平成29年第1回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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 3月3日、第1回豊岡市議会定例会の議案提出に当たり、中貝市長が、施政方針と、当面する市政の諸課題、提出議案の主なものについての説明(市長総括説明)を行いました。

 おはようございます。
 平成29年第1回豊岡市議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し深く敬意を表します。
 今議会は、平成29年度の当初予算をはじめ、諸案についてご審議いただく極めて重要な定例会です。
 本日、私から提出いたします案件は、報告事項3件、事件決議14件、条例9件、予算22件の合計48件です。
 なお、会期中に人事案件22件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。
 大雪への対応について申しあげます。
 1月23日から24日及び2月10日から13日にかけて大雪となり、平成24年2月以来、5年ぶりに豪雪災害警戒本部を設置し、本庁及び各振興局で対応に当たりました。
 岩手県花巻市までの直線距離に相当する、除雪延長741キロメートルを除雪車172台で、夜を徹して除雪を行いました。降雪量が多く一部区間で交通に支障が発生し、市民の皆様には不便を忍んでいただくことになりましたが、今後とも市民生活を守るという誇りにかけて、さまざまな自然災害に対し、全力で対応してまいります。
 この間の除雪にかかる費用につきましては、専決予算並びに補正予算を今議会に提出しています。
 また、区が生活道路等の除雪を行うために購入する除雪機の経費の一部を補助する「除雪機緊急整備事業補助金」制度を、平成24年度から27年度までの期間で緊急的に設けていました。このたびの大雪を受けてこの制度を復活させ、6月定例議会で補正予算を提出したいと考えています。
 ここで、平成29年度の本市のまちづくりと市政運営に当たる私の所信を述べさせていただきます。
 新年度も、市政最大の課題は地方創生です。
 もちろん、市の最大の任務は、豊岡の人々の暮らしを支え、豊岡のまちを支えることです。しかし、若年層が極端にやせ細ったいびつな人口構造への進展とともに進む人口減少が、私たちの暮らしを脅かす最大の要因として立ち現れています。しかも、今後その脅威はさらに増していきます。今と明日の「今」の市民生活の平穏と活力維持のためにも、私たちは人口減少との圧倒的に不利な闘いに全力で挑んでいく必要があります。
 豊岡における人口減少の最大の要因は、若年層の転出超過と未婚率の上昇にあることはこれまでも申しあげてきました。そしてそのうちの転出超過の要因は、多くの若者たちが抱いている地方のイメージにあると申しあげてきました。大企業がないことなどの大都市との経済格差に加えて、優れた芸術文化に触れる機会やおしゃれな店や通りもない。「地方は貧しくてつまらない」という強烈なイメージが、若者たちの地方への足を止めているというのが、市の地方創生戦略における基本認識です。豊岡出身の若者たちの多くは、豊岡以外の地方も選んでいません。
 そこで否定されているのは、単に地方における所得の低さではありません。彼らの多くが進路を決める際に否定しているのは、「地方で暮らすことの価値」そのものだと考えなければなりません。
 だとすると、戦略的に豊岡の私たちがやるべきことは、「豊岡で暮らすことの価値」の創造です。もともと豊岡にはそれがある、という私たちの信念から言えば、価値の再発見と再創造と言っていいかもしれません。
 問題の多くは、地方と大都市との関係から生じているのであり、地方創生は本質的に、地方対地方の競争ではありません。日本のそれぞれの地方がそれぞれのやり方でそれぞれのまちに暮らす価値の再発見と再創造を行うことによって、その総和として「地方に暮らすことの価値」が確固として根付き、日本の地方創生が成し遂げられるのだと思います。
 私に与えられた任期は間もなく終了しますが、引き続き市民の皆様のご支持を得て、市民の皆様と共に「小さな世界都市―ローカル&グローバル・シティ」の実現を旗印にして、地方創生の道を歩んでいきたいと考えています。

平成29年度予算

 平成29年度予算の概要について申しあげます。
 新年度予算の打ち出しを「地方創生・未来への挑戦」としています。
 まず、歳入についてです。国が策定した平成29年度地方財政計画において、市町村税収入は景気の緩やかな回復基調を反映し対前年度比2.1パーセントの増が見込まれる一方、地方交付税総額は、地方税収の増などの影響から2.2パーセントの減と見込んでいます。
 しかし、本市の平成29年度予算の歳入において、市税収入は地方財政計画の見込みを大きく下回る0.7パーセント、6,537万7千円の増額にとどまっており、景気回復の風は、本市税収に直接的に反映できるほどには至っていないと言えます。
 地方交付税については、普通交付税では、地方財政計画による地方交付税総額の減少見込みに加え、平成28年度から始まった合併算定替の縮減幅の拡大など本市独自の影響も加味し地方財政計画を上回る4パーセント、6億3千万円の大幅減額を見込んでいます。
 特別交付税は、ここ数年の決算状況から5千万円の増額としています。
 地方消費税交付金についても、県内消費の動向等から対前年度比12.7パーセント、約2億700万円の大幅減額を見込まねばならないなど、極めて厳しい財政状況にあります。
 市債については、北但ごみ処理施設や西気・竹野南地区公民館の完成等により15億7,010万円の減額となっています。自主財源は歳入全体の35.5パーセントで、平成28年度と比較して3.0ポイント上昇しましたが、これは財源調整としての基金繰入金の増加などによるもので、依然脆弱な財政構造が続いています。
 歳出については、自治体の基本である市民の日々の暮らしを支え続けることを基本としつつ、豊岡市地方創生総合戦略をさらに推進し、人口減少トレンドに立ち向かうため、68事業、総額7億4,601万4千円の地方創生関連事業を予算計上しています。
 また、コミュニティ・災害・経済・財政の四つの危機からの脱却を目指し、住民自治により地域の活性化と持続可能な地域運営を行う地域コミュニティ組織への支援など、的確に対応する施策に重点的な予算付けを行いました。
 一般会計では総額477億1千万円、平成28年度当初予算対比2.4パーセント減の予算としています。
 なお、普通交付税や地方消費税交付金の大幅な減額などにより、一般財源に不足が生じることとなり、財政調整基金から10億円を取り崩すこととしています。
 平成29年度当初予算全体としては、一般会計のほか八つの特別会計の予算総額214億6,682万2千円、及び三つの企業会計の予算総額154億8,216万1千円を合わせ、総額846億5,898万3千円、平成28年度当初予算対比1.0パーセントの減となっています。
 平成32年度で合併特例債の発行期限を迎えること、普通交付税の合併算定替えの優遇措置が終了することなど、今後ますます厳しくなる財政状況を見据え、必要不可欠な事業を前倒しするなど、後年度の行財政運営に配慮して編成しました。
 投資的経費は55億7,067万8千円で、北但ごみ処理施設や西気・竹野南地区公民館の完成等により、平成28年度予算と比べマイナス23.5パーセント、17億1,331万6千円の減額となっています。
 平成29年度も、行政改革を着実に実行するとともに、歳出の徹底した見直しによる抑制と重点化を進めます。
 また、歳入面でも自主財源の確保を積極的に図るなど中長期的な視点に立ち、効率的で持続可能な財政運営に努めてまいります。
 続いて、平成28年度補正予算で予算化し、平成29年度に繰越して実施する事業を含め、平成29年度に取り組む主な施策等について、総合計画の体系に沿ってご説明申しあげます。
 なお、教育行政の方針に基づく施策の展開については、教育長から別途ご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 第1に、「安全に安心して暮らせるまち」についてです。
 防災・減災力の向上、消防・救急体制の充実を図るとともに、交通安全・防犯意識の高揚に努め、安全な暮らしづくりを進めます。
 また、生活習慣病予防や健康づくりの支援などにより、安心しておだやかに暮らせるまちづくりを進めます。

安全を守るまちづくり

 具体的には、「安全を守るまちづくり」として、防災行政無線のデジタル化を進めます。平成29年度からは新システムの実施設計にかかりたいと考えています。
 消防体制では、豊岡消防署の高規格救急自動車、出石分署の水槽付消防ポンプ自動車及び広報車を更新し、消防力の強化を図ります。
 また、市町合併後、市内六つの消防団で異なる活動服を着用していたものを全団で更新・統一し、安全性と団員士気の向上につなげます。
 安全な暮らしでは、地域団体への防犯カメラの設置補助を継続して行うとともに、地域で所有している防犯灯のLED化を促進するため、補助対象数を今までの年間約1千基から約1,200基に増やします。
 また、安全・安心な消費生活のため、消費生活相談員の増員を行うとともに、引き続き相談員の積極的な研修参加によるレベルアップを通して、消費生活センターの充実・強化を図ります。

安心しておだやかに暮らせるまちづくり

 「安心しておだやかに暮らせるまちづくり」としては、健康ポイント制度や「玄さん元気教室」の普及・拡大、歩キングの推進を図ります。
 高齢者福祉では、豊岡市老人福祉計画・第6期介護保険事業計画に基づいた介護サービス基盤の整備や、高齢者施設等に必要な安全対策を実施する民間事業者に対し、整備費等の補助を行います。
 障害者福祉では、第4期豊岡市障害福祉計画に基づき、障害福祉サービス等の提供体制を確保するとともに、自立支援給付等の円滑な実施を図ります。
 豊岡斎場については、設備の老朽化に対応し、平成28年度から火葬炉の全面改修や必要な機械設備等の入替え工事を実施しており、平成29年度中の工事完了を目指します。

人と自然が共生するまち

 第2に、「人と自然が共生するまち」について申しあげます。
 コウノトリも住める豊かな環境と豊岡型ライフスタイルの創造により、人と自然が響き合うまちづくりを進めるとともに、環境経済戦略を推進します。
 また、循環型のまちづくりや、快適で美しいまちづくりを進めます。

人と自然が響き合うまちづくり

 具体的には、「人と自然が響き合うまちづくり」として、豊岡における自然再生をさらに進めるため、自然再生アクションプランを策定します。
 また、豊岡らしさを活かした豊岡型ライフスタイルの実現に資する取組みに対して補助金を交付し、取組みを促進します。

循環型のまちづくり

「循環型のまちづくり」としては、太陽光発電システム設置補助を継続します。

持続可能な「力」を高めるまち

 第3に、「持続可能な『力』を高めるまち」について申しあげます。
 経済成長戦略を中心として農林水産業、商工業、観光・サービス業など産業全般にわたる振興策を強化し、地域経済を元気にするまちづくりを進めます。
 また、住環境や道路網の整備、公共交通の確保・充実などにより、賑わいと魅力あるまちづくりを進めるとともに、活力を生むまちづくりを推進します。

地域経済を元気にするまちづくり

 具体的には、「地域経済を元気にするまちづくり」として、引き続き玄武洞公園を整備します。県道整備に伴い沿道のトイレを撤去し、公園内に新たなトイレを設置します。また、ユニバーサルデザイン化に向け、園路スロープ等の整備を進めます。
 農業では、広域基幹農道の安全・安心な交通を確保するため、農道橋の耐震補強及び長寿命化を進めます。
 農業基盤整備としては、蓼川用水路の補修、下鶴井区のほ場整備を行います。また、重要な取水施設である百合(ゆり)井堰(いせき)を可動堰にするための改修を行います。
 戸牧川・新川水路ゲートなど主要な4カ所と、前川樋門の開閉状況や水位が確認できる位置にWEB(ウェブ)カメラを設置し、パソコンや携帯電話などで24時間状況を確認し、ゲリラ豪雨等に迅速に対応できる体制を構築します。
 林業では、持続可能な森づくりを目指し、森林再生戦略に基づき、施業地の確保や搬出間伐の計画的な集約化施業を実施します。
 水産業では、田結漁港の直接的な高波の襲来を防ぐため、平成28年度に引き続き、既存防波堤を西に31.5メートル延伸します。全体100メートルのうち、61.5メートルが完成します。
 漁港海岸保全施設については、中長期的な維持管理・更新等にかかるトータルコストを縮減するため、施設の長寿命化計画を策定します。
 また、市の基幹産業である水産業の問題解決を図るため、実態調査、データの分析等を行い、水産業振興基本計画を策定します。
 北近畿豊岡自動車道の関連で県が整備する県道但馬空港線の沿線土地については、産業用地として整備を行います。

賑わいと魅力を創るまちづくり

 「賑わいと魅力を創るまちづくり」としては、市道気比中道(けひなかみち)線等の道路整備、市道駅前西町(えきまえにしちょう)線等の大規模舗装修繕、市道日向太田(ひなだおおた)線等の側溝修繕、市道赤崎江原(あかさきえばら)線等の道路構造物長寿命化などを進めます。
 橋梁については、上野橋(うえのばし)等の整備を進めるとともに、道路法に基づく定期点検結果により長寿命化修繕計画を策定し、補修設計、補修工事を計画的に行います。
 雪害対策では、冬季の通行を確保するため、老朽化している除雪ダンプトラック、除雪ドーザーの更新・増強を行います。
 小学校等通学路の安全対策としては、市道栃本太田(とちもとただ)線等の歩道設置や道路の路肩カラー表示、防護柵設置等により、歩行者の安全な空間を確保します。
 コウノトリ但馬空港利用促進では、首都圏からの誘客を促進するため、航空会社と一体となって東京都内でのPR活動や、動画コンテンツの制作・配信を行い、東京乗継利用に重心を置いた但馬-伊丹路線の利用促進に努めます。

活力を生むまちづくり

 「活力を生むまちづくり」については、現在、地域おこし協力隊の10人の隊員が、豊岡・城崎・竹野・出石・但東地域で活動しています。
 地域力の維持・創出をさらに推進するため、平成29年度には新たに12人の隊員を募集し、コウノトリと共生するまちづくりや観光業、農業等の活性化につながる活動などに取り組む予定です。
 なお、平成28年度末に協力隊員第1期生が、3年間の委嘱期間終了を迎えます。今後も順次委嘱期間満了を迎えることから、起業する協力隊員に対して必要経費の一部を支援することにより、本市への定住を実現しやすい環境を整えたいと考えています。

未来を拓く人を育むまち

 第4に、「未来を拓く人を育むまち」について申しあげます。
 音楽祭や演劇の開催、子育て・教育環境の整備などにより、健やかで心豊かな子どもを育むまちづくりを進めます。

健やかで心豊かな子どもを育むまちづくり

 具体的には、子どもたちが豊岡で世界と出会う音楽祭「おんぷの祭典」や「アジア国際児童青少年舞台芸術フェスティバルJAPAN(ジャパン)2018 IN 豊岡」の誘致、姉妹都市 上田市との高校演劇による交流を実施します。
 五荘第2放課後児童クラブについては、開設場所である旧五荘公民館の老朽化のため、専用施設として現在地での建て替えを行います。現在、実施設計を行っており、平成29年度に整備工事を実施します
 認定こども園については、公立小坂・小野幼稚園、私立小坂保育園を統合再編し、幼保連携型の私立認定こども園を設置します。平成29年度に私立小坂保育園の既存園舎を改修し、平成30年4月の開園を目指します。
 子どもの野生復帰大作戦については、子どもなどを対象にした四季型周年プログラムのほか、地区ごとに特色あるプログラムを展開する「出向く野生復帰大作戦」や公開野生復帰まつりを実施します。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第5に、「人生を楽しみお互いを支え合うまち」について申しあげます。
 さまざまな学習の機会と場が提供され、歴史・伝統や香り高い優れた文化・芸術に触れることにより、お互いを尊重し、誰もが日々の暮らしを楽しみ、お互いを支え合うまちづくりを進めます。

日々人生を楽しむまちづくり

 具体的には、「日々人生を楽しむまちづくり」として、第10回永楽館歌舞伎を昨年の15回公演から16回公演に増やして実施します。子どもたちにも歌舞伎の魅力を知ってもらうため、市内在住の小・中学生、高校生に3千円で観劇してもらう取組みを実施します。
 歴史博物館については、博物館前の道路改良工事に伴い、植栽をスリム化する外構整備等を行い、総合歴史博物館としての展示室のリニューアルに向けた基本設計業務を進めます。
 日高文化体育館については、吊り天井の耐震化、照明機器のLED化、空調設備の更新、トイレの一部洋式化を行います。
 豊岡市民グラウンド陸上競技場については、競技場内にある老朽化したトイレ棟の建て替えと、ランニングタイマーや写真判定機サポートシステムの購入により施設、設備の充実を図ります。

お互いを支え合うまちづくり

 「お互いを支え合うまちづくり」としては、平成29年4月から、いよいよ地区公民館をコミュニティセンターへ移行します。
 市は、コミュニティ組織への財政支援などを行い、連携して協力する体制を整えます。
 これらの取組みが、人口は減少してもなおその地域を守り、反転攻勢する力につながると信じ、「自分たちの地域は自分たちで守る」という豊岡市のこれからの地域づくりの基礎を地域の皆様とともに築いてまいります。

市政の運営

 第6に、「市政の運営」について申しあげます。
 それぞれの地域の固有の自然・歴史・伝統・文化を尊重し、特色あるまちづくりを進めます。

特色ある地域の成長と連携

 具体的には、「特色ある地域の成長と連携」として、各地域の特徴を活かした事業推進により、地域の振興を図るとともに人口減少の緩和を目指します。
 城崎振興局では「正規で働く若い人が増えている」を戦略目的とし、繁忙期と閑散期の観光客数の入り込み差を少なくし、旅館等における通年での若者の正規雇用化を目指します。
 そのため、城崎温泉街の町並みと怪談を楽しむ「城崎怪談」の企画運営に観光系学生が関わることで、関係人口の増加、ひいては城崎への就職・定住につなげることを目指します。また、朝市事業等により地域の魅力を再発見することで地域への愛着を増し、正規で働く若者を増やす取組みを実施します。
 竹野振興局では、「竹野の海・山・川と共生して暮らす若者が増えている」を戦略目的とし、仕事づくり、地域の魅力づくり、情報発信等に取り組みます。
 そのため、生業づくりとして新規就農者の育成やマスコミ等への情報発信、焼き杉板の町並みの学術的調査、フィールドワークを実施します。移住者用住宅の確保と空き家の適正な管理のために、空き家の家屋調査や所有者の意向調査事業を支援します。
 日高振興局では、「日高で暮らす若い人が増えている」を戦略目的とし、雇用の創出、移住・定住の促進を図ります。
 そのため、神鍋地域の空き民宿等を宿泊施設や飲食店等に活用する事業者に対して、店舗改修費の一部を助成します。神鍋溶岩流を使った商品開発やサービス提供等の検討、地元食材を使った競技者のためのアスリート食の普及、PR活動などへ支援を行います。また、日高地域の先輩に学ぶ授業も引き続き実施します。
 出石振興局では、「楽しんで出石に暮らす若者が増えている」を戦略目的とし、城下町と伝統産業などを活かして観光客の増加を図り、産業の発展、雇用促進につなげます。
 そのため、市街地の空き家調査や利活用を促す活動を支援します。重要伝統的建造物群保存地区に選定されている出石の町並みを保存し、町家を活用した起業促進、移住定住による地域活性化を図ります。また、伝統産業である出石焼の雇用促進や技術伝承のため、広報宣伝・販売促進活動に対し支援を行います。
 但東振興局では、「但東の人口の減少が緩やかになっている」を戦略目的とし、未婚者の結婚の促進、移住する若者の増加、働く場所の増加の取組みを進めます。
 そのため、未婚者の情報収集と婚活の促進とともに、婚活イベントを実施し、未婚者の成婚を推進します。
 また、移住促進住宅により移住を促進するとともに、交流人口の拡大や農家の副収入の向上を図るため教育民泊の取組みを支援します。

参画と協働のまちづくり

 「参画と協働のまちづくり」については、「市民と行政の協働推進指針」に基づき、福祉や子育て、環境などさまざまな分野で、市民やNPO、各種団体、企業などと行政が適切な役割分担と連携を図りながらまちづくりを進めます。
 また、男女共同参画社会づくりを推進するため、この3月末を目途に、平成29年度から5年間を計画期間とする新たな「第3次豊岡市男女共同参画プラン」を策定することとしています。
 固定的性別役割分担意識と行動が伴っていないこと、事業所におけるワーク・ライフ・バランスの取組みの難しさなどの課題を克服するため、基本理念を「だれもが暮らしやすい社会」と定めています。
 全ての人が尊重され、職場・家庭・地域・学校の中で、自らの意思に基づき、個性に応じた役割を担い、責任を果たし、自分らしい生き方を選択できる社会を目指します。

新しい時代にふさわしい行政経営

 「新しい時代にふさわしい行政経営」については、第3次行政改革大綱等に基づき行政改革を推進します。
 人材の育成については、職員の資質向上のため、環境省、日本政府観光局、兵庫県立大学大学院、東邦物産株式会社等のほか、新たに経済産業省、楽天株式会社への職員派遣を行うとともに、引き続き豊岡稽古堂塾を開講します。
 行政情報化では、新たな統合基盤を導入して仮想化サーバ基盤を更新し、データのバックアップシステムを再構築することにより、効率的な運用とコストの削減を図ります。
 統合型地理情報システムについては、航空写真の更新を行います。この航空写真と平成23年度の航空写真を比較することにより、土地や家屋の変動を抽出し、効率的な現況調査に利用します。

主要事業

地方創生事業

 続いて、主要事業について申しあげます。
 まず、地方創生事業について、戦略体系図に基づき主な項目についてご説明申しあげます。
 「戦略目的A 暮らすなら豊岡と考え、定住する若者が増えている」と「戦略目的B 多くの子どもでにぎやかな家庭を持つ若者が増えている」の二つを5年程度で達成したい状態として設定しています。

戦略目的A 暮らすなら豊岡と考え、定住する若者が増えている

 「戦略目的A」を達成するため四つの主要手段を掲げ、取組みを進めます。

主要手段A-01 豊岡の暮らしの『豊かさ』が内外に知られている

 まず、一つ目の主要手段「豊岡の暮らしの『豊かさ』が内外に知られている」、すなわち「情報発信」について申しあげます。

WEBやSNS等で豊岡の情報が共有されている

 その具体的手段「WEBやSNS等で豊岡の情報が共有されている」についてです。
 豊岡で暮らす魅力を知り、興味を持ってもらうため、プロモーションを行います。Facebook(フェイスブック)広告、WEB広告等を用いて、移住定住促進ポータルサイト「飛んでるローカル豊岡」への誘導、暮らしの情報等を発信し、豊岡が移住地の選択肢となるよう働きかけます。
 また、就職を機にUターンする人を増やすため、成人式などさまざまな機会を利用して、早い段階から学生等とのつながりを作り、「かばんIターンプロジェクト」や「ジョブナビ豊岡」、「就活応援ブック」などにより、豊岡で暮らす魅力と市内企業の魅力、やりがいのある仕事を伝えます。
 「飛んでるローカル豊岡」や「ジョブナビ豊岡」などのWEBサイトは、移住やUターンを検討している方の興味を高めるために、情報を随時追加・更新するとともに、アクセス分析により定期的な改善を行います。

豊岡を巣立った人たちが豊岡とつながっている

 次に、具体的手段「豊岡を巣立った人たちが豊岡とつながっている」についてです。
 若者のUターンを進める事業として、合同企業説明会や企業研究会に加え、新たに「25歳同窓会」を開催します。
 都市部での就職後にUターンする人が一定数いることから、大学卒業後おおむね3年が経過した満25歳の市内高校卒業生を集めて同窓会を開催し、豊岡での暮らしや市内企業の魅力・仕事を伝えるとともに、同じ年の市内在住者との結びつきを強めることにより、Uターンへつなげます。

定住を検討する人に寄り添って、情報が提供されている

 次に、具体的手段「定住を検討する人に寄り添って、情報が提供されている」についてです。
 東京や大阪の移住フェアに出展し、豊岡の最先端の取組み「飛んでるローカル豊岡」の紹介や、仕事、住まい、教育、暮らしに関する情報提供や対話により、豊岡への来訪や移住を促します。
 また、教育に関心がある移住志向の方には、コミュニケーション教育や親子運動遊び、英語遊びなど、豊岡で行っている教育の体験会を東京で開催し、豊岡への関心や興味を高め、来訪や移住を促します。
 豊岡を訪れる方や移住相談者に対しては、ワンストップ窓口での相談や現地案内を通じて、地域、住まい、仕事等のコーディネートやマッチングを行います。

主要手段A-02 人々が豊岡の『豊かな暮らし』を楽しんでいる

 二つ目の主要手段「人々が豊岡の『豊かな暮らし』を楽しんでいる」、すなわち「高付加価値化・成熟化」について申しあげます。

やりがいと安定した収入が得られる仕事が増えている

 その具体的手段「やりがいと安定した収入が得られる仕事が増えている」についてです。
 農業では、コウノトリ育む農法の栽培面積が366.1ヘクタールに広がりました。そのうち無農薬栽培は、115.8ヘクタールとなり、農家所得の向上にも大きく貢献しています。
 しかし、近年の競争激化により、減農薬米の優位性が低下したため、市場評価の高い無農薬米への早期移行を目指し、誰もが挑戦しやすい「ポット成苗と水田除草機」を活用した実証栽培に取り組んできました。
 3カ年の実証事業と2カ年のチャレンジ事業の結果から、収量・食味とも高い効果が得られたところです。
 平成29年度には、実証期間中に集めたデータや栽培ポイント等を分かりやすくまとめた栽培マニュアルを作成し、併せて営農に必要となる田植機と除草機の購入支援を行い、より多くの生産者が無農薬栽培に取り組みやすい環境を整備します。
 また、革製鞄・革小物生産能力育成事業やIT企業誘致に引き続き取り組み、若者にとって魅力的な仕事の拡大に努めます。

新たな事業や仕事にチャレンジする人が増えている

 次に、具体的手段「新たな事業や仕事にチャレンジする人が増えている」についてです。
 まず、コワーキングスペース整備についてです。
 じばさんTAJIMA(タジマ)の5階フロアを但馬地域地場産業振興センターに貸与し、創業支援や異業種交流の拠点となるコワーキングスペースと二つの貸事務所を整備しています。工事も予定通り進み、3月30日に竣工、リニューアルオープンする予定となっています。
 さまざまな業種の方が、お互いにアイディアを出し合い情報を共有することで、新しいつながりやビジネスがこの場所で生まれ、外に羽ばたくことを期待しています。
 二つの貸事務所には、一般社団法人豊岡観光イノベーションとWILLER TRAVEL(ウィラートラベル)株式会社が入居する予定となっています。
 次に、新規就農総合支援事業と空き店舗等開業支援補助事業の取組みです。
 豊岡農業スクールによる新規就農者の育成、園芸用ハウスの整備費補助、農業用機械等の導入への補助、都市部などから市内へ移住する新規就農者等への家賃補助などを引き続き実施します。
 また、市内の空き家、空き店舗、空き民宿等を活用して新規出店する方に対し改修費等の補助を行い、魅力ある店舗等の新規開業を促進するとともに、空き店舗等の活用を図ります。

自分の時間を持ち、暮らしを楽しむ人が増えている

 次に、具体的手段「自分の時間を持ち、暮らしを楽しむ人が増えている」についてです。
 「地方はつまらない」というイメージを払拭し、若者にとって魅力的なまちになるため、文化芸術活動を活かしたまちづくり、人づくりの指針となる「文化芸術振興計画」を策定します。
 また、文化芸術事業の連携による多様な人材の交流や、豊岡にいながら質の高い文化芸術との出会いや創造につながる「豊岡アートシーズン2017」を開催します。
 2回目となる平成29年度は、次世代を担う子どもたち、高校生をはじめとする若い世代や子育て世代をより意識した取組みを行います。

主要手段A-03 豊岡で人々が世界と出会っている

 三つ目の主要手段「豊岡で人々が世界と出会っている」、すなわち「ローカル&グローバル」について申しあげます。

世界中から人々が来訪し、豊岡を楽しんでいる

 その具体的手段「世界中から人々が来訪し、豊岡を楽しんでいる」についてです。
 平成28年の1年間の外国人延べ宿泊者数は4万4,648人となり、前年対比約1.30倍となりました。誘客のターゲットである欧米豪市場は、前年対比約1.23倍となり、特に北米市場は前年対比約1.57倍と、年間を通して高い伸びとなりました。
 また、欧米豪からの観光客は、城崎温泉の閑散期である4月から9月に多く、閑散期対策と観光サービスにかかわる従業員の常勤化への効果が期待できます。
 今年2月には、アメリカに職員を派遣してサンフランシスコの旅行博覧会を視察し、出展者や現地の旅行会社とのミーティングを通じて、現地の市場調査を行いました。現地で豊岡の情報発信を依頼しているニューヨークの事業者等関係団体も訪問し、さらなる海外プロモーションへの協力と連携強化を依頼してきたところです。
 今後も引き続き、ターゲット市場である欧米豪市場での認知度を向上させるため、フランス、アメリカ、オーストラリアのPR代行業者を通じ、雑誌等メディアの取材を積極的に受け入れます。
 また、WEB広告やプロモーション動画の活用により、外国語版ホームページ「Visit Kinosaki(ヴィジットキノサキ)」への誘導を行うとともに、ホームページの魅力的な情報を充実させることにより誘客につなげてまいります。

国内外から優れた人材が集まり、豊岡の魅力を高めている

 次に、具体的手段「国内外から優れた人材が集まり、豊岡の魅力を高めている」についてです。
 専門職大学については、職業教育を行う新たな高等教育機関として、今通常国会に学校教育法の改正が提案される見込みであり、夏頃には専門職大学の設置基準が公表されると予測されます。
 この専門職大学の設置は、若者の進学による転出の抑制と、地域を支える人材の育成による地域産業の活性化を通じたUIターンの増加に大きく寄与するものと期待しています。
 誘致に向けたこれまでの活動として、昨年8月に但馬地域の市町長から県知事へ「但馬地域における専門職大学の設置に関する要望書」を提出しました。10月には但馬自治会から県知事へ、平成29年度の県予算編成に向けた要望活動を行い、今年2月には、但馬地域の市町長で構成する「但馬地域における専門職大学誘致推進委員会」が設置されました。
 県では、専門職大学構想を検討するため、平成29年度予算案に調査費を計上されています。
 この動きに合わせ、大学誘致に資する市の取組みとして、ニーズ調査や先進地事例調査等を行う予定にしています。
 今後も、県をはじめ関係機関と連携を取りながら、誘致の実現に向けた活動を実施してまいります。

主要手段A-04 子どもたちのふるさとへの愛着が育まれている

 四つ目の主要手段「子どもたちのふるさとへの愛着が育まれている」、すなわち「次世代育成」について申しあげます。

子どもたちが豊岡のことをよく知っている
子どもたちが豊岡で外国人とのコミュニケーションを楽しんでいる
子どもたちの想像の翼、行動の翼が世界に羽ばたいている

 その具体的手段「子どもたちが豊岡のことをよく知っている」「子どもたちが豊岡で外国人とのコミュニケーションを楽しんでいる」及び「子どもたちの想像の翼、行動の翼が世界に羽ばたいている」についてです。
 豊岡市小中一貫教育「豊岡こうのとりプラン」を平成29年度から公立の全小中学校で展開し、ふるさと教育、英語教育、コミュニケーション教育の三つの柱で構成する「ローカル&グローバル学習」を進めます。
 ふるさと教育では、「コウノトリ」「ジオパーク」「産業・文化」を共通の学習テーマとし、豊岡の「ひと・もの・こと」に学び、ふるさと豊岡を自分の言葉で語り誇れる力の育成を目指します。平成28年度に作成するガイドブックを活用します。
 英語教育では、幼児期から小学校、中学校まで一貫した教育を進めます。
 就学前の英語遊び保育からスタートし、小学校1年から中学校3年まで、外国語指導助手のネイティブな発音に触れる機会を通して、英語遊び、英語活動、英語科へと系統性と連続性のある学習により、英語でふるさと豊岡のこと、自分のことを語る力の育成を目指します。
 コミュニケーション能力の向上については、全ての小中学校で小学校6年生と中学校1年生を対象に演劇的手法を用いたコミュニケーション教育を展開します。性別や年代を超えて、対等な関係の中で自分を主張し、他者を理解できる基礎的なコミュニケーション能力の育成を目指します。
 これらの取組みを通して、自分のまちに誇りをもちながら、英語というツールを使って、表現力豊かに世界中の人々とコミュニケーションができる子どもの育成を目指します。
 平成29年度から、高校版「ふるさと教育・英語教育・コミュニケーション教育」に取り組む県立豊岡総合高校の生徒を対象に、カナダ ビクトリア市が主催する語学研修参加への支援を行います。
 また、高校生に豊岡で暮らす魅力や市内企業の魅力・仕事などを伝えることにより、ふるさとへの愛着を醸成し、地元就職、Uターン就職の意識を高めるため、Uターンした先輩などによるキャリア教育授業や企業見学などを行います。

戦略目的B 多くの子どもでにぎやかな家庭を持つ若者が増えている

 次は、「戦略目的B」についてです。この目的を達成するため、二つの主要手段を掲げ、取組みを進めます。

主要手段B-01 若い夫婦の数が増えている

 まず、一つ目の主要手段「若い夫婦の数が増えている」について申しあげます。

多種多様な出会いの機会が充実している

 その具体的手段「多種多様な出会いの機会が充実している」についてです。
 職場を通じた出会いを応援する仕組みとして、出会いサポート企業の登録制度を設けます。
 また、社会福祉協議会が実施する婚活応援プロジェクト「はーとピー」事業の補助を継続するほか、民間団体主催のイベントへの補助については、補助枠を平成28年度から倍増し、交流や出会いの機会を増やします。

交際・結婚に向けた独身者へのきめ細かな支援体制が充実している

 次に、具体的手段「交際・結婚に向けた独身者へのきめ細かな支援体制が充実している」についてです。
 着実な成果を上げている結婚相談所では、若い方への支援を強化するため、ホームページでの24時間受付など、相談所機能の充実を図ります。
 また、市民の中からボランティア仲人を養成して市が認定し、お見合いや紹介など活発な活動を後押しします。
 成婚に導いた結婚相談員やボランティア仲人に対しての報奨の仕組みも設けます。

若者が集い、交流する場が増えている

 次に、具体的手段「若者が集い、交流する場が増えている」についてです。
 若者がスマートフォン等のSNSを使って、交流の情報を手軽に得られる仕組みを作ります。交流が盛んになることで、自然な出会いや恋愛のきっかけが数多く生まれるものと期待しています。

主要手段B-02 夫婦一組あたりの子どもの数が増えている

 二つ目の主要手段「夫婦一組あたりの子どもの数が増えている」について申しあげます。

育児への応援がある
仕事の両立への応援がある

 その具体的手段「育児への応援がある」「仕事の両立への応援がある」についてです。
 単発的な保育所への送迎や一時的な預かりなどのニーズに応える仕組みとして、豊岡市ファミリーサポートセンターを開設します。育児等の援助を受けたい「おねがい会員」と、育児支援を担う「まかせて会員」との双方がセンターに登録し、有償ボランティアの形で会員同士が援助することにより、働きながら子育てがしやすい環境をつくります。平成29年秋にはサービスの提供を開始する予定です。

まちを挙げた子育てへの応援がある

 次に、具体的手段「まちを挙げた子育てへの応援がある」についてです。
 「小さな子どもも安心して遊べる広場を」との声に応え、旧市町単位で「子育て広場」を整備します。地域の人が身近に子育てを感じる環境をつくることで、まちを挙げた子育て応援の機運を高めます。

地方創生以外の事業

 次に、地方創生以外の事業について申しあげます。
 まず、豊岡病院の救急医療体制の充実等についてです。
 公立豊岡病院では、現在、ドクターカーの運行時間を午前6時から午後11時までとしていますが、医師の体制が整ったことから、今年5月から24時間運行とし、救命率の一層の向上を図ることとしました。その費用を但馬の市町で負担します。
 また、救命救急センターの医師体制の充実により、分担金算定項目のうち「集中治療室等運営経費」について、繰出基準を満たすことになったことから所要の繰出を行い、安定的な体制確保、病院経営の安定化を図ることとしています。
 さらに、周産期医療機能の維持確保のため、在職医師の研修機会の充実などの支援を今後5年間、継続してまいります。
 次に、地域福祉計画及び障害者計画の策定について申しあげます。
 地域福祉計画は、平成29年度から平成33年度までの5年間を計画期間とし、行政計画である地域福祉計画と、地域福祉推進の実施計画である社会福祉協議会の地域福祉推進計画を、年度内に一体的に策定することを目指し、最終調整を行っています。
 基本理念を「一人ひとりがつながり ともに創る安心な地域 豊岡」とし、住民が互いに支え合い、身近な課題を解決するための取組みや、住民では解決できない課題に対して、市や社会福祉協議会専門職が問題解決を進めます。また、日常生活圏域で問題を受け止めるネットワークを起点とし、より広域のエリアで解決するエリア階層別の課題解決体制の構築を、住民と専門職との連携・協働のもとで取り組んでまいります。
 障害者計画は、平成29年度から平成32年度までの4年間を計画期間とし、国と県の計画を基本とし、本市における障害者の状況等を踏まえ、障害者のための施策に関する基本方針を定める計画として、年度内に策定することを目指し、最終調整を行っています。
 基本理念を「障害のある人もない人も 共に支え合い 自分らしく笑顔で暮らせるまちづくり」とし、障害を理由とする差別の解消の推進、障害のある人の生活を地域全体で支える地域生活支援拠点等の整備、スムーズな住まいの確保などの施策に取り組んでまいります。
 次に、豊岡市健康行動計画「とよおか健康ぷらん」等の策定について申しあげます。
 現在の健康行動計画は、健康増進法に基づく市町村健康増進計画、食育基本法に基づく食育推進計画等として位置付け、平成20年3月に計画期間を10年間として策定したものです。
 平成29年度は、計画の見直しを行うとともに、自殺対策基本法に基づく自殺対策計画としての位置付けも加えて策定します。
 また、平成30年度から平成32年度までの3年間を計画期間とする、第5期障害福祉計画及び老人福祉計画・第7期介護保険事業計画を策定します。
 次に、平成30年度からの敬老会補助金廃止について申しあげます。
 市では、現在、区等が開催する敬老会行事に要する経費に対して補助を行っています。しかし、少子、過疎、高齢化が進展し、より効果的な対応が求められる中で、限られた財源を有効活用する観点から、この補助金は平成29年度限りで廃止することとし、財源の具体的な活用策については、平成29年度中に検討し、平成30年度から実施したいと考えています。

 次に、第2清掃センター安定化の新たな取組みについて申しあげます。
 同センターは、平成12年10月に埋め立てを終了してから16年が経過しましたが、浸出水の水質検査のうち、水素イオン濃度が基準値よりアルカリ側に超過しており、法令に基づく廃止手続きができない状況となっています。
 このため、以前からさまざまな取組みを行ってきましたが、水素イオン濃度の低下を示す結果は得られていない状況です。
 そこで、新たな取組みとして処分場内の谷3カ所にコンクリート遮断壁を設置し、処分場への雨水、地下水の流入量を減らし、浸出水の改善を目指す対策を実施したいと考えています。
 次に、豊岡市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の温室効果ガス排出量算定誤りによる目標値の訂正について申しあげます。
 市では豊岡市域内の温室効果ガス削減のため、平成28年4月、同計画を策定しました。計画の進捗状況を確認するため、昨年12月、委託業者が作成した算定ツールを用いて担当職員が現況の排出量を算出したところ、その算定ツールに不具合があり、温室効果ガス削減目標値を定める基準となる2013年度の排出量が、公表した数値に比べて4万7,400トン多いことが分かりました。このため、2030年の削減目標値を29.7パーセントから28.1パーセントに下方修正することとしました。
 今回の事態について、議会および市民の皆様、関係各位に深くお詫びを申しあげます。
 次に、豊岡総合庁舎駐車場地下貯留施設整備について申しあげます。
 豊岡市街地は低平地であり、しばしば内水による浸水被害が発生しており、市民生活や水防業務に支障をきたしているところです。
 そこで、県の総合治水条例に基づき計画された「但馬地域(円山川等)総合治水推進計画」におけるモデル地区の取組みとして、県と市が共同で、周辺の雨水が流下する雨水幹線の雨水を一時貯留するための地下貯留施設を総合庁舎駐車場に設置し、浸水被害軽減を図ります。
 現在、県が並行して整備している県立豊岡総合高校の校庭貯留施設と併せることにより、5年に1回の確率降水量(時間雨量38ミリメートル)に対する浸水被害は解消できるものと期待しています。
 次に、有害鳥獣対策について申しあげます。
 平成26年度から3年間「シカ有害被害撲滅大作戦」として、シカの捕獲を集中的に進めてきました。その結果、3年間で有害捕獲が約1万3,200頭、狩猟による捕獲が約7,400頭となる見込みです。
 捕獲体制の強化により、本市のシカの目撃効率は年々減少しているものの、農業被害が抑制されたとは言い切れない状況にあります。
 そこで、平成29年度から3年間「第2期シカ有害被害撲滅大作戦」を実施します。捕獲効率の下がっている銃猟によるシカ捕獲専任班を2班19人から1班13人に減らし、捕獲効率の高いわな猟によるシカ捕獲専任班を3班10人から5班15人程度へ増員するなど捕獲体制を見直します。これにより年間のシカ捕獲目標頭数6,500頭を継続し、有害捕獲による年間捕獲頭数5,000頭の達成を目指します。また、平成31年度の本市のシカ農業被害面積が、対策前となる平成25年度の約35ヘクタール以下となるよう、農業被害の減少を図ります。
 次に、(仮称)但馬食肉センターの改修と、同施設を運営する(仮称)株式会社但馬牛(たじまぎゅう)振興公社への増資について申しあげます。
 施設の老朽化とともに、衛生面での適正な維持管理が困難な状況にある朝来市食肉センターは、但馬牛(うし)の振興を図る上で必要不可欠であるとして、県食品衛生管理プログラム認定制度「兵庫県版HACCP(ハサップ)」に対応した施設改修を行うことを、但馬関係市町で合意しました。
 平成29年度に実施設計、平成30年度に工事着手し、年度内の完成を目指します。但馬全体で畜産振興を図る施設とするため、名称も現在の朝来市食肉センターから但馬食肉センターへ改称する予定としています。
 整備事業費は2億6,350万円で、豊岡市の負担は3,768万1千円、出資金増額総額は4千万円で、豊岡市は500万円を同施設を運営する(仮称)株式会社但馬牛振興公社へ負担し、施設の経営基盤の強化を図ることとしています。
 なお、施設改修後の経営支援は全て朝来市が行うことで合意しています。
 次に、内発型産業育成について申しあげます。
 人口減少社会において、地域産業の活力を今後も維持するためには、外部からの企業誘致のみならず、地元企業の活性化や新規分野の開拓、域内における起業等により域内産業が育つ内発的な活性化策が必要不可欠です。
 そのための環境整備について、平成29年度に産業界と協働して検討したいと考えています。
 次に、老朽危険空家対策について申しあげます。
 空家が年々増加しています。
 空家の中には、適切な管理が行われていないため、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものがあります。安全で安心なまちづくりを推進する上にも、老朽危険空家に対して倒壊や飛散の防止など、必要な措置を講ずる必要があります。
 そこで、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき空家等対策計画の策定を行い、空家等対策協議会の設置、老朽危険空家の除却費用の一部を補助する制度の構築など、必要な措置を講じていきたいと考えています。
 なお、今議会に「豊岡市空家等対策協議会条例(案)」を提出しています。
 次に、高規格道路の整備について申しあげます。
 北近畿豊岡自動車道八鹿氷ノ山インターチェンジから日高神鍋高原インターチェンジまでの「八鹿日高道路」が、3月25日に開通することになりました。
 この開通が「命の道、交流の道、危機管理の道」の実現に向けた大きな一歩となることを期待するとともに、引き続き「日高豊岡南道路」「豊岡道路」の早期整備促進に向けて取り組んでまいります。
 山陰近畿自動車道については、昨年12月20日に学識者や住民代表、民間団体、行政による「山陰近畿自動車道(佐津~府県境)懇談会」が設立され、佐津から京都府県境までの約20キロメートルについて、ルート帯(案)の具体的な検討が始まりました。
 今後も関係者一丸となって事業化の促進に努めてまいります。
 次に、地域主体公共交通「チクタク」について申しあげます。
 地元運営協議会に運行を委託している「チクタク」は、これまで決められた路線を走行し、決められたバス停での乗車となっていましたが、国との調整により、平成29年度からは指定した地域内に限り、自由に運行できることとなりました。現在、4月からの実施に向けて手続きを進めているところです。これにより、利用者の利便性が向上するとともに、効率的な運行が可能となります。
 次に、城崎地域歴史的建築物の保存活用について申しあげます。
 城崎温泉景観形成重点地区には木造3階建て旅館を含む数多くの木造建築物が存在し、城崎温泉の町並み景観を構成し、歴史・文化を伝えています。
 しかし、これら建築物は、増築や用途変更を行う際には現行の建築基準法の基準に適合することが求められるため、現在の形態等を保存していくことが困難となる場合があります。
 そこで市では、建築基準法の適用除外を定めた同法第3条第1項第3号の規定を活用し、「豊岡市城崎温泉地区における歴史的建築物の保存及び活用に関する条例(案)」を今議会に提出しています。
 また、条例の制定に併せて、この重要な資産である建築物の保存活用を支援し、同地区の町並み景観の保全と安全安心なまちづくりを推進するため、助成制度も新設することとしています。
 次に、子育て世代の包括的支援体制の整備について申しあげます。
 核家族化が進む中で、出産・子育てに関する不安や、リスクを抱える子育て世代が増加しており、妊娠・出産から子育て期にわたる切れ目のない支援をワンストップで行える体制整備が必要不可欠となっています。
 そこで、健康増進課に「子育て世代包括支援センター」を設置して相談体制を強化するとともに、「産前・産後サポート事業」「産後ケア事業」など支援施策の拡充を図り、安心して妊娠・出産・育児ができる環境を整えます。
 次に、中学校への空調設備整備について申しあげます。
 教育環境の質的向上を図るため、夏季の暑さ対策として、すでに空調設備のある但東中学校以外の中学校の普通教室及び特別教室等の空調設備整備を進めます。
 平成29年度から設置工事を行い、平成30年夏からの一斉稼動を目指します。
 なお、一部設置工事については、債務負担による2カ年度にわたる施工を計画しています。
 次に、図書館未来プランの策定及び施設整備について申しあげます。
 図書館は、地域のコミュニティ拠点施設としての役割や、時代の流れに沿う新たな機能を備えた施設としてのあり方、さらに民間委託の可能性などについて検討を行ってまいりました。
 検討に当たっては、外部学識経験者や市民代表者等で組織する図書館未来プラン検討会議を設置し、今年1月27日に、同会議から「豊岡市図書館未来プラン(案)」として提出されました。
 市では、提出された内容を精査し、取組期間を平成29年度から平成33年度までの5年間とする「豊岡市図書館未来プラン」として策定しました。
 未来プランでは、時代の変化に対応した将来の目指すべき姿を「図書館を学びとつながりの場として活用し、豊岡の暮らしを楽しむ人が増えている」と定め、(1)図書館は市の直営を維持すること(2)民間等とのパートナーシップにより、図書館としての本来の機能を充実すること-としています。
 この目指すべき姿を達成するため、談話スペースなど施設機能の整備、施設長寿命化のため空調機器等の更新を行います。また、新しい市民活動組織の設立を目指すなど事業推進体制の見直しにも取り組んでまいります。
 次に、高齢者の学びの拠点等整備について申しあげます。
 現在の但馬高齢者生きがい創造学院は、市街地から離れていることや施設の老朽化などにより、年々会員数が減少しています。
 一方、中心市街地の大開通りは、現在も空き店舗が増加し、将来的な人口減少によるさらなる空洞化が懸念されています。
 この二つの課題に対応するため、学院を中心市街地に誘導し、併せて民間活力の活用を検討します。
 現在、学院の施設要件と民間事業者に求める整備要件の整理、民間事業者へ意向調査の実施、事業スキームの検討に取り組んでいます。
 この調査結果を受けて、平成29年度は民間事業者を公募し、事業に着手したいと考えています。
 なお、6月定例議会で民間事業者公募に必要な予算措置として、債務負担行為を設定したいと考えています。
 次に、植村直己冒険館機能強化基本構想について申しあげます。
 開館から20年の歩みを踏まえ、施設の機能強化とさらなる活用のために、学識経験者で組織する植村直己冒険館機能強化基本構想策定委員会を設置し、議論を行いました。昨年12月には、今後の方向性の提言となる「植村直己冒険館機能強化基本構想(案)」が委員会から提出されました。
 市では、提出された内容を精査し、取組期間を平成29年度から平成33年度までの5年間とした「植村直己冒険館機能強化基本構想」として策定しました。
 構想の主な視点は、(1)全国に発信できる特長のある施設にするためのソフトや実施プログラムを充実する(2)持続可能で市民に愛される施設にする-などとしています。
 その実現に向け、戦略的かつ実現可能で、施設の機能強化に対し意欲のあるパートナーを選定し、運営方針やプログラム企画などについて協働で作り上げる手法を取りたいと考えています。
 平成29年度はそのパートナーを探すための調査業務を行い、調査の結果に基づきパートナーの募集準備を行うこととしています。
 次に、円山川運動公園の移転整備について申しあげます。
 今年1月から工事に着手し、平成30年8月の完成を目指しているところです。
 国の公共補償に係る契約に際し、市有財産である現円山川運動公園の土地の一部を処分する必要があり、今議会に市有財産の処分に係る議案を提出しています。契約は、議案議決後、平成29年度中に締結する予定です。
 なお、契約締結後も、新運動公園が完成するまでは、これまでどおり市の施設として市が管理することになります。
 次に、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致等の推進について申しあげます。
 2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に際し、合宿の誘致とホストタウンの取組みを進めています。
 ボート競技については、フランスをターゲットに、事前合宿の誘致活動を行っており、今年の2月に開催された国際ボート連盟臨時総会の会場内で動画、パンフレット等を活用し誘致活動を行いました。特にフランスボート連盟には、直接会長と副会長にアピールをしたところです。
 また、ソフトボール競技については、窓口である日本ソフトボール協会に対して合宿の候補地として立候補しています。
 ホストタウンについては、長年続けているモンゴルとの交流に、スポーツ分野による交流が加わることで、より幅広い関係構築が期待できるものと考え、ボクシングチームの合宿を誘致するため、現在、その受入れに向けて条件調整等を進めています。
 次に、基本構想について申しあげます。
 現在、豊岡市基本構想審議会において、基本構想における目指すまちの将来像など、具体的な内容を審議いただいており、5月に基本構想(案)を答申いただくこととしています。
 その答申を基に、5月から6月上旬にかけて、議員説明会や市民説明会、高校生や女性との意見交換会を開催するとともに、パブリックコメントを実施し、広く意見をいただく予定にしています。
 これらの意見を踏まえ、最終的に基本構想(案)としてまとめ、6月定例議会会期中の議案提案を目標に、策定作業を進めたいと考えています。
 次に、但馬定住自立圏共生ビジョンの策定について申しあげます。
 定住自立圏構想については、平成24年度から但馬区域の形成協定と豊岡市区域の形成方針に基づき、中心市である豊岡市が5年間の具体的な取組みを定めた定住自立圏共生ビジョンを策定し、住民が安心して暮らせる圏域の形成を進めています。
 現ビジョンの終期は平成28年度末となっていますが、深刻な人口減少に対して、今後も地方創生と並行して取組みを継続する必要があり、引き続き5年間のビジョンを策定することとしました。
 次期ビジョンには国の要綱改正に伴い、将来の人口目標や各事業の推進に当たっての成果指標となる重要業績評価指標(KPI)を設定し、進捗管理を行うこととしています。今年2月には定住自立圏共生ビジョン懇談会を開催し、圏域の民間団体等の代表者とともにビジョンの内容及び成果指標等について検討や意見交換を行いました。
 今後は、懇談会での意見を参考に、但馬2市2町等と調整し、3月中に策定したいと考えています。
 次に、平成29年度の組織について申しあげます。
 人口や地域経済の動向等、中長期的な分析に基づいた戦略的な対応が必要な分野において、課題の分析と提言を行う機能を政策調整部に付加し、地方創生課が事務を行います。人口問題、経済などの専門家のアドバイスを得ながら、タカの目、フクロウの耳ではありませんが、私たちを待ち受けている危機や課題、希望をいち早く察知し、対応する能力を組織的に身に付けようという試みです。
 また、災害対応において、平時から有事に備え、より初期対応が迅速に行える組織体制とするため、「防災課」を総務部から同じフロアにある政策調整部に移管します。
 地域コミュニティ振興部においては、中央及び地区公民館を廃止し、コミュニティ政策課及び各振興局地域振興課に「コミュニティセンター」を設置します。
 健康福祉部においては、高年介護課の「豊岡市訪問看護ステーション」を廃止します。また、妊娠から出産・子育て期の母子に対する総合的な支援体制を整備するため、健康増進課の「母子保健係」を拡充し、新たに「おやこ支援室」とします。
 環境経済部では、移住定住対策と企業の雇用対策を一体的に推進するため、大交流課の「定住促進係」を環境経済課へ移管します。

平成28年度補正予算

 最後に、平成28年度補正予算について申しあげます。
 まず、一般会計補正予算第9号です。1月の大雪による市道及び市が管理する施設の除排雪経費など2億5,930万円を追加するため、2月1日付けで専決処分したものです。
 次に、一般会計補正予算第10号です。14億3,703万円の減額となっています。
 減額の主なものは入札残、事業費の確定に伴うもののほか、3月末までの支出予定の精査による不用額等の減額です。また、2月の大雪を含め、2月以降の市道等の除排雪経費については、本予算に追加計上しています。
 繰越明許費では、加陽湿地拠点整備事業を含め年度内にその支払いが終わらないもの27件、8億5,786万3千円を追加、1件を廃止、1件を変更し、債務負担行為の補正では、1件の廃止と2件の限度額の変更をしています。
 なお、大雪の影響は極力予算に反映していますが、新たな事態が明らかになった場合には、予算措置を含め的確に対応させていただきたいと考えています。
 また、平成28年度の今後の財政収支見通しについては、地方債や特別交付税・地方譲与税など、現時点では確 定していないものが多くあり、これらが確定した段階でさらに補正の必要が生じることとなります。
 したがって、その際には、財政事情を勘案する中で、所要の専決補正をしたいと考えていますので、併せてご了承賜りますようお願い申しあげます。
 以上をもちまして、私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長等から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。
 ありがとうございました。

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