平成23年第3回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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 9月2日、9月市議会定例会の議案提出にあたり、中貝市長が施政方針と当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成23年第3回豊岡市議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し、深く敬意を表します。

 東日本大震災について、市では、現在も宮城県南三陸町に職員を派遣する一方、豊岡と同様、平成16年に大水害を経験した新潟県三条市に福島県内から避難されている方々に対し、三条市を通じてランドセルや市の農産物などをお送りしてきました。
 過日、三条市に招かれ豊岡のまちづくりについて三条市職員に講演する機会を得ました。その際、私の来訪を知った避難者の方々が、豊岡への感謝の気持ちを伝えたいとして会場に来られました。20通を超える手紙と手作りの品を持参しておられました。豊岡の支援はささやかなものでしたが、豊岡の心を受け取っていただいていたことに感激して帰ってきました。
 被災経験を持つ豊岡として、東日本大震災に関し今後も適切な支援を行いたいと考えています。

 大震災に対する初期の支援活動を振り返ると、日本全体での危機に一元的に対応する組織が有効であり、必要であることが分かります。
 本市の場合、消防組織法により制度化された緊急消防援助隊は3月11日の大震災発生日に、豊岡病院のドクターヘリは「災害派遣医療チーム DMAT(ディーマット)」の要請で12日に、給水支援は日本水道協会の要請で14日に被災地に向け出発しています。いずれも事前に組織化されており、災害時に全国的な連携が図れる体制があります。ちなみに、関西広域連合の求めに応じて各市町から職員が被災地に派遣されたのは23日でした。
 大災害に備え、全国的な体制整備が求められていると言えます。
 同時に、横のつながりをさらに強化することも大切です。
 今回の大震災において比較的早い対応を行った自治体は、独自にカウンターパート方式で支援を開始しています。本市がコウノトリと農業を通じて関係の深い宮城県大崎市に職員を派遣したのは17日でした。
 支援先等について都道府県等が行う調整は時間を要します。それを待っていては時機を失することがあります。本市も、関係する他の多くの自治体と災害支援協定を締結していますが、被災自治体は混乱し、支援要請は出てこないことを前提として、迅速な対応を行う姿勢を持ち続けるとともに、普段からの自治体間の関係強化に努めてまいります。

 さて、今議会に私から提出いたします案件は、報告事項5件、事件決議10件、条例9件、予算10件、決算4件の合計38件です。
 なお、会期中に人事案件2件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。

 それでは、当面する市政の諸課題及び提出議案の主なものについてご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 第1に、「安全に安心して暮らせるまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、津波対策についてです。
 地域防災計画に定める津波想定の見直しが緊急の課題ですが、想定は科学的な根拠に基づいたシミュレーションが不可欠であるため、県等による専門的な研究が必要です。このようなことから、県に対し日本海側の想定見直しをお願いしていますが、県はまず太平洋側の見直しを行う方針と聞いています。
 他方、津波はいつ発生するか分からないため、県に倣(なら)い、現在の想定津波高の2倍に当たる7.2メートルの津波を想定して、海岸部の集落で津波避難訓練を行うことにしました。訓練は、9月4日に港地区の5集落、10月16日に竹野地区の11集落を対象として実施することとしています。
 避難場所の検討など、既に港地区で4回、竹野地区で3回の協議を行ってきました。避難場所は、より地域の実情に詳しい地元の皆様とも意見交換を行い、両者で選定することとしています。さらに、小中学校とも情報交換を行い、避難場所などについての共通理解を持つよう努めています。
 訓練を通じて避難場所、避難経路、避難時間等を検証することにより、今後の津波対策に活かしていきたいと考えています。
 迅速な避難のためには、いち早い情報伝達も重要です。そこで、城崎地域の防災行政無線の操作卓更新に併せ、全国瞬時警報システム、いわゆる「J-アラート」に接続することにしました。これにより、国からの津波情報等緊急情報を防災行政無線から自動的に伝達することができます。
 「J-アラート」は、港地区、竹野地区はすでに対応可能となっていましたが、城崎地域の住民へも最短で情報伝達できることになります。

 次に、市立高橋診療所の運営について申しあげます。
 但東町高橋地区にある市立高橋診療所は、現在、指定管理方式により運営を行っており、指定管理期間は来年3月末までとなっています。
 先般、地域住民で組織され、指定管理者である「但東の健康と医療を守る会」から、(1)赤字経営が続いていること、(2)医師が高齢化していること、を理由に、診療所の運営を市に移管して欲しい旨の申し出がありました。これを受けて、市では、指定管理期間終了後の運営について検討を行っています。
 最大の課題は後任医師の確保であり、早急に招聘したいと考えています。

 次に、ドクターカー運用の見直しについて申しあげます。
 豊岡病院ドクターカーは、昨年12月5日に運用を開始し、当面天候不良時におけるドクターヘリの補完としてスタートしました。
 出動状況は、運行開始以来今年8月までの9カ月間で139件です。このうち、本市管内は61件、全体の44パーセントを占めています。
 このたび、豊岡病院の救急医の増員が図られたことから、病院当局と但馬の市町で協議した結果、ドクターカーをドクターヘリと併用運行するとともに、運行時間の延長を行うこととしました。
 ヘリとの併用運行はそれぞれが独自に出動するというものですが、病院に近いことからドクターヘリが出動せず、したがってその補完としてのドクターカーも出動しなかった本市の市街地等でも、今後はドクターカーを運行することになります。また、運行時間はこれまでドクターヘリと同じ原則8時30分から日没30分前であったものを、午前6時から午後11時までとするものです。これにより、救急出動の約88パーセントを占める時間帯をカバーすることになります。
 併用運行は10月上旬、運行時間の延長は12月1日を目途に準備を進めますが、できるだけ早期の実施を目指すこととしています。
 運行見直しにより、さらに救命率のアップ、後遺症の軽減が図られるものと期待しています。関連予算を今議会に提出していますので、よろしくお願いいたします。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、「円山川下流域及び周辺水田」エリアのラムサール条約湿地登録についてです。
 登録に必要となる湿地環境保全のための法的担保となる「国指定鳥獣保護区及び特別保護地区」の設定について、6月、エリア内で農地が関係する10地区のうち、気比・田結・畑上・桃島・戸島・楽々浦の6地区から同意が得られました。住民の皆様のご理解に心から感謝を申しあげます。
 今後は、円山川下流部とこの6地区を対象範囲として手続きを進めてまいります。
また、同様に国土交通省、県、JAたじま等の関係機関・団体からも同意の意向をいただいており、今後の農林水産省との協議に向けて、現在準備を進めているところです。
 来年6月にルーマニアで開催される第11回ラムサール条約締約国会議、いわゆる「ラムサール条約COP11」での登録を目指してまいります。今回登録を目指すのは、円山川下流域に限定された約580ヘクタールのエリアですが、同エリアを含む豊岡市全体の自然が評価を受けているところであり、今後は、登録エリアの拡大についても併せて検討していくこととしています。

 関連して、「アジア湿地シンポジウム無錫(むしゃく)2011」への参加について申しあげます。
ラムサール条約誕生40周年、国際森林年などを記念して、ラムサール条約COP11の前年に当たる今年、中国で「アジア湿地シンポジウム無錫2011」が開催されます。中国政府やアジアにおけるラムサール条約湿地の拡大・普及啓発を進めるラムサールセンター等の主催により、10月11日から13日の3日間、江蘇省(こうそしょう)無錫市でシンポジウムが予定されています。
 このシンポジウムに、ラムサールセンターを通じてゲストスピーカーとしてコウノトリの取組みを紹介するよう依頼を受けました。この機会に、ラムサール条約COP11での本市の湿地登録に向けた動きもしっかりアピールしたいと考えています。

 次に、北但ごみ処理施設整備事業について申しあげます。
 北但行政事務組合で進められている北但ごみ処理施設整備事業について、7月1日付けで、県により都市計画事業認可の告示がなされました。この事業認可は土地収用法の事業認定に代わるものとなります。
 組合では、事業認可後も説明会を開催する他、精力的に任意交渉や買収手続きに向けて任意での調査を続けてきました。しかし、今後の工程を見据えると、収用手続きのための土地調書及び物件調書を作成する必要があるため、8月11日、12日の両日に事業認可区域に関連する土地8筆への土地収用法に基づく立入調査が行われました。
 未買収地において、8.8ヘクタールの事業認可区域内では107本、区域外では26本の計133本のトラストが確認されました。
 組合では、今後も任意交渉での解決を建設スケジュール上許されるぎりぎりまで探りつつ、それでもなお買収ができない場合に備えて準備が進められています。今後とも、組合と一体となって事業推進を図ってまいります。

 次に、豊岡第二清掃センターの早期安定化について申しあげます。
 このセンターは、平成12年10月31日で埋立てを終了した最終処分場ですが、浸出水の水素イオン濃度1項目のみが法令に基づく施設廃止基準に満たないという状況があります。このため、浸出水をそのまま河川に放流することができず、埋立て終了以降現在まで、浸出水の処理を行っています。
 不用となった廃棄物処理施設を早期に廃止し、水処理施設の維持管理経費を削減し、その後の利活用を検討することは重要な課題です。
 昨年、「豊岡第二清掃センター廃止に向けた基本計画」を策定しました。その際に、浸出水の水質が安定しない原因は、「埋立て部分の地下水位が地表面近くまで上昇しており、この地下水が埋め立てた焼却灰に含まれるアルカリ性化合物、未反応消石灰及び酸化カルシウム等を溶出し、高アルカリ性の水を浸出させている」ということが判明しました。
 この基本計画により、水質を安定化させるための複数の対策工法の案を示しましたが、早期に工法を確定し対策工事を実施するため、その前段として必要な事前調査や解析を行い、実効性と経済性に優れた対策の実施設計を行いたいと考えています。

 次に、エネルギー対策について申しあげます。
 昨日、北但東部森林組合が運営するペレット製造施設が竣工し、豊岡産ペレットの供給体制が整いました。この機会に、個人向けのペレットストーブの補助金制度を新規に導入することとしました。1世帯当たり1台20万円を上限とし、今年度は20台の補助を予定しています。
 また、学校へのペレットストーブ設置についても積極的に推進することとし、平成27年度までの当初計画を2年前倒ししたいと考えています。さらに、道路照明のLED化、公共施設の節電型蛍光灯の試験導入、農業用揚水機への太陽光発電装置の試験設置等も実施します。
 今後も、再生可能エネルギーの普及とエネルギー利用の多様化をさらに進めてまいります。

 次に、下水道施設の統廃合について申しあげます。
 経営管理を合理化し、将来の市民負担を軽減するため、54処理区を25処理区にする統廃合計画を進めるとともに、長寿命化対策を行うこととしています。
 事業計画の変更を行うため、今まで、処理施設のある地元や区長会への説明会を17回行い、総合支所単位での市民説明会も5回開催してきました。
 一部において、特に内水対策について厳しい意見があり、さらに協議が必要ですが、その他については概ねご理解を得られたものと考えています。
 西気と清滝は今年度内に統合し、供用する予定です。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な「力」を高めるまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、但東北部温泉の泉源についてです。
 現泉源は平成16年度に掘削し、平成20年7月には「たんたん温泉福寿の湯」の供用を開始しました。現在、当施設は、資母地区の活性化の中心施設となっています。
 しかし、温泉湧出量が低下し、現在、たんたんトンネル湧水の「福寿の水」を加水して施設運営を行っている状況にあり、早急に対策を講じる必要が生じています。
 現泉源井戸は、透水性の悪い粘土質の層から揚水しており、短期間では分からない程度のレベルで水脈が徐々に詰まってきているためと推定されます。温泉使用量や井戸水位データから分析すると、温泉湧出量の回復は見込めず、今後も、短期間では分からない程度で減少していくことが予想されています。
 このため、現泉源から約100メートル離れた場所に、新たに深さ300メートルの低深度泉源井戸を掘削し、たんたん温泉施設への温泉の安定供給を図りたいと考えています。

 次に、中心市街地活性化基本計画の策定について申しあげます。
 基本計画は、昨年7月以降「中心市街地活性化基本計画策定委員会」で1年をかけて検討が進められました。他方、豊岡商工会議所でも「豊岡中心市街地活性化協議会」により民間側の活性化策が検討され、7月に策定委員会に提案がなされたところです。
 策定委員会では、協議会から提案された事業を基本計画に盛り込み、中心市街地活性化基本計画素案として、7月に市へ報告がなされました。
 市では、この計画素案を踏まえ、8月3日付けで市の計画としたところです。
 今後は、この基本計画を基に市民一人一人が具体にまちづくりを進めていくことが重要であると考えており、このための取組みを進めてまいります。

 次に、北近畿豊岡自動車道和田山八鹿道路について申しあげます。
 和田山ジャンクションから八鹿氷ノ山インターチェンジまでの13.7キロメートルは、国において、今年度末の供用開始を目指し鋭意工事が進められてきました。しかし、八鹿トンネル工事において、予想以上に岩盤の状態が悪く、岩盤崩落等が発生し、その対策に約8カ月を要したことから工事が遅れ、供用開始が来年11月頃になるとの発表が昨日なされました。
 八鹿までの供用が遅れることは残念ですが、豊岡南インターチェンジまでの工事着手に影響はないとうかがっています。
 市としましても、今後とも全線早期完成を目指してしっかりと取り組み、国に強く訴えるとともに、国、県と連携し、事業の促進を図ってまいります。

 次に、魅力ある景観形成の取組みについて申しあげます。
 景観は豊かな自然や地形を背景に人々の営みや生業(なりわい)などにより形作られているため、市民の皆様や事業者に豊岡の特色ある景観の価値を再認識していただき、その意識を向上させていくことが何より重要です。そこで、景観行政への理解を深めるため、10月に「とよおか景観フォーラム」を開催することとしています。
 なお、景観計画や景観条例については、学識者や関係団体、市民の代表等で組織した景観計画検討委員会において作業を進めており、今年度中の策定を目指して取り組んでいます。

 次に、コウノトリ但馬空港からの東京直行便について申しあげます。
 全日本空輸に対し路線開設を強く要請しています。去る6月2日には本社を訪問し、改めて首都圏と但馬地域間の潜在需要を示すとともに、市の情報発信の取組みや地域の魅力を訴えてきたところです。しかし、残念ながら、依然として前向きな回答は得られていない状況です。
引続き「地域主体の新規路線開設枠」の募集は継続されていることから、県、但馬各市町、京丹後市などとともに航空会社へ引続き粘り強く働きかけてまいります。
 コウノトリ但馬空港の利用状況については、東日本大震災の影響により伸び悩んでいましたが、6月後半からは回復基調が見られ、4月から8月の利用率は昨年同時期に比べ0.8ポイント減の65.2パーセントまで回復しています。一方、伊丹経由の東京乗継利用については、首都圏方面への出控え傾向が依然強く、同期間内の乗継者数は、昨年比249人減の4,208人に留まっています。
 引続き、乗継ぎ利用を中心とした但馬伊丹路線の利用促進に努め、年間利用率70パーセントを目指します。
 なお、10月30日からの今年度下期の運航ダイヤの変更がなされることになりました。
日本エアコミュータによれば、就航率の向上と安全運航確保の観点からの変更とのことですが、夕方便が約1時間半繰り上げられるため、利便性が低下し利用者が減少することが予測されます。そこで、運航会社には、ダイヤの変更に当たっては、事前に地元と十分に協議・調整すること、さらに、来年上期以降のダイヤについては、現行ダイヤを堅持するよう強く申し入れたところです。

 次に、バス交通対策の取組みについて申しあげます。
 10月から実施予定の全但バス神鍋線「上限200円バス」実証実験について、神鍋地域の16会場で実証実験地区提案会を開催し、神鍋線の非常に厳しい状況や実証実験に取り組む市の考え方を説明するとともに、地域の主体的な役割分担が不可欠であると訴えてきました。延べ392人の参加をいただき、概ね前向きな意向をうかがったところです。
 この結果、神鍋地域では地元が主体的、一体的に利用促進に取り組むために、今月20日に地元推進組織を立ち上げられる予定になっています。
 今後は、地域と全但バスと市が実証実験に係る協定を締結するとともに、利用目標を設定するなど、この実証実験を成功させるべく3者が一体となって取組みたいと考えています。
 また、地域が主体となって運行する「チクタクひぼこ」の実証運行が7月20日に始まりました。8月末現在の延べ利用者数は70人であり、運行回数は違うものの、昨年同期間のイナカーの利用者19人に比べ大幅に増加しています。
 市内を運行する「チクタク」は、出石町奥山、但東町資母地域と合わせて3地域となりましたが、いずれも大変好評です。「チクタク資母」では、住民からの要望により10月からの運行地域拡大も予定されています。
 今後も、市は、地域の公共交通を守るため地域が主体的に取り組む場合は、引続き積極的に支援していきたいと考えています。

 次に、「八代集落協定」中山間地域等直接支払補助金返還について申しあげます。
第2期中山間地域等直接支払交付金事業において、「八代集落協定」11人の協定農用地の一部で耕作放棄地が発生するという協定違反がありました。市では、昨年9月22日に、参加者に国、県、市を合わせた補助金総額709万2,708円の補助金返還命令を行うとともに、今年3月に平成17年度から20年度までの4年間分の国県補助金分531万9,532円を県に返還したところです。
 補助金返還命令以降、度重なる面談や電話による返還の督促を重ねてきました。現在のところ3人の方が返還に応じられましたが、なお8人の方には応じていただけない状況です。
こうした事態を早期に解決するには補助金返還請求の訴えの提起もやむなしと判断し、今議会に訴訟提起議案を提出しています。
 一方、八代集落協定の代表者は、7月に市に対し補助金返還命令取消請求を求めて提訴されたことから、市は直ちに応訴したところです。

未来を拓く人を育むまち

 第4に、「未来を拓く人を育むまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、「幼稚園・保育所のあり方計画」の事業進捗状況についてです。
 「(仮称)三方認定こども園」及び「(仮称)西気・清滝認定こども園」については、来年度の幼保連携型認定こども園の開園に向け、関係法人と協議を進めてきました。しかし、当該地域における急速な少子化に伴う認定こども園の運営に対する不安などから、関係法人の理解が得られなかったため、来年度からの開園は、県の認可スケジュール上、できなくなりました。
 両園とは今後も協議を継続し、理解と協力を求めていきますが、今年度の施設整備事業予算については、やむを得ず全額を減額することになりました。議員各位のご理解をお願い申しあげます。
 寺坂幼稚園と出石幼稚園の再編については、地区民の反対が強く地域説明会が開催できない状況になっており、幼稚園の園児募集時期の10月までには、来年度からの再編に対する最終判断をすることとしています。
 また、五荘幼稚園・奈佐幼稚園の再編については、奈佐地区関係者の了解が得られましたので、今後、奈佐、五荘両地区の関係者と合同で検討を進めてまいります。

 次に、南極地域観測隊関連事業について申しあげます。
 第53次南極地域観測隊へ職員を派遣しています。南極は地球環境問題が象徴的に現れ、地球の過去や未来を覗くことができると言われています。この機会に、子どもたちが南極を通じて環境問題を考え、併せて冒険心を育てる場を作りたいと考えています。
 今年度は元観測隊員の講演会を予定していますが、来年度以降、同講演会に加え、南極にいる市の派遣職員が豊岡とテレビ電話で交信する小中学生向けの南極授業や、帰国後には、南極に関する同職員による出前講座を小中学校や公民館で行う予定としています。
 また、市内の子どもたちから南極で調査や実験をして欲しい内容等を募集し、派遣職員が南極授業やホームページなどで調査や実験結果の報告をする予定です。
 さらに、植村直己冒険館では、南極昭和基地のライブ映像の放映、派遣職員の活動展示、南極紹介展示を行い、市の環境への取組みや植村直己の挑戦し続ける姿勢を広げ、深める取組みを行うこととしています。

 次に、高等学校通学区域再編案への対応について申しあげます。
 去る6月30日、兵庫県高等学校通学区域検討委員会から、県立高等学校普通科の新しい通学区域のあり方についての素案が公表され、但馬1学区の通学区域と複数志願選抜制度の導入の考え方が示されました。
 市は、その案に反対し、従来から現行どおりの但馬2学区、連携校方式の堅持を求めてきました。
(1)広大な地域に県立高等学校が点在し、多雪寒冷地である但馬地域においては、学区が広がっても、交通手段が不十分なためそもそも通学できない地域があり、通学できたとしても時間と費用の負担が極めて大きくなること、(2)近くの学校に行けなくなる生徒が出るなど、結果的に選択肢を奪うことになることがその主な理由です。
 生徒の選択肢を増やすことが検討委員会のねらいとされていますが、現実には特定の学校に希望者が集中し、当該高校への進学が困難になった生徒の私学への進学希望者が増え、その結果定員を確保できない学校が増え、あるいはその度合いが大きくなり、高校統廃合を加速すると指摘する声もあります。
 検討委員会案、ひいてはその背後にあると思われる県教育委員会の考えは、但馬の実態を踏まえたものとは思えません。今なすべきことは、但馬の学区をさわることではなく、各高校の地に着いた学力向上と特色化の取組みを徹底的に進めることだと思います。
 8月、但馬教育委員会連合会、豊岡市進学対策協議会は県に対し要望を行われていますが、今月8日には、但馬自治会においても改めて県に要望活動を行い、学区等の堅持に加え、地元の意見を十分聞くよう強く申し入れることとしています。

市政の運営

 第5に、「市政の運営」に関連する内容について申しあげます。

 まず、「いのちへの共感に満ちたまちづくり条例」の制定についてです。
 昨年7月から有識者による検討委員会で条例案の検討をお願いし、今年の8月2日、検討委員会から報告書を受け取りました。これを受けて、市で最終調整を行い、市の条例案として今議会に提出しています。
 この条例案は、これまで豊岡が進めてきた様々な政策やまちづくりの根底に「いのちへの共感」が流れていることを再確認した上で、改めて「いのちへの共感」を豊岡のまちづくりの基礎におくべき基本理念として定めるとともに、いのちへの共感を広げていくための具体的戦略を定めようとするものです。
 この条例案は、「命は限られている」、「命はつながっている」、「命は支えあっている」という三つの基本的視点に立って構成されています。
 私たちの命はたった一つ、1回限りでいつかなくなる運命にあります。だからこそ私にとって私の命は大切でかけがえのないものであり、他者にとっても同様であることが了解できれば、他の命への尊重が生まれてくるはずです。同時に、そのかけがえのない命を健やかに、かつ悔いなく全うしたいという願いと努力が生まれてくるはずです。
 私の命の前には私の父母の命があり、祖父母の命があり、先祖の命があり、さらに遡ると大昔アフリカで誕生した最初の人類にたどり着き、さらに遡ると38億年前地球上で発生した最初の生命にまでつながっています。私たちの存在はその気が遠くなるほどのつながりの中にあります。その途中のどれか一つが欠けても、今の私や私たちは存在しませんでした。そのことに思いが至れば、私たちはそのつながりの中にあって、決して突出した存在ではないという他の命に対する謙虚さが生まれてくるはずです。同時に、それぞれの命が今あることは奇跡とも言え、命の尊重とそのつながりを未来へ引き継ぐ責任感へとつながるはずです。
 最後に、私たちの命は他の生きものの命に支えられています。他の人々にも支えられています。そのことに思いが至れば、感謝が生まれ、自分もまた他の命のために貢献をしようという気持ちが生まれてくるはずです。
 命の存在はすべての人間活動や行政活動の前提であり、以上の視点をまちづくりの根幹に据え、命への共感に満ちたまちが実現できるよう、様々な取組みを進め、広げていきます。
 条例案には、豊岡の五つの経験をまちづくりの柱として取り組む姿勢を明記しています。
 一つ目は「いのちを守るまちづくり」です。平成16年台風23号を教訓とした助け合う体制づくり、健康を守るための取組みとしての歩いて暮らすまちづくり、まちぐるみの子育て支援活動を進めていきます。
 二つ目は「一人一人を尊重するまちづくり」です。互いの違いを認め合うこと、人権教育の推進、ユニバーサル社会づくりなど、人と人、家庭や地域社会との絆を深め、互いに支え合うまちづくりを進めていきます。
 三つ目は「ふるさとを愛するまちづくり」です。「教育者 東井義雄」が実践した「いのちの教育」や「村を育てる学力」に学び、一人一人が輝き、ふるさとを愛する子どもを育む教育、自然体験・農業体験や地域らしさを生かしたまちづくりを進めていきます。
 四つ目は「挑戦する心を育むまちづくり」です。「冒険家 植村直己」が不撓不屈の精神で未知の世界を切り拓いてきたことを教訓に、「植村直己に学ぶ学習」、「子どもの野生復帰大作戦」、「植村直己冒険賞」などの取組みを進めていきます。
 五つ目は「人と生きものが共生するまちづくり」です。コウノトリの野生復帰の取組みから学んだ自然界の生きものとのかかわり合いを踏まえ、「生物多様性地域戦略」、「環境創造型農業」、「生きもの共生の日」の啓発活動、持続可能な自然エネルギーの利活用、省エネルギーを進めていきます。
 これらは代表的な取組みですが、一粒(ひとつぶ)の種が芽を吹き、幹や枝を伸ばし実をつけていくように、さらに多くの取組みに成長するよう、願いを込めた条例案としています。

 次に、情報戦略について申しあげます。
 7月に3回目となる「豊岡エキシビション」を東京で開催しました。当日は、首都圏のマスコミ関係者を始め、旅行会社等から259人もの多くの方々の参加をいただき、大変有意義な催しとなりました。参加者は、初回の103人から年々大幅に増加し、豊岡に興味を示す関係者が増えていることを実感しています。
 今月中旬には、昨年に引続きエキシビション参加者による「豊岡エクスカーション」を開催し、実際に見た豊岡、体感した豊岡の魅力を記事にしていただく予定です。
 7月8日には、アンテナショップ、「コウノトリの恵み 豊岡」を東京のJR有楽町駅前にオープンしました。試験販売期間を含む8月末までの売上高は354万2千円で、目標額に対し約73パーセントという実績です。スタートとしてはまずまずであったかと思いますが、今後も運営事業者と十分連絡調整をし、さらに豊岡の良さを表現できるよう商品構成や販売方法等の積極的な改善を図り、売上げ増につなげてまいります。
 関連して、7月に有楽町の歩行者440人に対し、豊岡市認知度・地名浸透状況調査を行いました。「見たことも聞いたこともない」という回答が、豊岡については52.4パーセント、城崎温泉については40.0パーセント、出石については70.0パーセントという結果でした。これが厳しい現実です。この結果は、「豊岡市は知られていない。知っていただく努力がもっともっと必要だ」ということを示しています。
 7月15日から8月14日の1カ月間、市が城崎温泉観光協会に補助し、ウェブサイト「美人時計」を利用した城崎温泉PRを行いました。毎日午後5時から5時59分までの1時間でしたが、2,800万を超えるページ閲覧がありました。また、同1カ月間に城崎温泉観光協会のホームページのアクセスは、前1カ月の約2倍となり、他の要因も想定されるものの、PRということに関してはこの取組みが大きな成果を上げたものと考えています。
 首都圏では、豊岡を応援する任意の会も生まれています。今まで積み重ねてきた人のつながりを大切にし、10月の1カ月間実施する三省堂の文庫本ブックカバーと栞(しおり)によるイメージ戦略も含め、様々な方法によりさらに首都圏への情報発信を強めてまいります。

 次に、新庁舎建設事業について申しあげます。
 現在、敷地内では液状化対策として、地盤改良工事を行っています。また、現本庁舎については、内装や外部建屋を解体し、躯体の状況調査を行い、補修工事を行っています。
 今後の主な予定ですが、引続き地盤改良工事を行うとともに、今月から土を掘削し、搬出する予定です。なお、搬出に当たっては、県の指導に基づき適切に処分します。
 現本庁舎は、工事全体の進捗状況を見ながら曳家工事を実施しますが、その時期について調整しているところです。曳家工事は、現本庁舎が市のシンボルとして約80年間たたずんできた所から移動し、そして現本庁舎に新たな歴史が刻まれる大変感慨深い工事ですので、是非市民の皆様が参加できるイベントや見学会を開催したいと考えています。
 工事の進捗状況は、市のホームページで月1回、広報紙で3カ月に1回のペースでお知らせしていますが、今後も、積極的な情報提供に心がけてまいります。

 次に、道路照明の地元移譲について申しあげます。
 城崎地域の道路照明は、新市の道路照明基準に当てはめると、大半が防犯灯であることが判明しました。防犯灯は、集落間に設置された市で管理する防犯灯を除き、地元で所有し、維持管理をしています。
 そこで、来年度に市で維持管理している道路照明を地元に移譲し、防犯灯として維持管理していただく予定で進めています。移譲に当たり、地元が撤去を希望する照明は撤去し、老朽化などで使用に耐えない照明は修繕したいと考えています。

 次に、基幹情報システム再構築について申しあげます。
 現在、税、住民記録等は、ホストコンピュータを中心に一部個別のシステムで処理していますが、システムの複雑化、運用作業の増大、機器の重複といった課題があります。
 そこで、全庁的な視点に立って、オープン系パッケージシステムによる基幹情報システムの再構築に取り組んでいます。今年度、来年度の2年間で21の業務の再構築を行うこととし、現在はデータの移行作業を行っているところです。来年4月以降、新システムに順次移行し、最終的に平成25年度からは全業務を新しいパッケージシステムで稼動する予定です。
 これにより、現在のようにホストコンピュータを使用し続ける場合と比較すると、今年度から平成34年度までの12年間で約11億5,700万円の経費削減が図られる見通しです。

 次に、定住自立圏形成協定について申しあげます。
 「生活機能の強化」、「結びつきやネットワークの強化」、「圏域マネジメント能力の強化」の連携する取組みについて、中心市である本市と但馬の2市2町が1対1で個別に協定を締結するもので、9月の締結を目指し協議を進めてきました。
 しかし、連携する取組みについてさらなる協議が必要となったこと、また、特に重点として位置付けている周産期医療体制について、現在、「但馬こうのとり周産期医療センター検討会議」で検討が進められている状況であることから、若干の時間が必要となりました。そこで、12月を目途にそれぞれの議会の議決を経たうえで協定を締結し、その後、具体的な取組みを定めた「定住自立圏共生ビジョン」を策定したいと考えています。

予算、決算

 次に、平成23年度一般会計補正予算について申しあげます。
 一般会計補正予算第3号については、予算全体を見直し、今後の執行見込額を精査する中で過不足が生じる経費や今年度の人事異動による人件費の整理など、緊急やむを得ないものを計上しています。
 歳入歳出予算の補正総額は13億3,475万8千円の追加となり、これに必要な財源は繰越金等で措置しています。
 なお、平成22年度の決算確定に伴い、地方財政法の規定に基づく決算剰余金の処理として、市債の繰上償還に4億1,832万5千円を充てています。

 次に、平成22年度の決算の認定に関連し、その概要を申しあげます。
 地域の雇用・経済情勢について厳しい状況が続く中、市税収入とりわけ個人市民税が減収となる一方、歳出面では、社会保障関係費の自然増や高い水準で推移している公債費に加え、特別会計などへの繰出金も増嵩するなど厳しい状況となりました。しかし、財源の確保や経費の節減に努め、環境経済戦略や経済成長戦略に沿った「豊岡エコバレー」と、情報発信戦略、交流基盤の整備・拡充などによる「大交流」の実現を目指し、人口減少下における経済活性化に挑戦する様々な施策を展開するとともに、国からの地域活性化交付金などを活用した補正予算を編成し、地域経済の活性化に資するきめ細かな対策にも積極的に取り組んできました。
 その結果、一般会計の最終的な実質収支については、7億1,209万2千円の黒字決算となりました。前年度の実質収支が9億5千万円を超える額であったため、単年度収支では2億4,556万7千円の減額となっていますが、概ね適切な財政運営ができたものと考えています。
 なお、経常収支比率については、87.0パーセントと前年度から0.1ポイントの上昇となっています。また、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率については、今議会に監査委員の意見を付して報告していますが、実質公債費比率が18.8パーセントと前年度と比較し0.6ポイント減少、将来負担比率も168.7パーセントと33.6ポイントの減少となっており、いずれも早期健全化基準を下回っています。
 このように財政指標については改善が見られますが、未だ地方債の現在高が非常に高い水準にあることに加え、下水道事業などの公営企業や豊岡病院組合に対する一般会計の負担についても、今後、引続いて高い水準で推移することが見込まれるため、厳しい状況が続くものと考えています。したがって、公債費負担の適正化を図るため、繰上償還の実施や市債発行額の抑制など、公債費負担の縮減に努めることが最重要課題であると認識しています。
 加えて、税収入の確保、未利用地の売却、滞納対策の徹底や受益者負担の適正化等財源の一層の確保に努める必要があり、また、歳出面では、特に人件費や経常的経費について徹底した見直し、一層の削減を図らなければならないと考えているところです。
 以上が決算の概要です。詳細については、お手元に決算書及び関係資料をお届けしていますので、ご清覧賜りますようお願い申しあげます。

 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
 ありがとうございました。

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