市長臨時記者会見(平成29年5月1日)

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ページ番号1003553  更新日 平成30年5月22日

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日時

平成29年5月1日(月曜日) 午前10時30分~11時10分

場所

豊岡市役所 3階 庁議室

会見事項

市長就任会見

市長コメント

 また、4年間務めることになりましたのでよろしくお願いします。新しい豊岡市政がスタートしました。市政の運営に当たっては「対話と共感」を基本に据えて進めてまいります。価値観の違いや物の捉え方の違いによって意見が異なることがあります。それでも、意見の違う者同士が集まって答えを出さなければいけないときに、対話でもってお互いが納得しながら、みんなの共同作業で結論を出していく。その姿勢を貫くことで当事者が共感を共有し、その共感をエネルギーに変えて、まちづくりを進めていきたいと考えています。市民の皆様の負託に応えられるよう、誠心誠意を尽くしてまいります。
 先日、県の市長会がありました。私は、旧豊岡市時代を入れて通算5期になりましたが、県内の市長の中で5期は、小野市、相生市、豊岡市長のみで最古参になっていました。私も、それなりに経験を積んできたわけですが、これまで以上に若い人たちが伸び伸びとできるような環境作りに、より努力をする必要があるのではないかと思っています。職員の訓示でも言いましたが、「若い人の芽をつぶさない」「若い人たちが失敗を怖れずにチャレンジできる」。そういう環境作りにこれまで以上に努力をしたいと思います。
 また、戦略性をもっともっと持たせたいと思っています。まず「目的を明確に定義する」こと。目指すべき目的の姿があいまいでは、シナリオ自体もあいまいになってしまいます。目的をできる限り明確に定義して、その目的が達成できるまでのシナリオ、道筋を事前に徹底して議論を行うということです。事業実施後のチェックでは遅く、本当にこれからやろうとしている作戦が「達成できるのか」あるいは「より効率的にできる他の手段はないのか」を論理的に考えていく態度、習慣を市役所の中にさらに根付かせたいと思っています。
 また、細かいことにはなりますが、あまりに行事が多過ぎです。私自身も選挙前の市民との対話は非常に実りが多く、個人的にも楽しいものでしたが、とにかく時間がなく、それが何に取られているかというと多くの行事に取られていました。準備をして当日の段取りをする職員もまた同じだと思います。行事自体にも意味はありますが、もっと戦略性の中に行事を位置づける必要があります。例えば歩いて暮らすまちづくりの施策で「誰かを呼んで健康づくりの講演をし、500人のホールが満員になり大成功」・・・で終わっていることはないかということです。本当にこの講演で市民の健康づくりが一歩でも前に進んでいるのかと考えたとき、決して進むはずがありません。市民が運動づくりと健康づくりに一歩踏み出して継続するために、何をするべきかという戦略の中の一つに、例えば講演会が入るなら大きな意味はありますが、戦略もなく「テレビに出ている有名な人だから呼んだらお客さんが来た」で終ってないかということです。戦略性の中で、イベントを精査することができれば時間的な余裕ができ、職員も本来の目的達成のためにもっともっとエネルギーを費やすことができ、私自身もより市民との対話の時間を取れるのではないかと思います。「行事」ではなく「事業」に。そういった方向性を探ってみたいと思っています。
 また、この4年間で行う具体的な施策としては、専門職大学を必ず誘致するということです。これはまちの質的転換にもなると思われます。もちろん作るかどうか、また学生の規模はなど、まだ全くの白紙ですが、県との話し合いでは、アートマネージメントと観光コミュニケーションの2本の柱ということです。そのため、大きな大学ができることはおそらくないと思われます。そうすると学生は但馬外に行かなくても済むという量的な意味よりも、優れた教授や講師陣が来る、アートマネージメントや観光コミュニケーションを目指す学生たちが来る、その学生や講師陣が日常的にこのまちの中にいてさまざまな活動をする、そして卒業生の一部はこのまちにとどまります。それは、まちに対して与える影響、質的転換、そして豊岡における暮らしの質を高め、豊岡で暮らすことの価値を高めます。この専門職大学の誘致は、非常にインパクトを持ちうる施策だろうと思われますので、戦略的意味合いを込めてぜひ実現したいと思います。

質疑応答〔発言要旨〕

Q1 職員への訓示でも言われていましたが、職員とのコミュニケーションはどのようなことを行うのですか?
A1 市長と職員の関係は、まず職場自体の文化だと思います。合併後いっとき、退職する職員の3分の1しか一般事務職を採用せず、技能、労務については採用していない時期がありました。財政上の制約から止むを得ないこととは言いながら、相当いびつな年齢構成になっています。それを数年前から、退職者と同人数を採用するという方向に変えているため、少しは平均化してくるとは思いますが、その絞っていた時期の職員が現在やせ細っています。今後とも経験者を採用することで補っていく必要があるとは思っています。そして、先ほどの戦略性に関し目的を達成する上で「経験上これで行くんだ」「去年までやってきたのはこれだ」「これがうちの伝統だ」など年齢や地域などに関係なく、戦略的であろうとすればするほど、本当のことを議論しなければいけません。戦略性を組織の中で求めることで議論は活発化し、その中で若い人たちの参加意識や能力というものが高まります。例えば大交流課などの取組みは典型的にウェブマーケティングの世界に入っており、これはもう高齢者には分からないです。つまり、構造的にこれまで以上に若い人が活躍できる、場合によっては若い人しか分からないという世界がずいぶん広がってきており、これからさらに広がっていくのだろうと思います。その意味でも若い人たちが臆することなく、物を言うことができる組織だろうと思います。対話というものも結局そういうもので、協働して結論を作っていくというプロセスが重要です。もちろん最終的には、トップが責任を持って決断しないといけないですが、皆で結論を作り上げていくという風土だと思います。

Q2 今まで異論があったときなどに、そのまま物事を推し進めることなどはありましたか?
A2 うん、まあ若気の至りもありましたかね。異論があるとすぐ説得したがるみたいなこと。特に市民との関係というよりは職員との関係でありましたね。同じような土俵で戦っている人たちに関して言うと、どうしてもそういう傾向が出てくるのではないかと思います。また、政治家はどうしてもそういう傾向を持ちます。テレビでよく見る人たち皆そうですからね。
 しかし、本当はそういうことが物事を変えていくのではなく、まさに対話だと思います。違うということで、なぜ相手がそんなことを言っているのかをお互いが理解し合うことです。つまり相手にとっての主観的な合理性を理解することです。相手の立場に立ってみると合理的なことを言っている、そして自分は自分の立場で合理的なことを言っている。しかし言っている中身は違うため、まずは相手が何を言っているかを理解しようとし、結論を出さないといけないという訓練は日本自体あまりありません。やはりきちんと対応していくことは必要だと思います。

Q3 長い年月で丸くなったということですよね。
A3 なりつつあります。

Q4 今回、対話を強調されていますが、きっかけは何かあったのですか?
A4 以前から、このようなことは言ってきていましたが、今回、選挙前に14会場で行った市民と「語る会」も結構大きい要因になりました。
豊岡市政の最大の課題は地方創生です。人口減少はこれから先の問題ではなく、今、起きているいろいろな問題も人口減少により起きています。10年後に困るから今頑張るということではなく、今困っていることも実は背後に人口減少が最大の要因としてあります。そして、今困っている状況は今後さらにひどくなるという理解で話すのです。実際、会場の人たちから出てくる意見は「人口減少、それはよく分かった」「市役所頑張ってよ」、そんなことより「目の前の公共交通なんとかもっと安くならないのか」「もっと便利にならないのか」という意見です。しかし、その公共交通がなぜ不便なのかというと、この人口減少が決定的な要因として挙げられます。その人たちの言っていることは分かるのですが、そこのとこを対話で埋めていくということです。「実は今おっしゃったことでも、バックには人口減少があります。そのため未来に対する責任で、これをやらないといけないですよね」。しかし、今大変なことは分かりますので「それに対して市は今こんなことをやっている、これからこういうことをやろうとしている、でも、ここから先はできないので、ここはご辛抱いただけませんか」のようなやり取りをすることにより、結局そのプロセスが、皆さんに安心感を与えたり、承認していただけたりするものだと思います。逆に私の方は、そういう話をゆっくり聞いて、ゆっくりやり取りしていく中で、今の人たちの不満がどこにあるかということが分かります。だから、対話は両方にとって大切なことなのです。
 もし、私が「市民はそんな目の前のことしか考えてなくて、未来のことは考えないのか」と思ってしまうと大きな溝ができてしまいます。また、市民が「俺はこんなに苦しいのに市長はもうあんな先のことばっかり言っとんのか」というような議論になると、不毛な対立になってしまいます。しかし、対話というプロセスを経ることにより、お互いがお互いのことを分かり、実はこれがまちにとって、とても大切なのではないかという気がします。

Q5 14回の意見交換の中で、実際にそういう反応があったのですか?
A5 はい、ありました。

Q6 そこで対話の重要性を改めて認識されたということですね。
A6 はい、そうです。
 例えば、どこの会場においても出てきた課題が、敬老の日の補助金の廃止問題です。しかし、対話によりほとんどが理解していただけたと思っています。私は敬老の日の意義を全く否定しているわけではありません。各地区の敬老会は、お年寄りにとって年に一度の楽しみで、歌を歌ったり、踊りを見たり、お酒を飲んだりして、機嫌良く帰って、独居老人が「来年もまた生きて会おうな」と帰っていかれます。これはすごく意義があり否定はしていません。しかし、75歳以上に1,500円の補助金は、豊岡市全体で2,000万円を超えて、ドクターカーを1年間運用するために豊岡市が負担する費用と同じです。24時間365日の安心を確保するための費用と、高齢者を一日お招きして「楽しかったね」という費用と同じだとすると、高齢者のためにと考えればこの2,000万円はひょっとしたら、もっと有効な使い方があるのではないのかということです。例えば各コミュニティセンターには県の補助金を利用して整備した交流広場があるため、そこで喫茶室を行って1年通じて来ていただき人とのつながりが実感できるようにするとか、あるいは、地域の人口が減少している中で、現在隣近所で行っている独居老人に声掛けする運動を、地区の中で若干でも費用を負担して、一週間に一回「どうですかー」と声を掛けて回る人をつくった方が、もしかしたら高齢者にとっては良いのかもしれないということです。今年度は、すでに使い道が決まっているため敬老会の補助は実施しますが、来年度以降は、新しいコミュニティ組織で、高齢者のために自由に使い道を決めてもらった方が良いのではないかということで廃止しました。もちろん会場では、賛成するかどうかはそれぞれですが、少なくとも私が「なぜこの補助金を廃止したのかの理由については理解して欲しい」というと、皆さんはうなずいておられました。もちろんその上で、やはり続けていくということは出てくると思いますが、こういうやり取りはすごく大切だと思います。

Q7 地方創生における周辺自治体との連携の考え方を教えてください。
A7 連携をした方が得なものについては連携し、そうでないものについてはしないことを明確にする必要があると思います。これは、豊岡市にとってという意味ではなくお互いにとってということです。
 地方創生は人口減少対策です。但馬の人口減少の傾向はすごくはっきりしています。それは10代が圧倒的に転出超過で20代が転入超過。そして10代の転出超過した人口の20%しか20代で回復していません。差し引きマイナス80%の若者が大赤字です。それ以外の年齢層ではほとんど「社会減」は起きていません。若い人を転出させないことはなかなか難しく、大学もないし、若いうちに広い世界を見たいというのは当然のことだと思います。なぜ帰ってこないのか。ここの智恵を絞らないといけないわけです。
 例えばインフラ整備などは共同で取り組んでいく必要が当然あります。それから、若者のUIターンの就職説明会などは、まだ比較的に豊岡のみで行っても良いとも思いますが、その他の市町では戦えないこともあるかもしれません。実際、最近では企業説明会などを共同で行うことを盛んに行っています。それから、あまり企業誘致の時代ではないかとも思いますが、例えば豊岡のみの人口は82,000人ですが、但馬では17万人。京丹後まで含めたらもっといますよという方が訴え方として得なわけです。他方で、広域連携することで実施するまでに時間がかかってしまうことも考えられます。市町間の調整や、さらに各市町には議会があり、その調整中に機会を失われてしまうこともあります。このように広域連携はバランスだと思います。
 ただその中で、例えば豊岡が但馬で果たすべき責任には「これ但馬全体でやった方が得だよね」などの提案をすることだと思います。もちろん市町の提案も耳を傾けているのですが、豊岡市として、但馬全体で取り組む方が得なことを見つけ出して、そしてそれぞれのまちに提案をし、共同して取り組んでいく役割を果たすことが豊岡の責任だと思います。
 豊岡のインバウンドの作戦は、城崎がとにかく圧倒的な旗印になります。これは、もう世界から見たときに当然そうなります。世界中にすてきなところがある中で、但馬や豊岡にどこがありますかといったときに城崎は戦えます。城崎で旗印を掲げて、城崎に来たお客さんが但東に行き、出石に行く方が外から見たときにはより魅力が高まります。但馬全体でもたぶんそうだと思います。私たちがヨーロッパに行ったときに、ロンドンに行き、パリに行き、ついでにローマまで行くなど、とんでもない動きを平気でするわけです。それは、海外から来るお客さんも同じで、例えば豊岡の後、竹田城、香住の自然などとつながった方が商品全体の魅力が出てきます。ただ、最初から広域で行っていたら、たぶんうまくいってないと思いますが、これからのインバウンド施策は広域がいいと思います。

Q8 それ以外にはありますか?
A8 医療なども協力し合う必要があります。
 例えば全てのまちが自分のまちに総合病院が欲しいといっても絶対に不可能です。
 医療で連携して大成功した例に、ドクターヘリとドクターカーがあります。若い医師は症例を積むことによって腕を磨きたいわけです。ドクターヘリは鳥取から京都までのエリアをカバーすることにより、いろいろな症例が出てきます。もし豊岡のみで救急を行っていたら若い医者は来ていないです。今はドクターヘリにより救急の医師は20人を超えています。今年の3月では22人です。平成22年にドクターヘリが導入される直前の豊岡病院の救急医師の数は4人でした。それはやはり広域で取り組み、なおかつドクターヘリという最先端の取組みを行うことで、若い医師がぞくぞくと来るようになりました。個別で頑張らなかったということの見事な成功例だと思います。またその結果、ドクターカーも走らせることができるようになり、但馬の3市2町の救急体制の能力が飛躍的に上がったと思います。
 周産期センターも同じです。但馬のお産の最後の砦を但馬中で守ろうと3市2町で協力して費用を負担し合って、3市2町と豊岡病院組合で作ったのが周産期センターです。朝来医療センターにも香住病院にも欲しいというのはそうですが、それは不可能です。地方に医者が来ない中で24時間365日の救急を守ろうとすると、やはり但馬全体で取り組む必要があると思います。

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