年度は駅前交番の移転等を行い、同年度末までに完了する予定です。
 今後とも、関係機関との調整を十分図りながら円滑な事業の推進に努めてまいります。

 次に、バス交通対策について申しあげます。
 現在、出石町奥山地域でパイロット事業として取り組んでいる「チクタク奥山」では、1日当りの延べ利用が約5人となり、「イナカー」のときの0.8人に比べ大幅に伸びています。
地域の主体的な取組みにより、運行及び管理体制も安全かつ継続的、安定的に事業を実施することが可能であると判断したため、4月以降は上限運賃を200円とし、本格実施と位置づけることとしています。
 この事業については、新たに但東の奥赤地区でも導入する予定です。
 また、新たな取組みとして、10月からは神鍋線を対象に、上限200円バスの実証実験も行う予定としています。

 次に、但馬空港周辺用地の利活用について申しあげます。
 県と市の各土地開発公社が平成3年度から但馬空港周辺用地の先行取得に着手し、現在、両公社で約792ヘクタールを保有しています。
 市公社用地では、取得した約202ヘクタールがいわゆる「塩漬け」の状態であり、用地取得に係る借入金の利息が毎年約2,200万円増えている現状です。今年度末での累積利息は、約2億8,846万円にもなる見込みであり、将来世代の負担をこれ以上増やさないためにも、一刻も早く塩漬け状態を解消する必要があると判断しました。
 極力投資額を抑えながら、森林の持つ特性を活かした利活用を想定し、「(仮称)空港周辺里山ふれあいの森」構想を策定したいと考えています。

 次に、景観計画策定等に向けた取組みについて申しあげます。
 良好な景観の保全・創造をより実効的なものとするため、景観計画の策定や一定の基準を満たさない場合に変更命令が出せるよう景観条例の制定に取り組みます。
 3月上旬には、学識経験者、関係団体、市民の代表等で組織する「景観計画検討委員会」を設置し、平成23年度内の計画策定を目指します。

 次に、統合型GISの導入について申しあげます。
 庁内で利用する地図の共通基盤となる汎用性の高い道路、歩道、河川・水路、筆界などの地図データを「共用空間データ」として一元的な整備を行うとともに、庁内ネットワークを利用して職員が共同利用できる横断的な仕組みを作りたいと考えています。
 これにより、各部署で行っていた地図データの重複整備を防ぎ、今後、新たな作成や更新に要する費用の削減が図れます。また、情報の共有化により、情報表示、検索などの効率化や行政サービスの向上を図ることができます。
 平成23年度からの2年間で地図の共通基盤となるデータ整備を行い、平成24年度以降には、全職員がそのデータを利用した共通システムの運用を開始し、各業務において必要とする専門的な機能を有した個別システムの導入を計画します。
 将来的には、ホームページなどで地理情報を利用した防災、公共施設、観光などの情報提供も可能な環境を整え、市民サービスの向上を図りたいと考えています。

 次に、幼保対策について申しあげます。
 豊岡市における幼稚園・保育所のあり方計画に基づき、「認定こども園」及び「幼稚園の2年保育」の導入を計画している竹野・中竹野地区と西気・清滝地区の認定こども園及び日高幼稚園の施設整備を行います。
 また、城崎地域、日高の国府地区及び三方地区の認定こども園の施設改修に対し、関係法人へ補助を行うこととしています。
さらに、私立認定こども園の安定的な運営の支援及び通園する園児の保護者に対する負担軽減を図るための助成を行います。
 なお、認定子ども園を開設する4園で、新たに、幼稚園に相当する短時間部において2年保育を開始します。

 次に、豊岡市学校給食施設のあり方計画の推進について申しあげます。
 計画に沿い、平成23年度は、豊岡施設については実施設計、車庫移転等を、出石施設については実施設計及び用地取得を実施します。
 なお、学校給食は、平成21年度より現在週5日地元産米を使った米飯とし、その内、週1回コウノトリ育むお米を使用していますが、平成23年度からコウノトリ育むお米の使用回数を週2回に増やします。

 次に、「いのちへの共感に満ちたまちづくり条例」の制定について申しあげます。
 条例の今年度内の制定を目指し、有識者からなる検討委員会を設置して検討を進めてきましたが、委員会からより多くの市民の意見を聴くため、市民との意見交換の場を設定すべきとの意向が示されました。その意向に沿い、条例案提出を今年9月定例議会に延期し、さらなる検討を進めたいと考えています。

 次に、情報発信について申しあげます。
 国内外、特に首都圏への情報発信のため、様々な事業に取り組んでいます。豊岡エキシビション、エクスカーション等が功を奏し、豊岡に興味を持つ人が増えてきたと実感しています。平成23年度も新たな事業を加え、さらなる情報発信に取り組んでまいります。
中でも、アンテナショップを6月に東京に開設したいと考えています。ショップで魅力的な産品を販売することで豊岡の知名度、イメージを向上させ、地域経済の活性化も図れるものと期待しているところです。
 市が店舗を賃借し、運営は経営に長けた民間事業者に任せることとします。
 なお、ショップは当面3年間とし、民間事業者は公募により選定したいと考えています。

 次に、過疎地域自立促進計画について申しあげます。
 昨年の12月に議決をいただき策定した過疎地域自立促進計画に、各地域独自の戦略プロジェクト事業を追加したいと考えています。これは、各地域で住民の方々に検討いただき、地域のために進める事業として想いを描いていただいたものを基本にしています。
 各地域が同じ方向を目指すのではなく、よりその地域らしくなるよう「奇跡の温泉街”きのさき”の新たな挑戦」、「竹野スタイルの推進」、「たんとう”きずな”プロジェクト」のキャッチフレーズの下(もと)に、強力に振興を図ります。

 次に、経済成長戦略の一部見直しについて申しあげます。
 人口減少の局面にある地域では、経済成長は不可能であるとも言われていますが、交流人口を増加することで、域内需要の減少といったマイナス面を補うことが期待されます。そこで、環境都市「豊岡エコバレー」に加えて、交流人口の増加を促す「大交流」を戦略の屋台骨とし、交流というキーワードを視点に経済成長戦略を見直しました。
 また、社会経済情勢や地域のニーズ等を踏まえ、戦略・検討を合わせ八つの新規プロジェクトを追加しています。

 次に、新庁舎建設について申しあげます。
 建設工事はより多くの市内業者が参加できるよう大手企業との共同企業体を設立することを条件として、一般競争入札を執行しました。建築工事及び電気設備工事請負契約については、今議会でご審議いただきますが、機械設備工事については、入札参加希望者が一つのJVであったことから入札執行を中止しました。参加条件などを見直した上で、昨日、再公告を行ったところです。
 なお、現在実施している既存庁舎等の解体撤去工事については、今年度内には終えることとしています。
 ここで敷地の土壌についてご報告いたします。
昨年4月、土壌汚染対策法が改正され、3千平方メートル以上の土地の形質の変更を行う場合、県知事に届出が必要となりました。県知事は、届出のあった土地に危険物貯蔵所等があり、特定有害物質によって汚染されている恐れがあると認められる場合には調査命令を出すこととなっています。
 市では、法に基づく届出をするとともに、自主的な土壌調査を行い、去る1月17日に県に報告しました。2月10日には県知事からの調査命令を受けたところです。
 今後、詳細な調査を行い、その結果を県に報告し、指示を受ける予定にしています。
なお、市の自主調査結果では、敷地の一部から基準値を超える物質が検出されましたが、地下水を経由した敷地外への汚染の広がりは考えられないこと、敷地周辺において飲用井戸は確認されていないこと、今後の工事において、県の指導に従い適切な取扱いを行うことから、周辺住民の健康への影響の恐れはないものと考えています。
 続いて、新庁舎の食堂についてです。
職員の福利厚生と来庁者の利便性を考慮し、食堂を整備しますが、運営については、障害者の就労機会の拡大と自立支援を図るべく、市内で障害者通所施設を運営する事業者を対象に募集する予定としています。食堂開設まで1年余りの準備期間を設けることとし、秋には運営事業者を募集したいと考えています。

 次に、組織の見直しについて申しあげます。
 効率的な組織運営や新たな課題への挑戦という観点から見直しを行います。
 その主な内容ですが、豊岡エコバレーの全庁推進体制を強化するため、政策調整部に「エコバレー推進室」を新設し、市役所全体で関わっている環境の総合調整を行うとともに、情報戦略等にも取り組みます。庁内に副市長を本部長とするエコバレー推進本部を設置することとしていますが、この本部の事務局の役割も担います。
 経済部経済課には「ものづくり支援センター」を設置し、同課の「定住促進室」を「過疎対策室」に名称を変更します。ものづくり支援センターは、市内の企業へ技術や製品開発に関する支援を行うほか、大学や専門機関・専門家との連携を促進する取組みへの支援も行います。過疎対策室は、これまでの定住促進や小規模集落支援等に加え、過疎地域戦略プロジェクトの推進を図ります。
 健康福祉部健康増進課には「健康まちづくり推進室」を設置し、スマートウェルネス豊岡構想の推進を図ります。
 さらに、都市整備部都市整備課に「景観政策係」を新設し、景観計画の策定及び景観条例の制定等に取り組み、景観法に関連する業務を推進します。
 その他、事業の進捗を考慮し、市民生活部、教育委員会における係の見直しを行います。
今後とも、あらゆる行政課題に積極的に取り組み、市民サービスの向上に努めてまいります。

平成22年度補正予算

 最後に、平成22年度一般会計補正予算について申しあげます。
 まず、補正予算第6号です。豪雪により、要援護世帯への雪下ろし援助や市道、集落内の除排雪経費3億2千万円を追加するため、1月30日付けで専決処分したものです。
 次に、補正予算第7号です。東京にアンテナショップを開設する委託経費や施設の賃借料等で今年度必要となる50万円及び平成23年度以降必要な経費について債務負担行為を設定するものです。
 なお、この補正予算第7号については、運営事業者の公募手続きの関係で、他の補正予算案とは別にご審議いただき、ご決定賜りたいと思いますので、よろしくお願い申しあげます。
 次に、補正予算第8号では、1億6,713万1千円を減額しています。減額の主なものは、入札残、事業費の確定に伴うもののほか、3月末までの支出予定の精査による不用額等です。
 繰越明許費では、年度内にその支払いを終わらないもの14件、総額16億3,346万3千円を計上し、債務負担行為の補正では、1件の追加と3件の限度額等の変更をしています。
 今年度の今後の財政収支見通しですが、地方債や特別交付税・地方譲与税など、現時点では確定していないものが多くあり、これらが確定した段階でさらに補正の必要が生じることとなります。
 したがって、その際には、財政事情を勘案する中で、所要の専決補正をしたいと考えていますので、併せてご了承賜りますようお願い申しあげます。

 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
 ありがとうございました。

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