平成30年第3回豊岡市議会(定例会)市長総括説明

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ページ番号1006151  更新日 平成30年9月3日

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 おはようございます。
 平成30年第3回豊岡市議会定例会の開会に当たり、議員各位のご健勝をお喜び申しあげますとともに、日頃のご精励に対し深く敬意を表します。

 まず、バードフェア2018への参加についてご報告します。
 8月17日から19日にかけて開催されたこのフェアは、1989年から毎年実施されている世界最大の野鳥観察・展示会です。バードウォッチングツアーを売り込もうとする世界の国々や自治体、旅行業者および鳥に関する本の出版社などが出展しています。
 フェアでは、コウノトリ野生復帰の取組みを展示ブースで紹介したほか、私も講演を計4回行いました。フェア出展のきっかけとなったラン・レヴィ・ヤマモリさん制作のドキュメンタリー映画「KOUNOTORI(コウノトリ)」も上映しました。
 豊岡の取組みに感動して、翌日に家族を連れて講演に来られた方や、コウノトリ野生復帰支援の募金箱にお金を入れに来た方もありました。講演後に地元メディアから1時間にわたる取材も受けました。
 フェアには全体で3万人弱の参加者があり、豊岡の取組みが世界中の多くの方々の記憶に刻まれたところです。
 今後は、来場者を対象に行ったアンケート結果を分析し、バードフェアを通じてアプローチのあった旅行業者や豊岡観光イノベーションと協力しながら、コウノトリツーリズムによる海外からの誘客の可能性を検討してまいります。
 映画「KOUNOTORI(コウノトリ)」のニューヨーク・マンハッタンでの上映と豊岡の取組みに関するランさんの講演会の開催が決定したとの知らせがフェア会場に届きました。豊岡にとっても大変うれしいニュースであり、今後、ランさんの協力も得ながら、世界への発信に努めてまいります。

 次に、コウノトリ文化館の入館者500万人到達について申しあげます。
 平成12年6月3日に開館したコウノトリ文化館は、去る8月25日、500万人目の入館者をお迎えしました。
 コウノトリ文化館では、多くの来訪者にコウノトリ野生復帰の取組みを伝え続けてきました。コウノトリ野生復帰は、単にコウノトリだけの物語ではなく、それを一度は絶滅に追いやり、人工飼育の長く絶望的なときを経て、再び野に帰した人間の努力の物語でもあります。その努力を黙々と伝え続けてきた地道な活動もまた、野生復帰を支える大きな力になったものと、感慨深く思っています。
 今後とも、指定管理者であるコウノトリ市民研究所や県立コウノトリの郷公園その他の関係者と協力しながら、人と自然の共生を考えるエコミュージアムとしての役割を果たしていきたいと考えています。

 次に、但東歯科診療所の開設について申しあげます。
 去る8月15日、整備工事が無事完了し、明日9月1日に竣工式を行い、9月6日に診療を開始する運びとなりました。
 開院後は、市民の皆さま、特に但東地域の皆さまの歯の健康維持に寄与し、利用者に親しまれる診療所となるよう努めたいと考えています。
 なお、診療をお願いする歯科医師の体調不良により、しばらくの間、土曜日を休診し、木曜日のみの診療とさせていただきます。利用者の皆さまにご迷惑をおかけすることとなりますが、ご理解をいただきたいと存じます。

 さて、今議会に私から提出いたします案件は、報告事項5件、事件決議5件、条例3件、予算9件、決算12件の合計34件です。
 なお、会期中に事件決議2件、予算1件を追加提出する予定としておりますので、あらかじめご了承賜りたいと存じます。

 それでは、当面する市政の諸課題および提出議案の主なものについて、基本構想の「市民の暮らしを支える施策の体系」に沿ってご説明申しあげます。

安全に安心して暮らせるまち

 第1に「安全に安心して暮らせるまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、平成30年7月豪雨の被害状況等について申しあげます。
 本市においては幸い人的被害はありませんでしたが、住家の床上浸水17件、床下浸水133件、非住家の浸水268件の計418件の被害が生じました。
 また、農地等にも被害が発生し、農地および農業用施設97箇所、林道16箇所、治山5箇所、漁港1箇所の計119箇所での復旧事業を予定しています。
 道路や河川などの公共土木施設についても349箇所の被災があり、復旧事業を進めていきます。

 これらの事業につきましては、緊急を要する案件を専決処分による補正予算で実施し、その他のものについては必要な補正予算を今議会の会期中に追加提出いたします。
 この7月豪雨では、円山川の立野地点での水位が、排水ポンプ停止の基準である7.16mまであと20センチに迫りました。平成16年の台風23号の後、円山川の河道掘削が行われ、立野地点で60センチの水位低下の効果があるとされていますので、もしこの治水対策がなければ、排水ポンプを停止せざるを得ない状況となっていたかもしれません。改めて、国等の治水対策に感謝するとともに、私たちはいつでも災害の危機に瀕しているのだということを肝に銘じたいと思います。
 なお、他の被災地での犠牲者の多くが住宅の1階部分で発見されています。この方々は、2階などに移動する垂直避難すらしなかった、あるいはできなかった可能性があります。命を守るためには、逃げない人をいかに逃がすかということが非常に重要な課題です。
 市が発する避難勧告などを、確実に市民の命を守る行動につなげるためには、繰り返し訓練を積み重ねる必要があります。8月26日に実施した市民総参加訓練では、多くの方々に参加いただきましたが、この訓練がそれぞれの置かれた状況に応じた適切な避難行動につながるよう、引き続き啓発してまいります。
 また、避難行動要援護者の各個人について、地区内の「誰が」「誰を」「どこに」避難させるのかという個別支援計画の策定をさらに促進したいと考えています。

 次に、危険ブロック塀への対策について申しあげます。
 去る6月18日に発生した大阪府北部の地震で社会的に問題となったブロック塀等について調査を行ったところ、本市の公共施設においても危険箇所が発見されました。
 豊岡小学校をはじめとする特に危険で緊急の対応を要した10施設のブロック塀については、撤去やフェンスの設置等に要する補正予算を7月4日付で専決処分させていただきました。
 また、府中小学校をはじめとするその他の施設については、ブロック塀の撤去やフェンスの設置等に必要な補正予算を今議会に提出しています。

 次に、デジタル防災行政無線の整備について申しあげます。
 本市が使用しているアナログ電波の使用期限が平成34年11月であるため、それまでにデジタル防災行政無線を整備する必要があります。
 昨年、9事業者から推薦するシステムとその概略整備費の提案を受けました。その結果、本市の六つの災害対策本部がそれぞれ独立して運用でき、最も整備費用が低くなる「QPSKナロー方式」を次期システムとして選定しました。
 このシステムを前提に本年1月から公募型プロポーザルを実施し、最優秀提案者を選定して先般、仮契約を締結しました。今議会に契約額11億9,448万円の整備工事の本契約締結に係る議案を提出しています。

 次に、介護保険事業者の公募結果について申しあげます。
 去る6月1日から7月18日までの間において、各種介護保険事業所の整備運営事業者の公募を行いました。
 その結果、小規模多機能型居宅介護事業所については、神戸市の社会福祉法人ぶどうの枝福祉会から但東圏域で整備したい旨の応募がありました。
 特定施設入居者生活介護事業所については、豊岡市の株式会社ポポロからサービス付き高齢者住宅を出石圏域で、上田正一(まさかず)氏から軽費老人ホームを豊岡圏域で整備したい旨の応募がありました。
 書類およびヒアリングにより審査した結果、各事業者とも適切と認め、指定候補事業者として選定いたしました。
 今後は、応募内容に沿った整備を進めていただき、人員、設備および運営基準を満たした上で、県または市の正式な指定を受けていただくこととなります。

 次に、公共施設への障害者に優しい備品整備について申しあげます。
 本年4月に行った調査の結果、各庁舎等の窓口に設置してある障害者に優しい備品の品目がまちまちであり、統一されていないことが分かりました。
 平成28年に施行された障害者差別解消法では、負担にならない範囲での障害者への合理的配慮が義務付けられています。このため、障害のある方が来庁された際に円滑な応対ができるよう、各庁舎や公の施設の窓口に筆談ボード86台、車いす8台、手話通訳者用電話ヘッドセット1台を整備することとし、必要な補正予算を今議会に提出しています。

 次に、霊苑整備基金の創設について申しあげます。
 霊苑事業特別会計においては、翌年度繰越額が増加を続けており、平成29年度決算では2,685万8千円となっています。これは、東霊苑整備事業に係る起債の償還において、平成27年度に一般会計からの繰入金で一括償還したことが大きな要因となっています。
 この繰越金を、将来必要となる市立霊苑の大規模改修の費用などにあてるため、豊岡市立霊苑整備基金を設置したいと考えています。
 基金設置のための条例案と併せて、積立金に係る補正予算を今議会に提出しています。

持続可能な「力」を高めるまち

 第2に「持続可能な『力』を高めるまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、外国人観光客の動向についてです。
 本年4月から6月の第2四半期に豊岡市内に宿泊した外国人の延べ人数は、1万5,612人で、前年同期比18.9パーセントの増となり、順調に増加しています。
 地域別では、城崎地域が1万2,897人と最も多く、次いで日高地域が1,504人、豊岡地域が869人となっています。特に日高地域は、台湾からの団体の誘客が成功し、前年同期比10.82倍となりました。
 国別では、日高地域への誘客により台湾が3,061人と最も多く、次いで中国2,218人、タイ1,586人となっています。前年同期比では、台湾が2.38倍、フランスが1.74倍、シンガポールが1.17倍と高い伸びとなっています。この第2四半期では、中国が前年同期比1.02倍、韓国が0.7倍など、台湾を除く東アジアが伸び悩む一方、東南アジアが前年同期比1.2倍と順調に増加しています。
 今後も引き続き、欧米豪の個人旅行者をメインターゲットに、城崎の閑散期の需要を喚起する取組みを進めていきます。併せて、城崎以外の地域へ誘客する取組みについても継続したいと考えています。
 なお、外国人観光客の誘客を図るための新たな取組みとして、日本最大級の体験プログラム予約サイトを運営し、体験型旅行に強みを持つ株式会社Voyagin(ボヤジン)と連携し、体験商品の造成や販売促進、および利用者のデータ分析を行いたいと考えています。これにより、欧米豪市場からの外国人観光客の誘客強化と本市における滞在時間の延長を図ります。この事業は、豊岡観光イノベーションへの委託により行うものであり、必要な補正予算を今議会に提出しています。

 次に、楽天株式会社との包括連携協定について申しあげます。
 楽天株式会社と本市は、人材の交流やふるさと納税サイトの開設など、これまで多くの連携を行ってきましたが、今後、観光客の誘客促進やIT技術を活用した地域経済の活性化をさらに進めるため、9月5日に楽天株式会社との包括連携協定を締結します。
 主に、国内観光客への宿泊旅行を中心とした販売促進、市内事業者のキャッシュレス決済の促進、国内外に向けた産品の販路拡大などについて、相互に連携し、取組みを進めていきたいと考えています。

 次に、農業共済事業制度の変更について申しあげます。
 本年4月、農業災害補償法は農業保険法と名称変更され、農業者の利便性を高めるために制度の抜本的な見直しが行われています。
 具体的には、青色申告を行っている農業者を対象に、自然災害だけでなく、価格低下などを要因とした収入減少についても品目を限定せずに補てんする「農業収入保険制度」が新たに創設されました。
 また、既存の農業共済制度についても改正がなされています。主なものとして、これまで水稲・麦の農作物共済については一定以上の耕作面積があれば強制加入となっていましたが、任意加入となります。家畜共済については、死廃(しはい)共済と病傷(びょうしょう)共済に分離され、選択加入が可能となります。
 これらにより、農業者はそれぞれの経営形態に応じて、農業収入保険制度や農業共済制度を自ら選択し、加入できるようになります。
 平成31年産の農作物からこれらの制度変更を適用するため、今議会に農業共済条例の全部改正に係る議案を提出しています。

 次に、ふるさと納税の推進について申しあげます。
 ふるさと納税による寄付金獲得を巡る自治体間の競争が全国的に激化している中で、本市への寄付金額は、平成27年度の3億4,212万円をピークに年々減少し、昨年度は1億9,365万円となっています。
 このため、現行の「JTBふるさとチョイス」と「楽天ふるさと納税」の二つの寄付窓口に「KDDIふるさと納税」を加え、11月から窓口を三つに拡大して募集を行いたいと考えており、必要な補正予算を今議会に提出しています。
 また、市内事業者にも協力を依頼し、返礼品をさらに充実させることとしています。これらの取組みにより、今後の寄付金額の増加を図りたいと考えています。

 次に、県の「兵庫高度IT起業家等集積支援事業」に関連して申しあげます。
 本市では若い女性の人口増加を目指しており、そのためには若い女性が働きたいと思う職場を増やす必要があります。女性には事務系の仕事を希望する方が多く、本市では事務系の仕事ができるIT企業の誘致を推進しています。
 一方、県では、IT関連の高度技術を有する起業家等の誘致を促進する「兵庫高度IT起業家等集積支援事業」を今年度から実施しており、事業所開設に補助金が交付されます。
 県が、補助金の希望者を6月から公募したところ、本市での事業所開設を目指す事業者から応募がありました。この事業者の計画は、本市の若者を中心に、IT人材や起業家を育成する事業を行うというもので、これにより本市のIT人材が増加すれば、IT企業の誘致にも役立つと考えられます。
 県のこの補助制度では市の随伴補助が必要なため、県が当該申請を採択する場合に、併せて市も補助できるよう、必要な補正予算を今議会に提出しています。

 次に、老朽危険空家対策について申しあげます。
 これまでの各区からの報告等に基づき、本年7月に現地の再確認を行ったところ、現在、160件の老朽化した空家等を把握しています。
 このうちの6件については、本年3月に法に基づく特定空家等として認定しています。さらにそのうち3件については助言・指導を行って今年度中の除却を促しており、1件については略式代執行により市で除却することを予定しています。
 略式代執行を予定している1件は、家系が途絶え所有者の存在しない物件で、そのまま放置すれば倒壊等により、周辺に大きな危険を及ぼす物件です。現在、略式代執行の前提となる公告手続き中であり、公告期間終了後の10月以降に略式代執行を実施する予定です。

未来を拓く人を育むまち

 第3に「未来を拓く人を育むまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず「豊岡市における幼児教育・保育及び放課後児童のあり方計画」策定についてです。
 平成31年10月から実施予定の幼児教育無償化により、保育所等の待機児童の増加が懸念されます。
 また、幼児教育無償化を契機に母親の就労意欲の向上も予想されることから、放課後児童クラブに対するニーズも高まる可能性があります。
 このため、今後の子どもの人数推移にも留意しながら、教育・保育のさらなる質の向上と、保育所や放課後児童クラブ等の量の確保を図るため、「豊岡市における幼児教育・保育及び放課後児童のあり方計画」を策定します。
 策定完了時期は来年度末を予定しているため、債務負担行為を含む補正予算を今議会に提出しています。

 次に、小学校等への空調設備の整備等について申しあげます。
 まず二つの緊急対策を講じます。
 一つは、子どもたちが一時的に暑さから避難するためのクールスポットとして、空調付きの部屋を各小学校・幼稚園で2室以上を目安に設置します。小学校では15校の図書室・会議室等で、幼稚園では1園で空調設備の整備工事を実施しており、本日完了する予定です。
 また、熱中症の危険をあらかじめ察知するための熱中症指数モニターを全小中学校・園に予備費により配備したところです。
 さらに、暑さへの今後の本格的な対策として、平成32年の夏までに全ての小学校の普通教室、特別支援教室に空調設備を整備したいと考えています。効率的な整備を図るため、各学校をグループ化して段階的に整備する予定としています。
 早急な対応が必要だったクールスポットの整備および全小学校への空調設備整備に係る実施設計については、必要な補正予算を8月7日付で専決処分させていただきました。
 今後の全小学校への空調設備整備に必要な工事請負費等については、債務負担行為を含む補正予算を今議会に提出しています。
 次に、専門職大学誘致にかかる進捗状況について申しあげます。
 先般、但馬地域専門職大学設立準備委員会での議論を経て、県において基本構想案がまとめられ、発表されました。また、平田オリザ氏が学長候補であることも公表されました。
 議員の皆様には、過日の全員協議会において、学部や学科、定員、建設予定地等基本的事項について報告し、その後、構想案をお届けしたところです。
 今後、本市としては、県立専門職大学の誘致を加速させるため、全員協議会でご説明したとおり、大学運営者に対し、いくつかの支援を行いたいと考えています。
 具体的には、適地とされた「旧さとう豊岡店跡地」を購入し、大学校舎用地として無償貸与を行いたいと考えており、必要な補正予算を今議会に提出しています。
 併せて、大学校舎予定地に隣接している市有地の「旧職業訓練校跡地」についても、一体的な活用が図られるよう、無償貸与を行いたいと考えています。
 また、専門職大学が持つシンクタンク機能による地域への貢献等を支援するため、大学運営者の決定後、8億円の寄附を行いたいと考えています。
 専門職大学は、本市における地方創生にとって切り札となることから、設立後は、市としてもその機能を地域活性化のために大いに活用したいと考えています。

人生を楽しみお互いを支え合うまち

 第4に「人生を楽しみお互いを支え合うまち」に関連する内容について申しあげます。

 まず、アーティスト・クリエーター移住等促進戦略の策定についてです。
 近年、平田オリザさん、幅允孝(よしたか)さん、片岡愛之助さんらとのつながりによって、より質の高い文化芸術活動が市内で展開されるようになりました。このことによって豊岡に暮らすことの価値が高まり、地域の活力が増すのを私たちは目の当たりにするようになりました。また、城崎国際アートセンターの成功や平田オリザさんの存在は、県立専門職大学の誘致を大きく後押ししました。
 今後も、文化と観光をテーマとした県立専門職大学の設置や平田オリザさんが主宰する劇団「青年団」の本市への移転などにより、文化芸術がまちに深く根ざしていくものと考えられます。
 他方、市の基本構想は、目標とする「小さな世界都市―Local & Global City」の条件として「多様性を受け入れ、支え合うリベラルな気風がまちに満ちている」ことを挙げています。ここでは、文化芸術活動に取り組む人々を大らかに受け入れていくことも想定しています。
 基本構想はまた「小さな世界都市」の条件として「優れた文化芸術が創造され、人々が楽しんでいる」ことも挙げています。その実現のためには、文化芸術活動に取り組む人々を積極的に受け入れていくことが不可欠です。
 そこで、この機をとらえ、アーティストやクリエーターの移住等とまちづくりへの関与を加速させるための戦略を策定したいと考えています。
 戦略においては、必要と考えられる事業を体系化し、それらを着実に進めることによって「多様性を受け入れ、支え合うリベラルなまちづくり」「優れた文化芸術を創造し、楽しむまちづくり」などの実現を図ります。
 現時点では案の段階ですが、9月末頃をめどに正式に策定したいと考えています。

 次に、植村直己冒険館機能強化改修運営事業について申しあげます。
 本事業については、植村直己冒険館の効果的な機能強化を図るため、施設の設計および建設、運営ならびに維持管理について民間に包括的に発注し、民間の資金とノウハウを活用するPFI事業として進めています。
 現在、要求水準や募集要項について検討を行っているところであり、パートナーとなる民間事業者を11月に公募したいと考えています。
 事業者の選定に当たっては、庁内で組織する選定委員会を設置し、経営、都市計画、PFI事業の専門的な知識を有する外部アドバイザーの意見も伺いながら、優先交渉権者を来年6月頃に決定したいと考えています。
 なお、事業期間である平成48年度までに必要な事業費について、債務負担行為に係る補正予算を今議会に提出しています。

 次に、東京オリンピックの各国ボート代表チームの誘致について申しあげます。
 フランスチームについては、来たる10月9日から14日までの間、スタッフ2名が強化合宿の候補地として円山川城崎漕艇場、宿泊施設等を視察される予定です。合宿の実現に向けて、積極的なPRを行いたいと考えています。
 ドイツチームについては、昨年11月、事前合宿の候補地として本市を視察されました。好感を持っていただけたものと考えており、現在、事前合宿や強化合宿に係る申し出をお待ちしているところです。
 日本チームについては、2年連続で円山川城崎漕艇場で強化合宿を行っていただきました。来年以降も継続していただけるよう、チームへの食材の提供等、機会をとらえて支援を行っていきたいと考えています。
 なお、新たにスイスのボート連盟の関係者から、城崎を内々に視察したいとの依頼がありました。去る8月23日に円山川城崎漕艇場や宿泊施設等をご覧いただき、合宿の候補地になり得るとのお話をいただいたところです。

市政の運営

 第5に「市政の運営」に関連する内容について申しあげます。

 まず、公共施設マネジメントについてです。
 公共施設再編計画において、今後も維持、継続の方向性を示している施設の中で、更新費用総額への影響が大きい小中学校、コミュニティセンター、体育施設については、公共施設等適正管理推進事業債を活用したいと考えています。そのためには、個別施設ごとの具体的な対策内容や実施時期、実施費用などを記載した「個別施設計画」の策定が条件とされており、必要な補正予算を今議会に提出しています。
 このうち、小中学校については、対象となる学校の現況調査を来年度にかけて行い、来年度中での計画策定を予定しているため、債務負担行為に係る補正予算も併せて提出しています。策定に当たっては、老朽化した学校を単に数十年前の建築時の状態に戻すのではなく、機能的・効率的な施設の活用とともに、安全性の向上や日常生活の変化に合わせた施設整備などの視点を加えて検討したいと考えています。体育施設については、公共施設再編計画策定時において野球場や多目的グラウンドなどに係る詳細な議論ができていないため、総量縮減に向けた検討も併せて行うこととしています。
 なお、再編計画において、廃止、検討等としている施設についても、廃止なのか譲渡なのかといった方針や具体的な実施時期などを定める「行動計画」を新たに策定したいと考えています。
 このような計画策定に併せて、公共施設全体のあり方について庁内で横断的に議論し、行動計画等の進捗管理や総合調整を行うため、庁内推進委員会を設置します。
 施設所管課、庁内推進委員会が一体となり、施設の統廃合や複合化などについて検討していきたいと考えています。
 さらにその後、個別施設計画を参考にしながら、統合、複合化など施設の適正なあり方や地域に必要な機能等について、おおむね旧市町単位で地域住民、学校関係者、行政などによる懇談会を立ち上げ、各地域にふさわしい「地域デザイン」の検討を行いたいと考えています。

 次に、長期財政見通しについて申しあげます。
 先日配布させていただきました長期財政見通しは、平成29年度決算額を基本に、一般財源ベースで平成42年度までの15年間を見通しています。
 昨年11月に策定した前回の見通しは、普通交付税の合併算定替および合併特例債の発行期限が終了する平成33年度以降に赤字が見込まれ、15年間の収支が約18.3億円の赤字となるものでした。
 今回の見通しでは、平成32年度までは収支が均衡する見込みであるものの、平成33年度以降に大幅な赤字が見込まれ、15年間の収支は約20.5億円の赤字となり、前回の見通しから赤字幅が約2.2億円拡大しています。
 赤字幅が拡大する要因は、介護保険事業および後期高齢者医療事業への繰出金、人件費、扶助費の所要額が前回の見通しより増加することによるものです。
 長期財政見通しでは、赤字には基金を取り崩して充てるため、基金残高が大きく減少していくことは前回の見通しと変わらず、依然厳しい財政状況を示すものとなっています。持続可能な行政経営を目指し、さらに経費節減等に向け、検討を進めてまいります。

予算、決算

 続いて、平成30年度一般会計補正予算について申しあげます。
 まず、補正予算第2号です。これは、緊急の対応が必要であった危険ブロック塀対策に要する経費1,286万3千円を追加するため、7月4日付で専決処分したものです。
 次に、補正予算第3号です。これは、7月豪雨災害について、応急対策や災害復旧費等に要する経費2億1,343万3千円を追加するため、7月5日付で専決処分したものです。
 次に、補正予算第4号です。これは、各小学校、幼稚園でのクールスポットの整備費等および平成32年の夏までに全小学校に空調設備を設置するための実施設計経費、合わせて7,362万円を追加するため、8月7日付で専決処分したものです。
 次に、補正予算第5号について申しあげます。
 予算全体を見直し、今後の執行見込額を精査し、過不足が生じる経費や今年度の人事異動による人件費の整理、さらに危険ブロック塀対策など緊急やむを得ないものを計上しています。
 歳入歳出予算の補正総額は11億8,611万7千円の追加となり、これに必要な財源は、地方交付税、繰入金、繰越金等で措置しています。
 なお、平成29年度の決算確定に伴う決算剰余金の処理のため、公共施設整備基金へ4億2千万円を積み立てます。

 次に、平成29年度の決算の認定に関連し、その概要を申しあげます。
 一般会計の総額で、歳入は約560億円、歳出は約550億円となり、前年度と比較して共に約60億円の増加となりました。
 増加の最大の要因は、財政調整基金から公共施設整備基金へ70億円の積み替えを行ったことによるものです。
 概況ですが、歳入面では、市税収入がほぼ横ばいで、地方交付税、移転補償金、市債が大きく減額となっています。
 一方、歳出では、社会保障関係費の自然増があるものの公民館整備事業費や北但行政事務組合への負担金が大幅に減少しています。
 平成29年度は「地方創生・未来への挑戦」として、豊岡市地方創生総合戦略を推進してきました。また「小さな世界都市」の実現を目指して「ローカル&グローバル」という旗印を掲げ、意識してローカルであることを基礎にしてダイレクトに世界と結びついて世界の中で輝き、国内外への情報発信やインバウンド戦略など特徴的な施策を展開し、地域経済の活性化に積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、コミュニティ、災害、経済衰退、財政崩壊という四つの危機に立ち向かうため、新しい地域コミュニティ組織の立ち上げ、中学校への空調設備整備、経済成長戦略の推進、防災行政無線のデジタル化への着手など、果敢に、大胆に、挑戦する施策を推進してまいりました。
 その結果、一般会計の最終的な実質収支については、8億2,081万3千円の黒字決算となりました。平成28年度の実質収支額との差し引きである単年度収支額は、9,206万8千円の赤字となり、年度中の財政調整基金への積立金や取崩し額など黒字・赤字要素を加味した実質単年度収支は、先ほど申しあげた財政調整基金から公共施設整備基金への70億円の積み替えを行ったため、65億 6,326万9千円の赤字となっています。これは、あくまでも財政指標上の赤字であるという点をご理解いただきたいと思います。
 なお、経常収支比率については、91.3パーセントと前年度から1.7ポイント増加しています。
 地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率については、今議会に監査委員の意見を付して報告しています。実質公債費比率は、11.9パーセントと前年度と比較し0.1ポイントの増加となりましたが、地方債発行の許可団体を判断する基準である18パーセントを引き続き下回っています。将来負担比率は89.4パーセントと13.2ポイント減少し、いずれも早期健全化基準を下回っています。
 このように財政指標については国の基準を下回っていますが、いまだ地方債の現在高は高い水準にあります。下水道事業などの公営企業や一部事務組合に対する一般会計の負担についても、今後、引き続き高い水準で推移することが見込まれ、厳しい状況が続くものと考えています。したがって、企業会計や一部事務組合を含めた公債費負担の適正化を図ることが最重要課題であると認識しています。
 加えて、税収入の確保、未利用地の売却、滞納対策の徹底や受益者負担の適正化等、財源の一層の確保に努める必要があります。また、歳出面では、経常的経費の抑制、公共施設マネジメントの推進などにより、一層の経費削減を図らなければならないと考えているところです。
 以上が決算の概要です。詳細については、お手元に決算書および関係資料をお届けしていますので、ご清覧賜りますようお願い申しあげます。

 以上をもちまして私の総括説明を終え、各議案の詳細については担当部長等から説明いたしますので、よろしくご審議いただき、適切なるご決定を賜りますようお願い申しあげます。

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